町かどのジム (子どもの文学・青い海シリーズ 14)

  • 童話館出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887500242

感想・レビュー・書評

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  • 老水夫のジムは、いつも町角の木箱に腰掛けている。少年デリーは、ジムのお話を聞くのが大好きだ。ジムが話してくれるのは、子どもだった頃や船乗りの頃に体験した不思議な話。
    特に好きだったのは、子どもだったジムが、畑でカラスを追い払う話。お弁当は分厚く切ったベーコンをはさんだパン。おいしそうでおいしそうでどうしても食べたかった!

  • 男の子の住む街にはジムがいる。若い時は船乗りだったジムは、いつもまちかどのみかん箱に座っている。街の人たちはみなジムに親切だか、いちばんの仲良しは子どもたち。今日もジムは男の子に船乗りだったときの不思議な冒険の話をするのだ…。
    自分も子どもになって、目の前でジムに語られているよう。7編のお話が収めされている。最後のエピソードに胸が熱くなる。
    ペンギンのフリックとの交流譚と、海へびを撫でる話が好き。

  • いつも町かどに座っている老人ジムが、船乗りだったころに体験したふしぎな話を少年デリーに語る。ペンギンに求婚された話や、タラに恩返しされる話など、「ほら話?」と思うような、ゆかいな話がたくさん入っている。ジムの話が始まる前の、ジムとデリーの会話も、ほのぼしていてとても好き。

    「ジムを心から愛していたのは、なんといっても子どもたちでした。じぶんたちが生まれるずっとまえに、ジムが船のりだったことは、子どもたちの心をひきつけずにはいませんでした。」P12

  • 町かどのミカンばこにいつも座っている年寄りのジム。少年デリーは船乗りだったジムが話してくれるお話が大好き。霧の海を泳いで着いた「ありあまり島」、「ペンギンのフリップ」のお嫁さんになってフリップに助けられる話、土星に盗まれそうになった月の話「月をみはる星」、ジムとチンパンジーが入れ替わる「チンマパンジーとポリマロイ」など。10こ目のお話「ジムのたんじょう日」では、デリーから心のこもったプレゼントが…。通りに住む人々から愛されているジムの人柄のように、ジムが経験した奇想天外なお話には刺々しさがひとつもなくほっこり優しい気分に。どこまで本当でどこから作り話なんだろうなんて野暮なこと考えずに、デリーになった気分で自然とジムの話に引き込まれていきます。

  • 8歳の少年デリーの家のそばの町かどに、ポストがあります。
    その隣に木で作ったミカン箱を椅子代わりして、ジムはいつも座っていました。
    朝早くから、夜まで。

    デリーは、元船乗りだったジムにお話をねだります。
    ジムはミカン箱の横をちょっとあけて、デリーが座れるようにしてからお話を始めます。

    そのお話が、荒唐無稽なものばかり。
    有名なところではシンドバッドもそうですね。
    旅に出て、日常とは全くかけ離れた経験をする。
    船乗りってそういうもの。
    子どもにとっての船乗りのお話っていうのは、未知の世界への扉であり、無事に帰ってきている姿は、冒険の成功なのです。
    そりゃあ、楽しくないわけがない。

    今だったら、日がな一日何をするでもなく街角に座り続ける老人は、役立たずと思われるかもしれません。
    でまかせばかり話す、うそつき老人といわれるかもしれません。
    大人はそれを排除しようとするかもしれません。

    でもこの町の人たちは、ジムという存在を受け入れ、それとなく見守っていることもうかがわれます。
    デリーもそういう大人たちを見ているから、安心してジムにお話をねだれるのです。

    畠でカラスを追い払っているうちに眠ってしまい、気がついたら小さくなってカラスの畠から命からがら追われる話。
    緑色の子ネコの話。
    すべてのものが有り余っている島で王様になった話。
    ペンギンの奥さんになった話。
    タラの恩返しの話。
    月が土星に行こうとするのを阻止する話。
    大きな海ヘビを撫でてあげる話
    チンパンジーと入れ替わった話
    そして、ジムの80歳の誕生日。

    ジムの誕生日は8月10日。
    夏の盛りです。
    町の人たちは海や山や森や田舎に行ってしまって誰もいません。
    だけど…。

    ああ、こういう話、大好きだなあ。
    わくわくして、ドキドキして、ほっこりして、笑える。

    特に好きなのは、ジムがペンギンの奥さんになった話。
    奥さんになったって、ジムが卵を産んであげることはできない。
    だけど夫であるフリップは、妻であり船乗りであるジムを守り助け、自分の幸せもちゃんとつかむんですよ。
    格好いいぜ、フリップ。

    ああ、面白かった。

  • なんでだろう、最後の章を読み終えたとき溢れる涙が止まらなかった。ジムの昔ばなしも楽しいのだけれど80歳の誕生日に海が見たいと言っていたことを覚えていてジムを海に連れていったデリー。全身で海を感じるジム。それであと何回誕生日を迎えられるだろう、ジムと思わずにいられない大人のワタシ。忘れていた何か大切なことを感じた気がした。

  • マイ本。ファージョン作品で最も好きな1冊。ブックトークに取り入れたくて、再読しました。
    80歳のジムと8歳のデリーの心の交流もさることながら、町の人がみんなジムのことを大好きで、町かどになくてはならない存在だということがとても素敵だなと思います。
    若かりし頃、船乗りだったジム。船乗りはたくさんの語るべき話を持つと『灯台守の話』で読みましたが、まさにその通り!
    ジムの洗練されたユーモアが最高です。
    あとがきにもありましたが、ファージョン作品って本当にあったかい。
    刺激的なストーリー展開はありませんが、こういう物語こそたくさんの大人と子どもに読み継がれていって欲しいです。
    この本から派生して紹介できる本としては、『年をとったワニの話』をはじめとするジョヴォー氏とルノー君のお話集、『船乗りサッカレーの怖い話』のモンタギューおじさんシリーズが思いつきます。いずれもマイ本なので、再読してブックトークに組み込みたいです。

  • ファージョンの紡ぐお話にアーディゾーニの挿絵!
    最後のお話はえもいわれぬ。うう。

  • 町かどのポストのそばにあるミカンばこの上には、いつもジムがすわっていました。デリーはジムが大好きです。だってジムは地上のどんな場所のこともしっていましたし、天上のどんな天気のこともしっていました。そしてデリーにいろいろたくさんのお話を聞かせてくれるんです。

  • 小学校中級以上
    10〜11歳

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