サキ傑作選 (ハルキ文庫 サ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894565081

作品紹介・あらすじ

大人たちの思惑を裏切り続ける少年の心象を鮮やかに描く「がらくた部屋」、運命のいたずらで死刑になってしまう男の不思議な物語「出てこなかった州名」、誰にも顧みられない片田舎で暮らす人々のささいな争いを、味わい深く綴った「トード・ウォーターの不和」、人の言葉を話す猫によって浮き彫りにされる人間模様がユーモラスな「トバーモリ」他二十一篇。謎多き人生の楽しみ方を軽やかに描きだしたサキの傑作が新訳で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 小さい時から教えられてきた美徳は絶対ではない、と気付いた頃をふと思い出しました。世の中善や正義だけで成り立っていないのなら、なぜそう教えてこなかったのかと周囲の大人に苛立った反抗期。当時読んでいたら喝采を送っていただろうけれど、大人になった今は矛盾を指摘されているようでぎくっとしてしまいます。苦笑、恐怖、可笑しさ、気まずさ。全てひっくるめた「奇妙な味」という表現が正に的確。
    性善説を信じてきた日本人には受け入れがたいものもありますが、安易に「子供って無邪気」と言えなくなります。そういう点では子どもが出てこない作品の方が、例え残酷でも楽しめました。

  • サキの描く世界は少々ダークである。読後感は”奇妙な味”といったところ。サキは”奇妙な味”の先駆者である。

    いけ好かない取り澄ました大人たちをターゲットに、人間がいかに嫌らしい内面を持ち、それを過度に装飾して隠しているかをあばく。そしてそんな大人達をぐうの音もでないほどにやっつける。
    やっつけた後、やっつけられた側は不安にさいなまれ、やっつけた側はほくそ笑み悠々と何事もなきかのように日常生活に戻る。そういうお話が多い。

    読後に唇をゆがめて苦笑いするタイプの短編集。どんでん返し的要素もあるので、好きな人は大好きな小説だと思う。

  • 最後の一文章で、あっと言ってしまうような話がたくさん。
    子供のなんとも言えない残酷さの描写が良かった。
    まさしく奇妙な味の物語。

  • 知的な風刺小説。

  • GRAPEVINE田中さんの影響で読み始めたサキ。
    呆気ない終わり方がすき。素晴しい。

  • 大人たちの思惑を裏切り続ける少年の心象を鮮やかに描く「がらくた部屋」、運命のいたずらで死刑になってしまう男の不思議な物語「出てこなかった州名」、誰にも顧みられない片田舎で暮らす人々のささいな争いを、味わい深く綴った「トード・ウォーターの不和」、人の言葉を話す猫によって浮き彫りにされる人間模様がユーモラスな「トバーモリ」他二十一篇。

  • 大人たちの思惑を裏切り続ける少年の心象を鮮やかに描く「がらくた
    部屋」、運命のいたずらで死刑になってしまう男の不思議な物語
    「出てこなかった州名」、誰にも顧みられない片田舎で暮らす人々の
    ささいな争いを、味わい深く綴った「トード・ウォーターの不和」、
    人の言葉を話す猫によって浮き彫りにされる人間模様がユーモラスな
    「トバーモリ」他二十一篇。謎多き人生の楽しみ方を軽やかに描きだ
    したサキの傑作が新訳で登場

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著者プロフィール

Saki.
1870 - 1916.
作家・ジャーナリスト。
本名はヘクター・ヒュー・マンロー(Hector Hugh Munro)。
インド帝国警察に勤務したのち、ジャーナリストとして活躍。
そのかたわら数多くの短篇小説を執筆し、
短篇の名手と称される。第一次世界大戦時に軍に志願し、
フランスにおいて絶命。
近年の邦訳に
『サキの思い出 評伝と短篇』
(エセル・M・マンロー、ロセイ・レイノルズ、サキ 著、
花輪涼子 訳、彩流社、2017年)、
『四角い卵  白水Uブックス』(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『平和の玩具  白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『けだものと超けだもの 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2016年)、
『クローヴィス物語 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2015年)、
『ウィリアムが来た時』(深町悟訳、国書刊行会、2019年6月)、
『サキ短編 『スキャンダルの行方』 Kindle』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services International,
Inc.、2019年)、
『サキ短編 『ビザンチン風オムレツ』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)、
『サキ短編 『ラプロシュカの魂』『困った雄牛』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)ほか。



「2019年 『鼻持ちならぬバシントン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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