- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784901477611
感想・レビュー・書評
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表象文化論学会による学会誌。
学会誌ではあるが、会員向けの内容に特化したものではなく、ひろく学術的に
文化を論じるための場を作ることを意図している。表象というとなにかわからないが、
狭くとらえることはなく、むしろ人文全領域にわたると考えた方がよさそう。
目次をみるとそれがわかるので簡単に抜き出してみよう。
対談 人文知の現在 浅田彰X松浦寿輝
共同討議 閉塞する人文科学を越えて 岡崎乾二郎+中沢新一+ファブリアーノ・ファッブリ+リピット水田尭
寄稿 人文知の未来
鵜飼哲 無条件性の試練
岡田温司 「弱い学」の方へ
神崎繁 言葉と表象
竹村和子 暴力を思考すること、表象すること
斉藤綾子 過去という名の未来
松岡心平 「遊行」の表象文化論
翻訳 人文学の未来 サミュエルウェーバー
論文 自己展開するイメージ 柳澤田実
アウシュヴィッツのあとにテレビを見ることは野蛮か 竹峰義和
(後略)
面白かったのは浅田彰の対談。
彼は技術と資本のみに価値を見出すアメリカ的なテクノキャピタリズムを批判しながら、それに対するヨーロッパ的教養主義の復活も否定する。
さらに日本のアート界を例にとり、現在の文化状況は、空虚な形式の反復に終始するオタク文化であり未来はないと一刀両断する。
現状の分析として、とくに日本社会の分析として、そうだよね、とくに若い人達はいままでの歴史的経緯なんて気にしていないよねと、2ちゃんねるに集う人達やワールドカップの盛り上がり方、韓国人、中国人に対する差別感情を思い浮かべて納得しました。
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