Ferris Books (7) かきやりし黒髪―恋歌への招待

著者 : 谷知子

• フェリス女学院大学 (2004年10月29日発売)

感想・レビュー・書評

[matoさんの感想 · 2019年7月1日]

谷さんのほかの著作が面白かったので。

小野小町や、式子内親王など、有名な歌人の和歌を中心に、禁断の恋や、空想の恋、また恨みや美女ゆえの伝説などをテーマごとにまとめた本です。
初心者にも入り込みやすい作りですし、テーマも面白く、古典の世界の艶やかさを感じられる本です。
それなりに古典の世界を知っていても楽しめる部分多いのは、知識理解にとどまらない、筆者の視点の鋭さがあるのではないかと。
建礼門院右京大夫集には興味が湧きました。

古典の案内本は、どうしてももとの文の引用が多くなりがちですね。この本は和歌が中心に据えられているのでコンパクトにまとまっているように思います。
個人的に式子内親王の和歌が好きです。儚げな中に恋の激しさを感じさせる和歌が多いからです。

今回読んでみて、私は新古今集の和歌が好きだということに気がつきました。若い頃は古今のほうが好きだったのですが、奥行きや場面のたおやかさ、優美さなど、どれをとってもステキです。
源氏物語との関連性は全く知らなかったので、源氏物語の凄さを改めて感じました。

著者プロフィール

1959 年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得。博士（文学）。フェリス女学院大学文学部日本語日本文学科教授。専攻は和歌文学。
著書に『和歌文学の基礎知識』（角川選書　KADOKAWA）、『ビギナーズ・クラシックス　日本の古典　百人一首（全）』（角川ソフィア文庫　KADOKAWA）など。

「2021年 『和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首』 で使われていた紹介文から引用しています。」