クレ-ン男

  • エフ企画
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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894192492

感想・レビュー・書評

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  • 寓話で綴られた物語には説教臭さも誘導的な問題提起も皆無で、
    ユーモアで包み込み、さらりとシンプルに書かれている分中身は濃く、
    主人公や主人公を取り巻く人々、降りかかる事柄諸々…について考え出すと深みにはまり、
    その結果ついボンヤリとしてしまうのでした。
    無欲に真っ当に貫いた男の一生、と言う部分で、
    ふと小川洋子さんの「猫を抱いて象と泳ぐ」を思い起こしてしまい更に胸がザワつき、
    私事ながらまたいつもの愚考に次ぐ愚考のループ~と化してしまったのですけれど、
    愚考するだけ意味のある本、という事なのでしょうね。

    装丁も素敵です。
    手に取った感触も好き。
    味のある線画とそれに添えられた文章も楽しく可愛らしく、
    そこは児童書ならではの魅力だなと。
    こういう出会いがある!からやっぱり児童書漁りはやめられません。

  • とっても静かな物語。チョッと辛いけど素敵です。

  • 最近映画の中でチムニクの本が出てきたから試しに読んでみたけど、すぐに買い集めることとなった。
    たまらなく好きな絵と言葉。
    こんなに好きになれてるのは翻訳の矢川さんのおかげでもあると思う。
    「熊とにんげん」も縦書きシンプルの装丁で出してほしい。揃えたい
    でも素敵な装丁のパロル舎って出版社なくなってしまってるらしい。残念だ。
    チムニクはどうやら昨年の12月になくなったらしい。たまたまだけど明日はチムニクの誕生日だ。
    今知った。
    チムニク展はないのかなあ。原画を見てみたい…

  • クレーンに惚れ込み、クレーンの上で暮らした男の話。独りでも誰にも求められなくても、やるべきことを見つけて実践していくさまに癒され憧れる。自発性の美。あそこまで「生きる」と「働く」が分かちがたく結び付いた暮らしを送れたら、と平日を雇用主に切り売りする身には羨ましく思われた。

    それにしても何でチムニクの本は児童書として出ているんだろう。伝わってくるものが実に渋い。

  • 本の装丁、中紙の質感、挿絵、訳などが
    「クレーン男」の物語の雰囲気を立体的にしていると思う。

    町に出来たクレーンを操縦するクレーンオトコがクレーンの上から
    見下ろす世界の移り変わり、ワシの友達、サメとの戦い、新しい町の再生は
    クレーンオトコがクレーンオトコで有り続けることによって起こる大きな動き「冒険」になる。
    読むのは三回目で、
    前回はこじんまりしたクレーンの上の世界の印象だったのに
    今回は壮大な年月を感じた。(1回目の印象は忘れてしまった〜)
    サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」や
    サン=テグジュベリ「星の王子様」のように
    年齢によって感じ方が変わる本じゃないかなって思う。
    何年かに一度読み返すときっと違う感じ方をすると思う。

  • ライナー・チムニクさんの本は、これが初めてです。
    矢川澄子さんの訳には幼い頃から親しみがあるので、矢川澄子さん…ということで手に取ってみました。

    作者が、優しい目で、そして丁寧に、この物語を作ったのだろうな…と、想像することが出来るお話でした。
    挿絵は素敵でした。

    小学生の頃、「寓話」というその響きが好きで、幾冊か読んでみた事もあったのですが、正直あまり好きではありませんでした。
    もっと、ストーンと明るい話が好きだったので…。
    この「クレーン男」は、言えば「寓話」という囲いに入れる事のできるお話だと思うのですが、私は好きです。
    そして、好きだな、と感じると共に、小学生の頃の「寓話」との出会いを思い出し、少し妙な気持ちになりました。

    「クレーン男」、また読み返してみたいです。
    きっとその度に思うところ、捉え方が変わっているだろう、と思います。

  • 義兄からのプレゼント。いいな~と思いました。素直になれました。

  • 絵本?
    すぐ読めた。
    書評でこれ選んだ人凄いな、良くこんなの知ってたなと思う。
    図書館に良くあったな…
    ライナー・チムニクさんの本これしかなかったけど。
    紙質が厚く文字数少ない。ケース入り。
    鉄は丈夫!
    バイクが2回伝令ででてきた。バイクの本だね。
    何でこの本紹介されてたかもう一度「小説という毒を浴びる」を確認しよう。

  • クレーンと共に生きた一人の男のお話。
    寓話みたいですがそうではなく、ただ語られるのが良かったです。
    クレーンが出来上がりクレーン男が仕事に就くまでのドタバタ、しばらくして戦争が始まり辺り一面海に浸かったことで孤独になり、ワシと友人になり山の向こうの男とボトルメッセージをやり取りし、そしてまた周りに街ができる……波瀾万丈のようで、とても淡々としていました。
    レクトロの幻を見ても、サメとバトルしてても、淡々。
    最後はちょっと寂しくなりました。
    装丁も挿絵も本の頁の紙も渋くて素敵な1冊でした。
    海の中にぽつんと立ってるクレーン、孤独で壮大で好きです。

  • 発展していく町の広場に、大きなクレーンを設置した。
    荷物を船から貨車へ、車から船へ詰め替えるために。
    そのクレーンに惚れぬいて、クレーンに住み着いたのがクレーン男。

    毎日毎日規則正しく仕事をし、休みの日はクレーンのメンテナンス。
    誰が見てても見てなくても、毎日コツコツ仕事を続けるクレーン男。

    友だちのレクトロは、のんびりと、しかしじっくりと、ものごとを考えるたちで、楽しい夢にふけるのが好き。
    クレーン男はそんな友達をユーカリのボンボンをしゃぶりながら、クレーンの上から見守っている。

    そんな穏やかな日はいつまでも続かなかった。
    時は過ぎ、町が、国が、その姿を変え、人々はいなくなり、クレーン男のするべきことも変わっていく。

    世の中が変わっても変わらないものがある。
    本質が変わらなくても、時の経過で不要になるものもある。

    大好きな仕事があって、大好きな友達がいて、毎日を心豊かに暮らせるのなら、それを幸せと言わなくて何だというのだろう。
    クレーン男とワシは、そして銀色のライオンが向かう先。
    そこにレクトロがいたらいいと思った。

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著者プロフィール

1930年ポーランドに生まれ、ドイツに移ってミュンヘンの美術アカデミーで学ぶ。『熊とにんげん』『クレーン男』など、詩的な文章と繊細なイラストの作品で一世を風靡した。

「2018年 『タイコたたきの夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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