14歳からの哲学 考えるための教科書

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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901510141

作品紹介・あらすじ

人には14歳以後、一度は考えておかなければならないことがある。
 言葉、自分とは何か、死、心、他人、家族、社会、理想と現実、友情と愛情、恋愛と性、仕事と生活、本物と偽物、メディアと書物、人生、善悪、自由など、30のテーマを取り上げる。

感想・レビュー・書評

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  • 古典と神のくだりだけいただけなかったけど良かった
    毎日輝いて見えるときも、全然元気でない日も、全部は自分の捉え方次第、元気に生きて行きたいわね

  • 飲茶氏の『14歳からの哲学入門』のあとがきに本書のことが触れられており、飲茶氏が池田晶子氏をリスペクトしているということから購入。
    また、10代になった2人の子供がいることから、ネットを中心に情報の渦に巻き込まれながら過ごすであろう思春期に、時には立ち止まって考えるための哲学的思考を持つきっかけを得られる本を探していたという理由もあった(副題が「考えるための教科書」と銘打ってあるので)。

    本書は14歳からの哲学パートが2つと、17歳からの哲学パート1つという3部構成となっており、14歳からの哲学パートの前半はざっくりいうと「自分と他者」、後半は「自分と社会」というテーマから成っている。
    17歳からの哲学パートは、さらに広い範囲を扱い、宇宙、人類の歴史、善悪、自由、宗教、人生の意味、存在など、答えのない抽象的なテーマにも踏み込んでいる。

    著者の池田晶子氏は、哲学者というよりも文筆家と紹介されることがあるように、その文体には専門的な哲学用語や哲学的言い回しなどは一切なく、終始語り掛け口調で書かれている。
    特に本書は(活字離れが進んでいる)中高生向けに書かれていることから、"思春期あるある"なネタを取り上げながら、読者を飽きさせない気遣いが感じられる。
    ただその根底には、ソクラテス的対話の重要性や、心身問題、存在論など長い時間をかけて語られてきた哲学的課題を取り入れながら、理解しやすい表現で読者に考えさせている。

    自分にも他者にも社会にも嫌悪感を抱きやすい多感な時期だからこそ、また複雑かつ多様で答えの見えない時代だからこそ、モヤモヤを抱えながらも「考える」ことが生きていく上でますます必要不可欠となることを、本書は改めて教えてくれる。
    2020年代の言葉でいえば、考え抜くことで「ネガティブ・ケイパビリティ」が強化され、先行き不透明な現代を生きるための力と自由意志を得られる可能性が高まる、といったところだろうか。

    本書に挙げられているテーマに関しては、著者は万人受けするような答えは何も書いていない。
    だからこそ、答えのない漠然とした、モヤモヤしたテーマに対して向き合うきっかけを与えてくれるのが本書の価値なのではないかといえる。

    中高生だけではなく、中高生を持つ親にとっても、自分の思春期に抱いた感情やモヤモヤを本書を読んで思い起こすことで、子供との建設的なコミュニケーションを実現するための一助となるかもしれない。

    読後にどう感じ、行動するかは本人次第だが、自分の子供が中学3年前後になった頃に読ませたいと改めて思えた一冊であった。

  • 中学生でも理解できるように変に難しい言葉は用語を使っていないので分かりやすい。

    自分は友情、恋愛、家族について色々考えてこの本を読んで逆に思考が停止した。

  • とにかく読みやすい
    14歳向けの本を40歳が本気で読む
    馬鹿にするなかれ
    意外と出来てないから
    池田先生が優しく諭してくれる

  • 10年以上前に読んだ。哲学って「よくわかんない」人生の問題をうまく考えることができるようにしてくれるものなんだと思った覚えがある。
    発売から20年以上が経ち著者も他界されていても新聞広告に載って、オオッて驚くとともに、再び出会ったのに縁を感じる。

  • 自分で考え自分で真理に辿り着く、そこに至るまで沢山沢山考える
    知識を覚えたからといってそれを自分の答えのように語るのではいつまでも自分の中の答えにたどりつけない
    何歳であろうと考えるのに遅すぎるということは無し、死ぬまで「存在」とは?「死」とは?「人生」とは?色々考えていきたい
    いろんな事に惑わされるような若い時にこそ、じっくり己と向き合って欲しいし、その考え方の手助けになるような1冊だと思いました
    14歳からの教科書とありますけど、決して子供向けの易しい本というわけではなくて(語り口はやさしいですが)、自己啓発本を大量に読むくらいならこれ1冊でじっくり物事を考えて、己と向き合ったほうがいいんじゃないかな〜と思います


  • P19
    「正しい」ということは、自分ひとりに正しいことではなくて、誰にとっても正しいことだと、わかってきたね
    P22
    この世の中には、当たり前のことよりも不思議なことは存在しないんだ
    P23
    君は誰にとっても正しいことを、自分ひとりで考えてゆけばいいんだ。なぜって、それが、君が本当に生きるということだからだ。
    P46
    死体は見ることができるけれども、死は見ることができない

    P50
    生死の不思議とは、実は「ある」と「ない」の不思議なんだ。

    P61
    心とは『すべて』なんだ。体のどこかに心があるのではなくて、心が全てとしてあるんだ。

    P 65
    他人の痛みは、やっぱりどこまでも他人の痛み、わかろうとしてわかることのできるものではないと言うことだね。

    P 67
    自分が存在しなければ、世界は存在しないんだ。自分が存在すると言うことが、世界が存在すると言うことなんだ。

    P74
    動物たちは、動物たちの真実を生きているけれど、その真実とは何なのかを考えるということはしていない。真実とは何かを考え、それを言葉で人に教えるということができるのは人間だけなんだ。

    P 83
    社会は、それぞれの人の家の観念以外のものでは無いのだから、それぞれの人が良くなる以外に、社会を良くする方法なんてあるわけがないんだ。

    P 84
    結局のところ、社会と言うのは、複数の人の集まりと言う単純な定義以上のものではない。それ以上の意味は、人の作り出した観念だと言うことだ。

    P 88
    規則と自由、規則と不自由の関係とは、つまりこういうことなんだ。その人が規則で禁止されたり、命令されたりしている。そのことに、関心があるかないかということなんだ。

    P 91
    自由と言うのは、国家や社会や法律が与えてくれるものだと思い込んでいるんだ。挙句、自分の自由を外側に要求すると言う事は大きな勘違いになるのだけれど、こんな要求が満たされるわけがないとわかるね。だって自由は、自分の内側にしかないのものだから。

    P 93
    理想と現実と別のもの、理想を現実の手の届かないものとしているものは、現実ではなくて、その人なんだ。自分で理想と現実とは別物だと思っているんだから、理想が現実にならないのは当たり前のことじゃないだろうか。

    P 97
    自分の力がとても及ばないことを思い知り、あぁやはり現実とはこういうものなんだと、挫折感を抱くかもしれない。でも、決してそんな事はないんだ。理想と現実とは別物では無いのだから、君が理想持っている、それを失うことなく持ち続けていると言うそのことだけで、それは十分に、現実的な力として、この世界の根底で確実に働き続けているんだ。無論、すぐになんか実現しないさ。だって、世界にはこれだけの人々がいるのだものでも、君が理想を失わないのであれば、いつかは必ず実現するんだ。

    P 116。
    何のために生きるのか、人生の意味は目的が明確では無いから、生きるために生きていると言うことになる。(生きるために生きている)そう自覚して、そう生きることを選んでいるなら、これは立派に1つの人生の意味であり目的だ。人生の意味は目的を求めることなんて自体が、人生の覚悟が座ってない証拠だってわけだね。

    P118迄

  • 14歳向けとしての言葉遣いではあるが、本質的な考えることについての哲学

    しばらく振りに読むが、固有名詞等以外は今でも全く新鮮。
    昔よりはわかる部分は増えて、ことばの扱いや、そのものの捉え方に驚くと共に、やはり未だわからない部分も少なくない。

    歳頃の子供に読ませて、一緒に話してみたくなった。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田晶子の作品

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