塾不要 親子で挑んだ公立中高一貫校受験 (ディスカヴァー携書)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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本棚登録 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887595583

作品紹介・あらすじ

公立なのに私立のよさを取り入れた中高一貫校が各地に誕生、「第三の道」として人気を集め、最高20倍もの高倍率となっている。本書は実際に九段中等教育学校に長男と次男を続けて合格させた日本経済新聞記者が、どのように入試に備えたかを、入試問題の分析や使用した参考書や問題集等々を具体的詳細に語るだけでなく、公立中高一貫校のユニークな教育内容を紹介するとともに将来像も予測。東京をはじめ全国に続々と誕生している公立中高一貫校をこれから目指す親子の心強いガイドとなる一冊だ。

感想・レビュー・書評

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  • 私には、4月で小学6年になる娘がいる。

    かねてから、公立中高一貫校を受験させたいと思いながらも、塾に通うなどの対策は何もしてこなかったところ、この本と出会い手に取ってみた。

    著者は日経新聞の記者で、自身の年子のご子息ふたりを2005年度と2006年度に立て続けに千代田区立九段中等教育学校(以下「九段」という)に合格させた、その体験記が本書である。

    そして、私が娘を入れたいと思っていた学校も、偶然にもその九段であった。
    この学校、実は私の母校でもある(当時は東京都立九段高校だったが・・・・)。

    情報自体は九段が現在の中高一貫校になった黎明期の、およそ15年前のものでやや古いものの、メディアには載っていないような貴重な情報も多数あり、とても参考になった。

    前述のとおり、著者は長男を第一期の九段生として合格させたが、そのときは当然のことながら九段の過去問などは存在せず、数少ないよその公立中高一貫校の問題を解き、試験に臨むしかなかったが、なんとか合格にこぎ着けた。

    一方、その翌年の次男の時には、著者も大分、公立中高一貫校の入試問題を研究しており、本書は主にこの次男の受験までの勉強法や心構えが記されている。

    ただ、この2人のご子息に共通するのは、基本的に塾には通っていなかった、野球チームに6年生の12月から1月頃まで所属していたなど、いわゆるガリ勉タイプではないこと。
    ただ、おそらく、学校の成績は少なくとも中の上以上にはいたと思われ、基本的な知識や理解力が備わっていないのだと思うが・・・。

    また、著者はタイトルにもあるとおり、公立中高一貫校合格のためには「塾不要」を強調する。

    その理由は、①都内の公立中高一貫校はまだ一期生しかいない(2005年当時)ため、私立中学と違い、塾にもデータの蓄積がない、②多くの私立はプロセスではなく答えそのものを求める。正解は一つしかない。一方、公立中高一貫校で問われているのは答えに至るプロセスで、それは百人百様、このような問題の解き方を教えるノウハウが塾にはない。

    確かに、その通りである。本書が書かれてから15年ほど経っているため、ある程度の蓄積は塾にもできたかとは思うが、私立のように答えが一つに決まっているものに比べて、パターンにはめて教えることができないため、教える側からすると苦労することに変わりはなかろう。

    また私が子供に九段を受けさせたいと思っているのも、入試のために低学年から進学塾に行き、マニアックな知識をつけるのではなく、日常生活の中で起きることに、「なぜそうなるのだろう」と疑問を持ち、考える子になって欲しいからである。
    そのようにして育った子は、必ずこれからの社会で必要とされる人間になると信じている。
    これは著者も同じ考えだと思う。

    最後に本書を読んで知ったことを箇条書き的に記しておく(内容は本書執筆当時の2006年前後のもの)。

    1.公立中高一貫校には①中等教育学校型、②併設型(付属中学校型)、③連携型がある。
     ①は高校からは入学できないのに対し、②は中学・高校から入学可能。③は連携中学から簡単な選抜試験を経て入学する。全国の公立中高一貫校131校のうち③が74と最多だが、主に地方が中心で首都圏ではその数は少ない(2006年4月時点)。

    2.九段は区立のため、何をやるにしても東京都の教育委員会の許認可を受ける必要がなく、千代田区がOKすればよい。そのため、民間の塾と提携した「土曜予備学校」や民間企業からパソコンの貸与を受ける、教員免許を持たない外国人を正式な教員として採用するなど、他の都立高校ではできないことを実現している。
     また、年間予算も都立は3,000万円だが、税収が豊かな千代田区のサポートを受ける九段は2億2,000万円と桁違い。

    3.九段の入試の配点は、適性検査(入学試験)が800点、報告書などが200点の合計1,000点満点。他の都立中高一貫校に比べ、適性検査のウェイトが高め。

    4.九段の授業料は前期課程(中学)は無料、後期課程(高校)で年間11万5,200円。一般に私立中学・高校の学費は年間100万円前後であることを考えると格安。

    5.著者が使った教材や次男との勉強法
    【書籍】
    ①「家庭学習(前期基礎編~後期応用編)」(子供の教育社)
    ②「最強の算数力」「最強の国語力」(旺文社)・・・・齋藤孝
    ③「公立中高一貫校 適性検査対策問題集」(学研)
    ④「2007年度受験用 公立中高一貫校 適性検査対策問題集」(みくに出版)

    【ネット】
    ①「むぎっ子広場」(教育法人親学舎)・・・「いっとく広場」「いっとく先生のトクトク情報」
    ②「公立中高一貫ネット」(ベネッセ)・・・・「ネット版考える問題+」
    ③全国の公立中高一貫校と教育委員会のHP・・・・過去問取得
    ④九段のHP

    【その他】
    ①「天声人語」「春秋」ほか新聞記事から自家製問題
     ・大学ノートの左側に記事をはり、右側に問題を書き込む
     (例)日本の食糧自給率が1960年の79%から40%に下がった」という記事(折れ線グラフあり)から、
      問1.グラフをみてわかることを書きなさい。
      問2.日本の食糧自給率を高めるためにどんなことが必要か、書きなさい
     ・グラフのついている記事は、「グラフを見てあたなの考えを書きなさい」という問題を作るのに役立った 

  • 勉強になった。著者の率直な意見に好感を持てた。

  • すごい参考になる

  • 中高一貫公立校について知るためのスタートラインに立つために有効な本。


    育児・受験・ビジネスなどの「全てにあてはまるこれと言った正解がない」系の本は苦手だ。個人の成功話に終始することが多いので。

    でもこの本は、こうやって私は成功したからあなたもやれば のようなところはなく、情報提供の割合が多く、役に立った。

  • [ 内容 ]
    公立なのに私立のよさを取り入れた中高一貫校が各地に誕生、「第三の道」として人気を集め、最高20倍もの高倍率となっている。
    本書は実際に九段中等教育学校に長男と次男を続けて合格させた日本経済新聞記者が、どのように入試に備えたかを、入試問題の分析や使用した参考書や問題集等々を具体的詳細に語るだけでなく、公立中高一貫校のユニークな教育内容を紹介するとともに将来像も予測。
    東京をはじめ全国に続々と誕生している公立中高一貫校をこれから目指す親子の心強いガイドとなる一冊だ。

    [ 目次 ]
    第1章 長男の受験顛末記
    公立中高一貫校が受験地図を塗り替える
     サプライズだった合格
    入試はこんな問題だった
    塾に行っていた子は少数
    第2章 これが公立中高一貫校だ
    九九年に第一号
    東京では白鴎が先陣 
    厳密には「受検」
    公立復権を目指して
    私立に負けない教育目指す
    安い学費も魅力

    第3章 次男の受験体験記
    体験授業にびっくり
    入試対策に「天声人語」と「春秋」
    夏休み、いよいよ始動
    過去問に挑戦
    父親のかかわり方
    結果よりプロセス
    自家製問題集
    本番で役立った作文練習
    第4章 机上以外の受験勉強
    委員会などに参加する
    地域の行事もおもしろい
    旅行も役に立つ
    スポーツに学ぶこと
    テレビの功罪
    学習マンガは使える
    第5章 塾よさらば
    おかしな偏差値
    あきれた対策
    どこまで塾に行くの?
    通信添削はどうか
    模試の効用
    塾への違和感
    第6章 インターネット活用と直前対策
    ネットで問題集購入
    ホームページを活用
    過去問でミニ模試
    〇七年の過去問は宝の山
    最後の一週間
    エピローグ 公立中高一貫校世代へのエール

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    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 今更よんでも遅いけど・・・・(-_-;)

  • どんな受検勉強をしたらよいか迷っていたときに出会った本。
    励みになりました。

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著者プロフィール

日本経済新聞社編集局編集委員兼キャスター
1985年日本経済新聞社入社。兜クラブキャップやロンドン特派員、日経金融新聞副編集長などを経て、2008年月刊日経マネー編集長。11年日経電子版マネー編集長兼マーケット編集長。BSジャパン「日経ニュース10」「日経あさ株」、TBS「早ズバッ! ナマたまご」などに出演。

「2018年 『まだ間に合う日本株投資』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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