結晶星団 (ハルキ文庫 こ 1-10)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (562ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894564664
#SF

感想・レビュー・書評

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  • 表題の「結晶星団」は中心部分のある「謎の暗黒」調査隊SF。
    このほかにもSFあり。

  • ハルキ文庫版の結晶星団は、掲載作品が他の文庫とは違うらしい。神への長い道がよかった。67年初出だが、今でも面白いぞ。小松左京って日本沈没以外でも凄かったんだ。人間が進化していくと、最後にたどり着く方向性として、物質→生命→精神の時代が来ると67年に文章化しているとは。

  • ハルキ文庫からはたくさんの小松左京短編集が発刊されていますが、この「結晶星団」は数ある小松短編SFの中でも宇宙を舞台にしたものを集めた作品集。70〜80年代のパワー漲っていた頃の作品ばかりで、良く言えば瑞々しい、悪く言えば青臭いとも言える独特の世界観を包含した小松ワールドが繰り広げられています。この独特の「若さ」って、良くも悪くも初期の小松作品最大の特徴ですよね。
    何分にも初期の作品が中心なので、小説として熟れていないものも正直ありますし、飛び道具系の反則オチもあったりしますヽ( ´ー`)ノ「飢えた宇宙」のオチは反則でしょヽ( ´ー`)ノ。表題作「結晶星団」も、”理性や科学では割り切れない原初的なパワー”をSFとして描くことに挑戦したアグレッシブなストーリーで、鴨的には「ゴルディアスの結び目」と同様のケイオティックな凄みを感じましたね。

    何よりも印象的なのは、「結晶星団」「神への長い道」「氷の下の暗い顔」等の作品に共通してみられる、滅びゆく文明を描く筆致の美しさ。宵闇の中で忘れられた恋歌を奏でる物静かな原住民族・・・幾何学的に設計された未来都市の道の果てに屹立する、宇宙への知を集積した壮麗な神殿・・・地殻変動が末期を迎えなだらかな平原だけが荒漠と広がる惑星の地上に唯一残った、天を衝く巨木・・・そんな滅びゆく文明に限りない敬意と憧憬を抱きつつ、成すすべもなく立ち尽くすだけの地球人類。とても静かで、そして温かみのある、不思議と心に残る「滅びの風景」が目の前に広がります。
    「滅び」を描くSF作家と言えば鴨的にはJ・G・バラードですが、バラードの筆致はもっと冷たくエッジが利いています。小松左京の「滅び」の風景は、バラードほどエッジィではないしSFとして詰めが甘い部分もあるけれど、それを補って余りある人間性を感じます。やっぱり、東洋のSFだから、なんでしょうかねぇ。SFから見る比較文化論って、面白いかもしれない(-_☆きらーん

  • 目くるめく、というのが正にふさわしい話ばかり。見てたものが突如ぐるっと反転したりずらされたり、あるいは引いたりズームしたりして、くらくらする。
    小松さんの作品って完全にイメージ、映像なんだわ。
    ここに収録されてるの、どれも好きでした。
    風景のうつくしさや、異星生物の愛らしさが大好き。

  • 宇宙SFの短編集。あんまり。作者には、もっとロジカルなSFを書いてほしい。

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著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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