お言葉ですが…〈別巻6〉司馬さんの見た中国

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  • 連合出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784897722863

作品紹介・あらすじ

東洋とは、西洋とは、極東とは、アジアとは、アジア的原理とは、天下とは、皇帝とは、封建とは、先進国とは、発展途上国とは?言葉を見なおし考えなおす。

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎といえば、日本の歴史小説の第一人者。
    しかし中国の歴史についても、正しい視点で捉えていると、著者は言う。

    “しかし、戦国時代以降は、儒教に縛られて、豊かだった中国の思想が、逆三角形のようにすぼんでいってしまうと、司馬さんは考えていた”と、宮城谷昌光は書いている。
    その、「逆三角形のようにすぼんだ」という言い回しが、目に見えるようでうまい言いかただと褒める。

    江戸時代、幕府が学問と認めていたのは儒教であるが、それはあくまで教養ということでしかなく、生活に入り込んでくることはなかった。
    儒教を「バカな体制」と切り捨てる司馬さんを、それは正しいと著者はいうのだ。

    そもそも先に書いた『戦国時代』とは、中国の戦国時代で、紀元前の人が言ったとかやったとかの眉唾物の話に縛られるのは、バカらしい以外の何物でもない。
    今、目の前にある現実を見ないで、古典を覚えることに汲々とする。
    そりゃあ、思想もすぼむわ。

    日本が言う「天下」は、あくまでも日本国内のこと。
    中国が言う「天下」は、文字通り世界全体のこと。

    中国の皇帝は権力を持つ存在。
    日本の天皇は最初から、権力ではなく権威。

    ふむふむ、わかりやすい比較です。
    ありがとう司馬さん。

    中華民国が大陸にあったのはごく短い時間だけど、その頃を書いた小説をいくつか紹介。
    小説は「何を」書くかではなく、「どう」書くのかが大事という著者は、大陸にあった中華民国で生きる庶民の生活を、いま目にしているように生き生きと描写する汪曾祺(ワンゾンチー)のことを、今の中国で一番好きな作家だと答えるのだそうだ。躊躇なく。
    読んでみたいなあ。

  • 題名につられて読み始めたが,50ページも過ぎると司馬さんの話は何処かへ消えてしまった.残りの8割は司馬さんとは何の関係もない雑談.こんな題名付けて楽しいですか高島俊男さん.

  • 司馬遼太郎の中国観について。

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著者プロフィール

高島 俊男(たかしま・としお):1937年生れ、兵庫県相生市出身。東京大学大学院修了。中国文学専攻。『本が好き、悪口言うのはもっと好き』で第11回講談社エッセイ賞受賞。長年にわたり「週刊文春」で「お言葉ですが…」を連載。主な著書に『中国の大盗賊・完全版』『漢字雑談』『漢字と日本語』(講談社現代新書)、『お言葉ですが…』シリーズ(文春文庫、連合出版)、『水滸伝の世界』『三国志きらめく群像』『漱石の夏やすみ』『水滸伝と日本人』『しくじった皇帝たち』(ちくま文庫)等がある。2021年、没。

「2023年 『「最後の」お言葉ですが・・・』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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