- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784897722689
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
森鷗外のドイツの恋人など。
-
博覧強記ぶりはますます健在
高島さんの「脳」に絡みとられた
あれやこれや が
「ほぅら こんなふうにも」
とか
「そういえば こんなことも」
とか
「それは もともとはね」
と縦横無尽に
汲めども尽きぬ
「お言葉」が
綴られていくのが
快感ですね
一切の権威から解き放たれ
興のおもむくままに
筆をすすめられる
高島さんに拍手を
そして
その高島さんの本を出し続けてくださる
連合出版さんに
大きな拍手を -
タイトルにもなっている「漢字の『慣用音』って何だろう?」と「森鴎外のドイツの恋人」がとくにおもしろかった。前者について。とどのつまり、慣用音は「本来は誤りだが、定着してしまえばそれはそれでどうということはない」ただし「日本の漢字音に限って」。慣用音だけでなく、呉音、漢音、唐音の別って、辞書によってだいぶ違うもんなんだなぁと。後者について。鴎外『舞姫』のエリスとは誰かという話。他の人のまとめなんだけど、そのまとめかたが秀逸。本筋とは関係ないけど、「ドイツ人は家系を重んじ自分の家系を調べる人が多い」ということに驚いた。なお、P.15のL.12×「人口の」→○「人工の」、P.23のL.16×「二本の」→○「日本の」。
-
週刊文春の名コラム「お言葉ですが」が終わって随分久しいが、それでも高島さんの漢字・言葉に関するコラムを未だに読めるのは何とも贅沢な話だ。文春のコラム以外を集めて書籍化するという連合出版の企画・努力には頭が下がるが「お言ですが・・・別巻」と銘打って出版されたのも早くもこれで5冊目。
別巻になってからは毎回「年を取ると字を書くのも読むのも辛い」という泣き言が入っており一体何時まで本書を読めるのかと心配でいたが、実は本作ではそうした泣言は一切入っていないどころか、「次作も準備中」という力強いお言葉。
齢75にしてまだまだ行くぞ、という気概が感じられるのは嬉しい話だ。漢字やそれにまつわる俗説を正面から撃つ批評精神はまだまだ健在のようだ。