はなはなみんみ物語 (はなはなみんみ物語 1)

  • リブリオ出版
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本棚登録 : 221
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784897840062

感想・レビュー・書評

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  • 呪文「トベリーノトベリーノドンドン」であの頃は空を飛べた。
    大人になって読み返すと思った以上に戦争の影が濃くて素直に飛べなかった。
    どこで何が変わったのかはわからない。
    ただこの本はもっと読まれていい本だと思います!

  • 何回読んでもそのたびにドキドキ、ぞくぞくする。
    くるみパンやきなこじるを作るのどかで幸せな暮らしと、小人大戦争のもたらしたものとの対比。

    戦争の様子を生々しく描いているわけではないのだけれど、その恐ろしさや生き残った者の苦しみがひしひしと伝わってくる。自分の力以上の能力を引きだす術を覚えたことで欲が芽生え、仲間同士で戦うという構図。支配者(ひつじびと)の機嫌を取るために二段階目の権力者(大がえる)が出現してもっと弱い者(うさぎ)を犠牲にする構図。魔法の魅力にとりつかれ、畑を耕して食べ物を作るような最も大切な仕事を軽く見るようになってしまった状況など、現代と重なってはっとする。

    白ひげじいさんの言葉がずんとくる。
    「戦いの最中には、だれもが正義のために戦っていると信じていたんじゃよ」
    「相手をほろぼす方法を知ったときからこびとは決して戦いをやってはいけなかったのだ。しかしその誘惑に負けた。知ることの恐ろしさは、そこじゃ」

    いかり草の歌、うさぎの歌など、易しい言葉しか使われていないのにひたひたと怖さが迫ってくる。

    それでも、怖いだけの話ではない。小人家族、森の仲間たちとのやりとりがかわいくて楽しい。

  • 何回読んでもそのたびにドキドキ、ぞくぞくする。
    くるみパンやきなこじるを作るのどかで幸せな暮らしと、小人大戦争のもたらしたものとの対比。

    戦争の様子を生々しく描いているわけではないのだけれど、その恐ろしさや生き残った者の苦しみがひしひしと伝わってくる。自分の力以上の能力を引きだす術を覚えたことで欲が芽生え、仲間同士で戦うという構図。支配者(ひつじびと)の機嫌を取るために二段階目の権力者(大がえる)が出現してもっと弱い者(うさぎ)を犠牲にする構図。魔法の魅力にとりつかれ、畑を耕して食べ物を作るような最も大切な仕事を軽く見るようになってしまった状況など、現代と重なってはっとする。

    白ひげじいさんの言葉がずんとくる。
    「戦いの最中には、だれもが正義のために戦っていると信じていたんじゃよ」
    「相手をほろぼす方法を知ったときからこびとは決して戦いをやってはいけなかったのだ。しかしその誘惑に負けた。知ることの恐ろしさは、そこじゃ」

    いかり草の歌、うさぎの歌など、易しい言葉しか使われていないのにひたひたと怖さが迫ってくる。

    それでも、怖いだけの話ではない。小人家族、森の仲間たちとのやりとりがかわいくて楽しい。

  • この本も素晴らしいです。ゆらぎの詩の物語、よみがえる魔法の物語、ハリーポッターより先にこれほどまでの児童文学が日本にあったことを私たちは誇るべきです。

  • 何度も何度でも読みたい作品。

    小学生の頃図書館で出会ったが、小人が魔法を使うシーンが忘れられず何度も読み返したのはとても良い思い出。内容は小学生向けになっているが、その物語の裏側にはこの世界に生きる私たち人間に向けた忠告がされているように思える。戦争や仲間同士の戦い、戦後の産物など一概に冒険物語…と、終わらせてはいけない本だと思う。大人になってまた読んでみたくなり購入。昔とは違う目線で読むことが出来た。

  • 数少ない、中学の図書室で出逢って読んだ本。たしかシリーズ三冊全部読んだ、ような。
    ストーリーは曖昧にしか覚えていないけれど、やさしい世界観な気がするのに、常にどこかしら恐ろしさを感じて読んでいた気がする。テーマも意外と重かったような。
    いま読んだらどう感じるのか気になるところ。また読んでみたい。

  • 小学校の図書館で借りた、私の記憶する中で一番最初に読んだ長編物語。そして一番最初に読んだファンタジー。私のファンタジー好きライフはここから始まったと思う。

  • 小人たちの生活とぼうけんのお話。戦争の恐ろしさやそれを背負って生きる次世代の子供たちが描かれていて、子ども心に恐ろしさを感じながら読んでいた。でも大好きな本。

  • 戦争のこともある。夢のある話。

  • タイトルと絵が可愛い感じだから、小人と動物のファンタジックなお話しだろうと読まずにきたが、読んでみた。
    ナルニアやホビットのようなところもあるし、「床下」みたいなところもある。リスに乗るとこなんかベスコフの絵本みたいだし。
    全体にオリジナリティはあまり感じられないが、一番強く感じたのは先の大戦への慙愧の念。「誰もが正義のために戦っていると信じ」知恵を結集して作った武器が自分たちを滅ぼしてしまう。著者は戦争が記憶にある世代であることは間違いないなと思った。
    それだけに、未来に託する思いが強く伝わってくる。
    もちろんこういった読み方は大人がするもので、子どもは冒険物語や家族愛の物語として読むだろう。
    しかしそういう意味では先に挙げた作品に劣る。
    人物描写は「床下の小人」の深さには達していないし、冒険は「ホビット」の方が絶対に面白い。
     あと、「小人」っていうのは普通の人間に対して小さいってことだけど、この物語には普通の人間は出てこない。小人の物語は、普通の人間に対するアンチテーゼにもなっているけれど、普通の人間が出てこない以上、小人はそのまま人間としてとらえるべきなのだろう。
     いろいろ疑問は残ったが、残りの2冊で謎が解けるらしいから、それに期待したい。

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著者プロフィール

1939年宮城県生まれ。東京女子大学日本文学科卒業。「はなはなみんみ物語シリーズ・全3巻」(岩崎書店)で産経児童出版文化賞、『もりのおとぶくろ』(のら書店)で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。その他、絵本に『いちごばたけのちいさなおばあさん』『こよみともだち』『てんさらばさらてんさらばさら』(以上福音館書店)など多数。東京都在住。

「2021年 『こうさぎとおちばおくりのうた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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