- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784893097071
作品紹介・あらすじ
斉藤倫、待望の長篇書き下ろし。きみは、だれかの夢。きみは、だれかの未来。小学5年生の令は、ある日、トロイガルトという国の死刑囚レインとなった夢をみます。死ぬことを当たり前のように受け入れているその世界で、「わたしは、しなない」という少女シグに出会い、いつしか彼女をたすけたいと思うように・・・。一方現実での令は、合唱コンクールがせまる中、声変わりをからかわれ、歌うことから、自分と向きあうことから、目を背けようとします。しかしクラスメイトにたすけられ、たどりついた自分の新しい声は、ずっとそばにあったレインの声でした。その声に共鳴するかのように、夢と現実が重なりあい、やがて周りにいる人の記憶と世界の扉を開いていく――。子どもたちが未来に光をみつける、希望を描いた物語。
感想・レビュー・書評
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簡単ではなかった。この物語は。
_のぼり坂も、くだり坂も、おなじ。ひとつの坂に、ふたつの名があるだけ、新月と、満月が、おなじ月であるように_
こういうのが文学なのかな 読んで、考えてみることができる本。
書き出しから引き込まれました。
_呼ばれたとおもったのは、ぼくが、レインだからだ。いや、呼ばれたとおもった瞬間から、ぼくは、レインになったのかもしれない。_
このあとのレインが目覚めるところも全部引用したいくらい素敵な文章からはじまります。
まぶたを開く= 桃の皮を、指で押してめくるような感じで。
いつもながらこんな煌めく比喩が散りばめられて…その度にズッキュン
#斉藤倫詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かな混じりや独特な句読点は詩人だからこそなのかな。
私にはなんだか読みづらかった。
夢の中の物語も、ちょっぴりまどろっこしいかなぁ… -
前半は不思議な気持ちで読み進めていたけれど、夢と現実がつながりはじめてからは作品の輪郭がはっきり見えてきて、ラストは心がふるえるのを止められず、ぽろぽろ流れる涙をぬぐいながら読んだ。子どもたちは、大人が思っているよりずっと深く、真剣に、自分と世界のことで悩み、ときにはひどく苦しむ。助けてほしい、の言い方を知らないことも多い。幼かったわたしがそうだったように。この作品が、この作品を必要とする1人でも多くの子どもたちに届くことを願う。
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「きみは、だれかの夢。きみは、だれかの未来。小学5年生の令は、ある日、トロイガルトという国の死刑囚レインとなった夢をみます。死ぬことを当たり前のように受け入れているその世界で、「わたしは、しなない」という少女シグに出会い、いつしか彼女をたすけたいと思うように・・・。一方現実での令は、合唱コンクールがせまる中、声変わりをからかわれ、歌うことから、自分と向きあうことから、目を背けようとします。子どもたちが未来に光をみつける、希望を描いた物語。」
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テーマが良い
が、色々つながってくる前までの前半が暗い。娘に勧めたいが、面白くなるまで読み進めることができるか、今はできないかもしれないと思う。 -
表現が独特で、この世界にあっている。
あきらめないでほしい。そんな相手に読んでほしくなる。 -
児童書とも言えるがとてもよくできていて、自分の夢と夢をを諦めることを、現実世界とシンクロさせて、波に喩えて連動させている。モノクロのイラストも物語に寄り添うようにぴったりだった。
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花松あゆみさんの装画がとても美しい。
この本の夢と現実の曖昧でまどろむかんじとちょっと爽やかな不気味さもあって絵だけでもずっと眺めてられる。
本の中身は夢の中の話のように支離滅裂なかんじで(だけど現実とちゃんと繋がってる)、子どもの頃に読んでたらより一層たのしめたのだろうなと思う。
_φ(・_・
だれかを助けることと、その人を助かりたいという気持ちにさせることとは、すごく遠い。
死んでもいいという気持ちは、誰も生かさない。
死にたくないという思いが生かすんだ。