日本の素朴絵

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  • ピエブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894448957

感想・レビュー・書評

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  • うまい・へたを超越した、日本の素朴絵を紹介。
    序 日本の素朴絵
    1. 絵巻と絵本     2. 大画面の中の素朴
    3. 庶民信仰の温もり  4. 庶民のための素朴絵
    5. 知識人の素朴絵   6. 工芸の素朴美
    注記、図版目録、参考文献有り。
    画像は、カラーとモノクロが混在。
    日本の、ゆるく、ヘタウマな“素朴絵”の存在。
    いつ、誰を対象に描かれたのかを探り、紹介している。
    権力者や上流向けの、精緻で中国に追いつけ~な技巧と色彩が
    輝く、専門の絵師が描いた日本絵画史の本流とは異なります。
    古くは鎌倉時代、多くは室町時代~江戸時代の作品で、
    庶民が対象の、描き手も素人かもしれない素朴な風合いの絵です。
    絵巻や絵本、また、曼荼羅や縁起絵のような大きな絵は、
    庶民への信仰の誘いの意味合いも含まれているものが多い。
    なんかピントが外れたような構図や建物等の描き方は、
    まるで現代絵画のよう。そして人物たちのゆるい感じの描写。
    地獄の鬼ですら、可愛く見えてしまいます。
    大らかなタッチの大津絵や幟旗、ほのぼのとした石神仏も、同様。
    稚拙と言えばそうなのですが、長い年月を経て、鮮やかな色が
    残るくらいに残されていたのも、事実。修復したとしても、
    それだけ大事にされていた絵であると、いう事。
    知識人には、白隠や東嶺、乾山、蕪村が紹介されていますが、
    仙厓が含まれていたのは嬉しい。出光美術館で鑑賞したとき、
    これほど癒しを与えてくれるほっこりした絵に出会えて、
    良かったと思いましたもの(^^♪

  • かなり良かったです。
    素朴絵を見るだけでも楽しいのですが、ぜひ著者 矢島 新さんの文章も楽しんでいただきたい。
    個人的に、地獄絵の「観心十界図」とか、仙厓義梵の「花見」とかは ツボに入りました。他にも見応えのある素朴絵がたくさん見ることができるので、おすすめです。

  • ・くずし字を学び直したい…!
    ・仙厓は偉大

  • 好きなのだ。本物を見に行こう。

  • 埴輪もそうですが、日本人は昔からゆるキャラが好きだった…ということではなく、単に下手、というものが半分くらいだったような…とはいえ、そういうものの方が面白いんですよね。仙崖の花見が良かったです。子どもがひよこのようだ…

  • 美術

  • 跡見学園女子大学講師の矢島先生の著書です。

    日本美術史Bに登場する「素朴絵」「かわいい絵」が登場。

    精巧な日本画より素朴な絵が好きな人、かわいい絵が好きな人、日本の美術が大好きな人は手に取って見ましょう。

    生協学生委員会co-opGirlsお勧めの書籍です。

  • ゆるいのが(も)好きな日本文化の中の、素朴な絵を紹介する本。
    表紙のどせいさんみたいな絵が目を引いて思わず手に取った。
    写真がいっぱいで嬉しい。絵を見るだけ「なら」面白い。

    紹介される絵自体は面白いんだけど、本としてはいまいち。
    「素朴」の定義がはっきりしなくて、著者が「素朴」だと感じたものを集めたら広げすぎてまとまりがなくなってしまったようなありさま。
    予算の問題?で完璧な仕上げに至らない下書き的な「描けるけど描けない/描かない」ものも、技術的に劣る「描けないから描けない」ものも、わびさび的に極限まで線を排した「あえて描かない」ものも、「適当に描いた」遊び描きも、全部「素朴」の一言で済ませてしまう。
    感覚のものを定義するのは難しいし危ういけれど、立体まで対象に含んでしまうのは広げすぎ。
    ほのぼの系美術、あるいは技術的に突き詰めていないもの、など一貫したテーマがほしい。

    解説もなんだか疑問。
    何度も何度も「子供の描いたような」という形容がでてくるけれど、この人子供の描いたものを見たことあるのかな?
    絵心のない素人や子供の描いたものと、描ける人の省略は似て非なるものだ。


    関連
    『浮世絵の中の江戸玩具』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4784509364幟旗の疱瘡絵
    『ふしぎ盆栽ホンノンボ』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4062768917ゆるゆる文化ならこっちのほうがおすすめ。

  • こんなおもしろい日本美術の本はありませんよ

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著者プロフィール

1960年、長野県生まれ。跡見学園女子大学教授。専攻は日本美術史。東京大学大学院博士課程中途退学(辻惟雄氏に師事)。渋谷区立松濤美術館学芸員を経て現職。近世の宗教美術という、過去の美術史であまり論じられてこなかった領域を早くから開拓してきた。著書に『かわいい禅画』(東京美術)、『日本の素朴絵』(パイインターナショナル)、『近世宗教美術の世界』(国書刊行会)、『ゆるカワ日本美術史〈ヴィジュアル版〉』(祥伝社)など。

「2022年 『日本美術の核心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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