堀部安嗣の建築

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著者 : 堀部安嗣
  • TOTO出版 (2007年11月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887062870

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堀部安嗣の建築の感想・レビュー・書評

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  • 誠実な建築家だと思う、吉村順三のエッセンスを感じる。光をとらえる感度が高い。

    ーーーーーーーーー以下引用

    ほしいものはかたちではない。ほしいものは静かな光で満たされた、ゆったりとした時間。ほしいものは自然と人の営みとの調和のとれた関係。ほしいものは、『ここに居ることができる』と感じられる状態。

    つくづく建築は人の原初的で一次的な欲求、そして皮膚感覚に忠実でなくてはならない、と思う。人の五感に対する快適性、自然を無視したものは、あっという間に壊れてしまう

    「ここしかない」絶妙な場所を選ぶ。そこにはたいてい気持ちの良い風も吹いているだろう

    実際に目に見えているものと目には見えない物、それらが不思議に重なり合う世界の中で、

    闇のある家。それが施主からの大きな要望であった。その「闇」とは、単なる物理的な暗さのことではなく、また作為的、恣意的な闇の抽象表現でもないことは明白であった。

    しばらく闇という言葉に固執しながら、模索していた時期があった。その後、施主と建築以外の話題を含めていろいろな話をしていくうちに、いつだったか闇という言葉から離れ、ただ漠然とやわらかく包まれながら開かれていくーそんな空間を、しなやかに思い描き始めることができた。

    闇という言葉から解放され自分の心の中に開かれたその「豊かな広がり」こそが、私の追い求めてゐた「闇」の正体だったのかもしれない。

    家ができたというより、新しくも懐かしい親友ができたようです

    美術の居場所とはその土地の記憶とつながった場所であり、そこには特定の光と闇、湿度、匂いが存在しているべきだと思う

    ★人が懐かしいと感じる瞬間は、過去を振り返っているのではなく、今の自分の存在と居場所を肯定し確認しながら気持ちが未来に開かれている状態だという。人間は記憶を頼りにして未来を生きて行く動物であり、確かな記憶が宿らないということは、未来がないということだ。記憶とは、単なる郷愁やノスタルジーとして封印したり、置き去りにされるものではなく、将来につなげていかなければならないもの

    →海士やAHAのことをを想いだす。

    古い家などを、何度となく見に行く。年月を経ても何度も訪れたくなるそれらの建築はいったいほかの建築とどこが違うのか、考えてみる。思い返してみると、それらの建築は動かないのだ。不愛想なまでに、こちらに歩み寄ってこない。また一時の人間の欲望や思いつきといった現象によって動かされてかたちができていない。そして建築が動かなければ動かない程、自分の心が動き、多くのイマジネーションと豊かな時間を与えられていることに気付く。建築が生きる長い時間をとらえてみれば、建築が動かないこと、歩み寄らないことは、とても寛容であり、自由なあり方である

    美しい光を採りいれようと思って窓のデザインをこなくりまわしても、決して良い光は入ってこない

    粘土をこねていく途中、意外なところで意図せず「理論」が見つかるときがある。粘土をこねる作業を暗闇の航海に例えれば、その作業の途中で見つかる理論はさながら、灯台の光や夜空の星にたとえられようか。

  • 2015/01/12

  • 堀部安嗣さんの建築をしっかり見たのは初めてで、入門書(?)としてはとても良かった。時系列に並べられているので、彼がどのように住宅作家として成長していったのかがわかる。写真は多く、文章は多すぎず、押し付けがましくないのがよい。

    正直言って最初は少し神々しすぎるというか、立派すぎるように見えた住宅たちだけれど、彼の言葉を読むと、難しいようで意外とシンプルなのかもしれないと思った。

  • 作品そのものに触れる機会が少ないため、
    実際に過ごして居心地が良いのかどうかは、まだわからない。
    ただ、美しいということは、間違いない。

    この距離感が、同じく未見のルイス・カーンにとても似ている。

  • わたしにとって居場所が実感できる一冊



    建築って、実際に見てみるなり、生活してみるなり、
    その場に居合わせないとわからないものが多いって思う。
    この本は図面だけでなくて、
    写真や言葉にも自然に表れてて、
    見ていると落ち着く。
    普段なら嫌悪する部分も、別にいやとは感じない。
    写真の切り取り具合がいいんですかね。
    同様に開口の切り取り具合も。

  •  落ち着いた住宅を作るなあ、というのが第一の印象。
     良くも悪くもきれいにまとまった建築だなあ、というのが第二の印象。

     安定した正方形、五角形、六角形、八角形を多用。こういう古典的な形態は平面で見ていると堂々として見えるが、もっと不安定な要素も欲しいなと思う。でないと、心がどきどきしない。
     細かいけど、五角形+正方形、を組み合わせる時に辺と辺を共有し合うのは形態論的には微妙。形が死ぬ。
     それから、外観の質素さは何なんだろう。別に、もっとお金をかけろというのではないけど、大事な外観が質素に見えるのはいかがなものか。

     と、文句を連ねてしまったが、落ち着きながらもラディカルな、良い建築家だと思った。

  • 虫の目と鳥の目を持つひとの建築集です。

  • 時の流れに色あせない建築。
    時を重ねて美しくなる建築。
    時を超越した建築。
    数十年後の姿さえ見えてくる様な建築。

    建築家堀部安嗣の作品集です。
    必見です。

  • 堀部さんは年齢の割に落ち着いた建物を設計される方ですね。文面から察するにお施主さんとも上手くお付き合いされている感じがします。
    こういう建築が長く残っていくと思います。
    図面上手いです。写真もきれいです。

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