- Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898155165
作品紹介・あらすじ
ここにあるのは、好きを飛び越えた私そのもの、もしくは、
私さえ飛び越えた、生きることであると信じているから。 ―― 〈はじめに〉より
48の「好き」を、3層のテキストで書き分けるという挑戦。
最果の「平成カルチャー論」であり、かつ、横溢する愛の読み物。
ミッフィー / 風立ちぬ / マックグリドル / 燃える / カルテット / ゆらゆら帝国 / 水族館 / ぬいぐるみ / クロード・モネ / 石 / よつばと! / UFOキャッチャー / 紫陽花 / 古畑任三郎 / フィギュアスケート / 書くこと / 宇多田ヒカル / 劇場 / それでも町は廻っている / 宇宙 / 町田康 / sacai / 新幹線 / ポケットモンスター / タモリさん / BLANKEY JET CITY / ロケット / 買い物 / 肉 / コート / プラネタリウム / ポイント10倍キャンペーン / 写真を撮る / 食べ放題 / 東京タワー / エレキベース / インスタグラム / レゴ / グロッケン / KEN ISHII / ジャン=ポール・エヴァン / クリスマス / 小豆島 / 革の鞄 / NUMBER GIRL / プール / 神戸 / 野外フェス
……「好き」48
ファッション誌「FUDGE」の大人気連載を主に再構成し、大幅加筆、書き下ろし多数収録。
感想・レビュー・書評
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あまり本が読めない時に、パラパラと好きなページを読む本として良いと聴いたのでリビングにおいてたまに読んでいた。
著者の好きなものが見開き2ページずつで語られていく。(ミッフィー、クリスマス、ぬいぐるみ、古畑任三郎、ゆらゆら帝国など)
「好き」の因数分解とは何なんだろう?
好きな理由だけではなく?何に分解されるか?読むたびにわからなくなる。
途中、自分が好きなものが何なのか?それが何故好きなのか?を紙に書き出してみた。
理由ばかり並べてしまう。
読了したことをSNSで発信してるツイートを見かけて「いいね」を押す時、その発信者に対してではなく読んでる作品が好きで「いいね」をしている。それを意識してから何となくモヤモヤしていた。
この本を読んで、モヤモヤの正体がわかった。
やはり好きなものを語ることはその人自身が見えるまで結構な量と内容が必要で「自分と照らし合わせた感想、ほぼ自分語り」にまで到達しないと発信者自体は見えないように感じた。
要はTwitter(X?)の文字数の中で、初見の人向けに概要や感想を詰め込んでも発信者は見えない。ある程度のパターン(賛否)までしか感じられないのでは無いか?
なので読了した報告に対してのいいねをつける行為や、中途半端な発信をする行為に少し疑問や疲れを感じてきた。
(単に好きな作品を広める目的もあるはずだし、別にそれは良いのですが…)
休むはずの軽めの読書だったのに、何だか疲れてしまった。
それくらい各ページ、考えさせられる量が物語よりも圧倒的に膨大な本だった。
まだリビングに置いときます。
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『「好き」の因数分解』読了。
なんとなく気になって読みました。すごーく、好きなことについて溢れていた。
読んでいて「その感覚、わかる!!」が何度もあったので面白かった。詩人の方なんだけど、好きなことについてを文章化することが難しいと書いてあった。それでも熱量は伝わった。すごかった。
2020.10.23(1回目) -
2020.7
言葉がピューっと光って弾けてあっちこっちに飛び交って最終的に私の中に届くみたいな。スパーク。「好き」から飛び出した感性。自分も好きなものを100あげたらいったい何がみえるかな。
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好きとか大好きとかそんなありきたりな言葉では表せないくらいに好きには色んな種類があってその想いの大きさや深さ、広さもさまざまで。なのにどうして「好き」以外にその気持ちを表す言葉が生まれないのだろう、と思うことが多々ある。だからこそ、好きを延々と書き続けただけの(だけ、と表現したのは良い意味で)この本には呆気にとられてしまった。何度も読み返したい作品。
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最果タヒの著書は感想が書きにくい。
著者の想いが洪水の如く溢れ出していて、とても自分のキャパでは受け止めきれない勢い。
それでも心地よく、著者が好きなものと自分が好きなものが同じだとおおってなり、その内容を見て、深い、深すぎるぜぇってなる。
たしかになんで好きなの、それが好きな感覚ってどんなんって言われても言葉に、文字にするのは難しいな。どうしても薄っぺらい言葉になってしまう。
でも著者の言葉は一つも薄っぺらくなく、いっそうの深みを増し、対象をさらに魅力的なものにする。
正直、素直にここまで言葉で想いをぶつけられることに畏敬の念を抱く。自分ももっと自分と向き合いたい。でも、自分から外に出たい。ああー、いい本だった。 -
個人的に胡散霧散した言葉が収縮する美しさを眺めていた。でも決して綺麗じゃない、もしかしたら面白くもない、じゃあ面白いってなんだ? こんな風に最果タヒさんは自分の感情を出来るだけ正確に捉えようと、実直で誠実だと思った。
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好きな何かに対する最果タヒさんの距離と角度の取り方が素直に書いてあります。対象は人だったり場所だったり概念だったり。導入のスムーズさに嘆息し、もし寅さん映画が新しく作られるならば、前口上は最果タヒさんのが聞いてみたいな、と思った次第です。
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好きなことを語るのは自分のことを語るようでいて、でもそれは自分のことではないという圧倒的な疎外感
だから僕は、好きなものについて聞かれるのが苦手だ
最果タヒはその疎外されていることも受け入れて、好きを因数分解する
自分の知っているものも好きなものも全く知らないものも出てくるけれど、そこにある感情のざらつきは自分が好きなものに対して感じるものと通じていて
なんかそのざらつく感じ、が好きなのかなって思ったり
自分の好きなものについて語るのはとても難しい
でも、それを楽に喋れる人を羨ましいとも思わない
この最果タヒが好きなものを語る態度こそ、なんだかとても大切なことな気がした