迷走するスマートグリッド: 誰も書かなかった次世代インフラの本質

著者 :
  • エネルギーフォーラム
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784885553769

作品紹介・あらすじ

「プロデューサー」(生産者)と「コンシューマー」(消費者)の複合体「プロシューマー」がキーコンセプト。エネルギーのインターネット化。

感想・レビュー・書評

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  • グリーンニュディールの切り札としてスマートグリッドを掲げる米国オバマ政権、コミュニティでプロシューマーが積極的な役割を果た欧州の取り組みを紹介し、返す刀で日本の受け身の姿勢や場当たり的な施策を批判しつつその状況を説明し、将来への方向性を示唆する。

    米国のスマートグリッドは、省エネ・ピークシフト、再生可能エネルギー導入、PHEV普及の為のインフラであるとともに、停電対策という意図があるのに対して欧州(特にドイツ、オランダなどアルプス以北)は、再生可能エネルギーの更なる拡大と有効活用を主眼に、熱を含めたトータルなエネルギーの制御を、ローカルコミュニティで実践することに特徴があると論じ、日本の場合は米国のような停電対策はほとんど対応済みとして、再生エネルギー導入を最優先として、コミュニティで環境に覚醒して活躍するプロシューマの育成の面からのアプローチも喫緊の課題としている。

    本書は震災の前に発売されたため前述のようになっていますが、今や日本も省エネ・ピークシフトが最優先ですね。

  • 米欧日の比較

  • p66まで読んだ。面白かった。

    p10,38,45について、まとめたい。

  • 山家公雄著「迷走するスマートグリッド」エネグリーフォーラム(2010)
    * エネルギー業界では、先陣を切ったのはガス会社である。ダブル発電のキャッチコピーで売り出した世界初の家庭用燃料電池コージェネ「エコファーム」とソーラー発電を組み合わせたものでその効用を説く。太陽光の余剰電量を電量会社に販売することができ、あるいは配電線が混雑しているときはエネファームの出力調整で対応することができる。
    * 一方、電力会社は最近ツインソーラーというコピーで宣伝している。太陽光発電を導入している家の多くはヒートポンプ式給油機であるエコキュートを設置しており、両者の相乗効果で二酸化炭素排出量が56%削減になるとしている。エコキュートを導入することで、太陽光発電に余剰電力を吸収することや太陽熱を利用することもできる。
    * スマートグリットは「ICT(情報通信技術)と蓄電・蓄熱技術を活用して、そう報告で需給を調整し、エネグリーやその設備の有効利用を勧めるシステム」である。
    * スマートグリッドは国や地域によって、目的は様々であるが、再生可能エネルギー導入という点では共通である。
    * 低炭素時代は、各人経済性とともに「環境に意識」していなければならない。経済と環境の両立は個人レベルまでいきわたることが求められている。個々人の価値観、ライフスタイルのあり方、社会システムのあり方を低炭素時代にマッチするように変えていく必要がある。
    * ICTを活用して、デマンド付近の情報を収集・処理・回送するのがスマートグリッドである。家庭を例にとると、空調、冷蔵庫、電灯等の家電やソーラーパネル、燃料電池コージェネバッテリー、EV等の分散エネルギー資源にセンサーを取り付けて、その使用情報や発電情報をスマートメーター等に収集する。この情報は地域のエネルギーコントロールセンターに送られる。そこで需給情報が集約され、リアルタイムの需給量やプライスが決まる。既存の電力インフラを賢く活用することで、電気を主とするエネルギーを効率的に利用する、今後需要側への設置が増えることが見込まれるソーラーパネル、蓄電池、温度調整機能付き空調等を上手にコントロールする、電気自動車が普及する場合に予想される家庭等での充電(チャージ)や放電・給電を円滑に行うようにする、送配電網の健康診断を用意に行うことを目指している。
    * スマートグリッドの一般的にイメージされているものは、家庭を例にいとると、家屋や駐車場の外壁にスマートメーターが取り付けられている。これは従来のアナログ型からデジタル型に変えて、自動検針、遠隔操作ができるようになるものである。これに通信の接続機能も持たせて、電気使用量や保安関連情報の測定・検診、分散電源等の発電情報等について、リアルタイムでアクセスできるものである。
    * アメリカ政府は、スマートグリッド支援として、2009年に成立した「米国再生・再投資法」において110億ドルの支援を盛り込んだ。応募状況をみると事業用のほとんどはスマートメーター設置とその関連投資そして配電自動化の信頼度向上対策である。

  • ICT産業はデータセンタに象徴されるように電気使用量が多く、省エネ技術開発が進むことによるメリットが大きい。
    グーグルは2009年3月にグーグルパワーメーターを発表した。これをとりつけることにより、家庭での電力使用状況がグラフィカルに把握できるようになる。
    スマートグリッドは電力とICTとの融合。
    オランダのスマートグリッドの代名詞はアムステルダムのスマートシティ。世界初のスマートグリッドシティ。
    船舶を活用するのがアムステルダムのユニークなところ。

  • 昨今話題のスマートグリッドを駆け足で眺めるのにはよいのではないだろうか。アメリカのグリーン・ニューディール政策のその後と、ドイツ、オランダ、デンマークなど、ヨーロッパの取り組み、そして最後に日本の現況を紹介している。どんな企業がどんなプロジェクトに参加しているのか、またそれぞれの進捗状況と目指そうとしている方向を概観できるのは興味深い。
    海外事例が中心であるだけにやむをえないが、それにしてもカタカナとアルファベット略語のオンパレードなのは、日本発の情報が少ないということの裏返しなのかもしれない。

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著者プロフィール

1956年生まれ。京都大学大学院経済学研究科特任教授。エネルギー戦略研究所所長,東北公益文科大学特任教授,山形県総合エネルギーアドバイザー,豊田合成㈱取締役を務める。東京大学経済学部卒業。日本政策投資銀行エネルギー部次長,調査部審議役等を経て現職。第27回エネルギーフォーラム賞受賞。著書に『オバマのグリーンニューディール』(日経新聞出版社),『再生可能エネルギーの真実』(エネルギーフォーラム),『ドイツエネルギー変革の真実』(エネルギーフォーラム)等多数。

「2017年 『再生可能エネルギー政策の国際比較』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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