- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784885880841
作品紹介・あらすじ
沈黙を競う人びと。ボクシングに飽きたゴング。水平線に体当たりする船……本書はありとあり得ない果実がひしめく蜃楼のバザールである。読者はそこに不条理の絶対を見い出すに違いない。
(舟崎克彦 推薦文より)
シンプルなストーリーに隠された意図と背景には、人間っぽさと社会風刺が、ユーモアたっぷりの皮肉とともに、イタリアならではの情景で描かれている。
感想・レビュー・書評
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好きなイタリア文学より。ショートショートなので読みやすいし、面白い。イタリア文学ってなにぞや~という人の入門にも。
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数編読んだだけで傑作と分かる、それくらい面白い短編集です。ショート・ショートのように短い話が多いです。寓意とユーモアに満ちた物語は読者を掴んで離さないでしょう。決闘が思わぬ形に変わる「ナバラの決闘」、世界で一番の沈黙を競う「沈黙大会」がお気に入り。
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ちょっと伊文学バージョン星新一って感じ?の不可思議な世界観だったな~~~
そこまでぶっとんでないんだけど、いやいやそんな馬鹿な~~~~~~みたいなの -
ちょっとした遊び心があったり、人間の良心が描かれている作品もあり、救いようのない話だけでもない。「闘牛士になった信号」が一番良かったかな。
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文字どおり、はじめて出逢う世界のおはなし。大人向けに書かれているが、子どもに読み聞かせてもきっと楽しめそうな童話。大人の世界の不条理を、バカバカしいと切り捨てるのではなく、くすりと笑える話に再構成している。決闘しまくるナバラの決闘、沈黙の質を競う沈黙大会、ゴングの気持ちになれるゴングの音色、感謝することをきょうせいされる感謝日、どれも秀逸だが、闘牛士になった信号機が1番好き。
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読んで不安になる奇妙なイタリア文学がブッツァーティなら、笑える奇妙がこちらのピウミーニ。貴族の間で決闘が無くなった理由「ナバラの決闘」、19頁で心を鷲掴みにされ大爆笑。イタリア版破獄はやっぱりユーモラス「囚われの料理人」、「メガネをかけた足」の大騒動、ゴングに歴史あり!?「ゴングの音色」、数を教える大人と子供の屁理屈が妙な方向へ「数の勉強」、包囲戦が続いた理由にずっこける「トルボレーズ包囲戦」、感謝は押し付けられるものではないとのたまう捻くれ男「感謝日」、利己的な人物の因果応報、イタリア版蜘蛛の糸「トウモロコシの中の老人」、あらゆる機械からそれが消えるとどうなるか?「盗まれた車輪」叢書らしいので、他のシリーズも同様の傾向なら読んでいきたい。
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イタリアの児童文学作家、ピウミーニによる、キレ味の良い短編が25個。おとぎ話やちょっと不思議な話があつめられ、子どもが読んでも当然面白いが、大人が読むと込められた風刺がほろ苦くて病みつきになる。
同じイタリアを舞台にしているためか、(一般向き)ヴァーノン・リーの短編集『教皇ヒュアキントス』と同じ匂いがする。
東欧のファンタジーとは全然違うノリで、さすがギリシャやローマの血を引くイタリア、文章の洗練度がすばらしい。 -
『キスの運び屋』が素晴らしかったので、期待して読んだ。
あとがきで、2冊の短編集から8つ選んで『キスの運び屋』とし、残ったものの中から25篇選んで、この『逃げてゆく水平線』にした、とある。
だから、当然『キスの運び屋』の方が面白い。まあ、こっちは二煎目といったところ。
ただ、二煎目でも十分美味しい。「数の勉強」「感謝日」「壺作りのボルト」「頭と帽子」「盗まれた車輪」「逃げてゆく水平線」など。
確かにロダーリに似ているし、人の愚かさを皮肉るところはブッツァーティにもにている。
社外批判はいいが、黄色人種蔑視は不快。
やはり『キスの運び屋』を復刊してほしい。あれは本当に面白かった。 -
図書館新着本コーナーで遭遇。
イタリアの現代児童文学。
「はじめて出逢う世界のおはなし」シリーズ、どれもジャケットがかわいいです(*^_^*)
収録されているお話は、なかなかシュールだったりナンセンスだったり。25篇、堪能しました。