不均衡という病 〔フランスの変容 1980-2010〕

  • 藤原書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894349629

作品紹介・あらすじ

高学歴化、女性の社会進出、移民、経済格差、右傾化……フランスで今何が起きているのか?!
『最後の転落』『帝国以後』でソ連の崩壊や米国の金融破綻を予言したエマニュエル・トッドが、最新の地図作成技術による120枚のカラー地図により、現在のフランスがかかっている「病」――自由主義的・平等主義的核心部の衰退と周縁部の台頭による、複数の人類学的・宗教的空間の均衡の破綻――を指摘。世界のグローバル化に反し均一化することを止めた国・フランスの多様性を描き、同国で大ベストセラーとなった最新作。

 フランスは気分が優れない。この不快感がいったい何なのかを理解するために、われわれはフランスを、最新の地図作成技術というスキャナーにかけてみた。そこで得られた120枚の地図のお陰で、フランスの風俗慣習の多様性が絶えず再生するさまを観察することが可能になったのである。
 1980年から2010年までの間、フランスの国土の中で起こった加速化された社会の変容は、奇妙なことに、場所の記憶によって誘導された。教育水準の上昇、女性の解放、結婚の大転換、出生率、工業の危機、移民、社会階層の変貌、不平等、失業、学校絡みの難問、政治の大変動……これらすべての変化は、昔からの人類学的・宗教的空間を、再発見するなり再生させるなりして、尊重している。それらを検討するなら、以下のような診断が可能となる。わが国は、それを構成する複数の人類学的・宗教的空間の間の均衡がここに来て新たに破綻したという病にかかっているのだ、と。フランス大革命をなしとげた、自由主義的・平等主義的なフランスの核心部は、弱まっている。かつては階層序列の観念に忠実で、しばしばカトリックの伝統に棹さしていたフランス周縁部が、いまや支配的となって行く。わが国の指導者たちは、彼ら自身の国の深層の作動様態に全く無知であるがゆえに、不適応な政策によって、フランスの症状をさらに悪化させているのである。

感想・レビュー・書評

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  • BH2a

  • 場合で20区分をグラデーションで表示。
    色はちょっとどぎつい感じもする。しかし、一度こういう分析をやってみたい。
    ☆著者は、民主主義の衰退は右傾化、高齢化、教育ピラミッドの逆転、個人主義的アトム化によると、しているらしい。

  • 翻訳が読みにくい(下手な翻訳)のと,フランスの地域特性が頭に入っていない(当然)ので,読み進めるのに大変苦労したが,最後の「第9章 全員.右へ」「第10章 社会主義とサルコジ主義」「第11章 国民戦線の変貌」は,今の我が国の状況,あるいは先進国全体に蔓延する右傾化と照らし合わせると,非常に興味深い.大阪のあの御仁の寿命も風前の灯火か.

  • 先生いわく、フランス版梅棹さん的な人!w

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著者プロフィール

1943年生。フランス国立人口統計学研究所(INED)主任。また母校たる理工科学校を始め、パリ政治学院(シヤンス・ポ)、EHESS(社会科学高等研究院)、ENA(国立行政学院)教授。 主な研究領域は、ヨーロッパの政治的空間の歴史的分析、新石器時代以来の環境との関係における人口の分布と変遷、マルサス主義、出産奨励主義、家族主義など、人口に関わるイデオロギーの分析。 主著に“The Nature of Demography(人口統計学の本質)”(2008, Princeton University Press)“Naissance de la mortalité(死亡率の誕生)”(2000,Gallomard-Le Seuil)“Le Sol et le Sang(地と血)”(2006, L’Aube)など。

「2014年 『不均衡という病』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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