くるみ割り人形

  • 東京音楽社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784885642050

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  • アレクサンドル・デュマ親子による「くるみわり人形」の翻案。
    チャイコフスキーの時代のロシアではフランス語がドイツ語より優勢だったため、バレエはこの翻案に基づいて作られたらしい。
    当時のフランス人読者用にドイツ文化の説明や、ホフマンの原作ではわかりにくかった部分が加筆されている。
    わかりやすくなった部分もあるが蛇足も多い。

    たとえば若いドロッセルマイヤーの登場時の設定をくるみわり人形に寄せたために、再登場時の服装や年齢に齟齬ができてしまう。
    18歳男子と8歳女子が恋して結婚て、きもちわるいよ。
    結婚も、ホフマンだと周囲の無理解の果ての脱出と読めるけれど、こちらでは無理にロマンチックイデオロギーに押し込んだような据わりの悪い結末になってしまった。
    人形とネズミの戦争も、そんな本格的に戦争しちゃったら室内が大変。

    おとなの手で形を整えようとしたら魅力が削られてしまったような印象。
    センダックがホフマンに回帰しようとした理由がわかった気がする。


    音楽・舞踊研究者である訳者の後書きは文学者の視点とは角度が違っていておもしろい。
    初版を底本とし挿し絵(作者不詳)の配置も原書に忠実になるよう気をつけたらしい。
    まず原典にあたれという信念が好ましい。

    この挿絵だとドロッセルマイヤーと天文学者の仲良しっぷりがきわだつ。

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