職業"振り込め詐欺" (ディスカヴァー携書) 新書 – 2009/10/3
現代日本の病理を見事に映しだした作品
2010年9月23日記述
行き過ぎた拝金主義が若者(一部であるが)を振り込め詐欺へ駆り立てた動機などが分かる。
また闇金から振り込め詐欺へ転向した者などリアリティーに満ちた本だ。
有名私大(早稲田大学)に通いながら振り込め詐欺に走った高学歴の若者の暗部などが描かれている。
リーマン・ショック後の派遣切りで職を失った者たちを「出し子」としてまるで道具のように使う振り込め詐欺グループに怒りを覚えるだけではなくいつの間にかそのような人間の使い方を是とする社会になっていたのではないかと考えさせられた。
2009年2月9日にNHKスペシャルとして放送されたものを新たなデータも揃え新書にしたものだが実際に放映されたもの以上によくまとまっている。
内容(「BOOK」データベースより)
なぜ?振り込め詐欺に手を染める有名大学・一流企業出身のエリートたち。被害総額1317億円超、総被害者数約10万人。空前絶後の大規模犯罪、それが「振り込め詐欺」だ。その主犯格は驚くべきことに、高学歴・一流企業出身の若者たちだった…。日本社会の抱えるいびつな病理を浮かび上がらせて大反響を呼んだNHKスペシャル「職業“詐欺”」を書籍化。
レビュー
カネこそすべて。手段は選ばない。
自分さえよければいい。だまされるほうが悪い。
「この格差社会で勝とうと考えたら、振り込め詐欺が一番ですよ」
有名大学・一流企業出身のいわゆる勝ち組の若者たちが、
善悪の境界を越え、「仕事」として振り込め詐欺になだれ込んでいる。
一方、犯罪集団に「使い捨てのコマ」として使われるワーキングプアや
失業者。その背景には、日本社会の抱える大きなひずみが存在した。
格差の拡大/中流階級の崩壊/努力が報われない社会/富める老人と持たざる若者/犯罪意識の消滅/究極のカネ&個人至上主義/派遣切り・内定取り消し……
優秀な若者たちは、なぜ卑劣な詐欺に手を染めるのか。
被害総額1317億円6063万円、総被害者数10万452人におよぶ空前絶後の大規模犯罪のウラ側に迫る!
第35回放送文化基金賞・テレビドキュメンタリー番組賞受賞の番組を、衝撃のテレビ未放送部分も収録し、書籍化。
--ボディーコピーより