ニセ科学を10倍楽しむ本

著者 :
  • 楽工社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903063416

感想・レビュー・書評

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  • そうねと思うとこも、知らなかったこともあったけど、
    結局、直接関係してくるまで考えないんだろうな。
    この本に載ってることが正しいか調べる興味がわかなかった。
    案外、知りたいことは既に調べてるなと気付いた。

  • ニセ科学に引っかからないために
    ・話の出所を確認.
    ・誰が言っているのか調べる.
    ・キーワードに注目する.
    ・反論に目を通す.
    ・数字に注目する.
    ・理屈で考える.
    ・実験してみる.
    ・自分の目を疑う.
    ・願望と事実を区別する.
    ・正しい科学知識を身につける.

  • 著名人の方々が賞賛していたので
    ついつい買って読んでみました。

    サイエンス好きだと自分では思っていましたが、
    これをみてまだまだ客観的に事象を捉えられていないなと
    反省してますw

    こういう本を若いうちに見ていたら、
    テレビの見方とか、流行のモノなんかにひっかかることなく
    それなりの論理だった見解が養われるんじゃないかな~って
    思ったりしちゃいました。

  • 疑いつつ、信頼点を見出す。(篠原遊馬)
    この言葉を思い出し、また、10年ほど前に、水の伝言を嬉々として、
    僕に語った昔の彼女の無邪気な笑顔を思い出した。
    悪意無き無知の喧伝も悪意に等しいと思う。

  • ニセ科学
    (科学的な様で,科学的な裏付けの無い事象や噂)について
    バッサリ否定している本

    ■まとめ
    メディアや偉い先生でも間違うことは多いので
    情報を鵜呑みにしないことが大切.

    ■気に入った点
    科学的知識が無くても読めるぐらいに簡単
    文系の人や,中学生などでも理解できそうな点は良かった.

    縦書きの書物になれてない私としては
    横書きで,行間が広かったので,読みやすかった.
    スラスラ読めた気になれた.

    ■個人的に気に入らなかった点
    各章のタイトルが気にくわない
    例:「ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる?」
    という章のタイトルで
    ゲーム脳なんて,ニセ科学ですよという内容だけど
    他人から除見されたときに,一瞬タイトルだけ見ると
    ゲーム脳を肯定しているような本に見えるのが気にくわない.

  • ● 微生物が作り出すものが、人間の役に立つものであれば『発酵』と呼び、役に立たないのなら『腐敗』と呼んでいるんです。それだけのちがいです。

    ● 「すべての物質は毒であり、毒でないものはない。毒かそうでないかのちがいは、量のちがいだけだ」パラケルスス

    ● どんなことでもそうだけど、真相が本当に知りたいなら、まちがいとわかったことは撤回するのが正しい態度だ。

  • 「ニセ科学」といわれる、科学的根拠がないのに信じられている事象を、どこが真実と違うのか、どうしてそう思われているのか、実験の作為性などをわかりやすく解説してくれている本です。『水からの伝言』騒動あたりを思い出していただければ確実かと。実際一章はこのテーマだし。
    小中学生向け、そしてそれくらいの年頃のお子さんを持つお父さんお母さん向けですかねー。
    シリーズ物の第二段です。前回は『超能力番組を10倍楽しむ本』でした。コレも面白かったです。

    まあなんにせよ、疑うことを忘れずに、ということで。

  • ニセ科学ネタは大抵「なんとなく怪しい」と思っても、自分で明確に「ここが間違っている」と指摘する事は難しい。この本ではそんなニセ科学の間違った所を的確に反証してくれる
    解説の中で、行動心理や統計分析の考え方がさりげなく紹介されていて興味深い
    本書の対象年齢は中学生以上との事、でも子供がこの本の影響でニセ科学批判をすると、周囲から「生意気な子供」として出る杭は打たれるような気もする(そうならないことを祈る)

    【第1章 水は字が読める】
    ・水は字が読める
      綺麗な音楽(モーツァルト)を聞かせると、綺麗な結晶ができる。汚い音楽(ヘビメタ)を聞かせると、結晶が出来ない
      →作物にモーツァルトを聞かせると生育が良くなるというのもニセ科学?
    ・さまざまな結晶の写真から、自分たちが「水の性質をよくあらわしている」と思った一枚を選んで、本に載せているだけ。
     →実験に再現性がない。(客観でなく主観)

    ・ごはんをビンに詰めて、「あのがとう」と声を掛けたビンの中身は発酵して良い匂いがした。「ばかやろう」と声を掛けたビンの中身は腐って悪臭がした
     全国から「自分で実験したら、本当にそうなった」との声が寄せられる
      →確率の問題。100人が実験したら、そのうち何割かは「ばかやろう」の方が腐る。(瓶詰めした空気中に含まれる微生物に実験結果は左右される)
      →実験がうまくいった人だけが感動して報告する。うまくいかなかった人はわざわざ報告しない。(=生残りバイアス)
    ・食べ物が腐って困るのは人間の都合。ものが腐る=分解して土に変えるのは自然のサイクル。

    ・「水からの伝言」は反面教師としてなら、道徳の良い教材になる
      ?人の言うことをうのみにするのは危険   →大勢の人が「本当だ」と信じていても、事実でないことがある。あやしい話を聞いたら「本当かな?」と疑問を持つことが重要
      ?うわべに惑わされないようにしよう    →正しいかどうかを、外見の美しさで判断してはいけない
      ?間違っていたらそれを認めることの大切さ →科学は間違いを認めるが、ニセ科学は決して間違いを認めない。間違いを認めるのは勇気が必要だが、大切なこと

    ・ディプロマミル(卒業証書製造所)、ディグリーミル(学位製造所)と呼ばれる、卒業証書や博士号を売っているインチキな大学が海外にはたくさんある。
     大学と名乗っていても実際は「〜ユニバーシティ」、「〜カレッジ」という名前の会社に過ぎない。
     本の著作者紹介で海外の聞いた事のない大学名が出てきたときは注意。
     見分け方の1つとして、その大学のサイトのURLを見る。正式の教育機関なら末尾がeduだが、ニセ大学はorgやnetになっていることが多い

    【第2章 ゲームをやりすぎると「ゲーム脳になる」】
    ・最近の子供はキレやすい
      1961年  2006年
       448人   73人  …未成年の殺人犯検挙人数
       2.19%   0.59%  …少年人口(10歳〜19歳)10万人当たりの比率
      →昔の子供の方が荒れていた。今の子供はむしろ大人しい。(昔の事件は忘れているだけ)

    ・アルファ波のでるヒーリング音楽もニセ科学に近い
      →特別なCDを聞かなくても、目を閉じて静かにしていれば、自然にリラックスしてアルファ波は出る

    ・本来、子供の躾は親が気をつけるべこと。子供がどんなゲームをやっているかチャックして、子供に良くないと判断したら止めさせれば良い。社会やゲーム会社のせいにするのは間違い

    ・人間は未知のもの、よくわからないものに不安や恐怖を覚える。
      →時代劇での大量殺人シーンは許容しても(拍手喝采)、ゲームでの殺人シーンは暴力的と嫌悪する(子供への悪影響を心配)

    ・脳トレもニセ科学
      →脳トレの根拠。考え事や複雑な計算をしているときはあまり脳が活動していない。逆に簡単な計算を早く解いたり、音読をしていると、脳全体が活発に活動する。これをトレーニングに活用。
      →簡単な問題を早く解く=目が激しく動く。音読=目が動くし、言葉や声を発する →脳のその活動を司る部分が活発化する
      →単に脳のいろいろな部分が忙しく活動しているだけで、ものを考える能力が鍛えられているわけではない
      →脳の活動が忙しいくない=脳が必死にならなくても、問題が解けるということ →何事も慣れてくると、脳の活動領域は狭くなし、それは悪いことではない

    ・脳トレでお年寄りの認知症が改善?
      →被験者のお年寄りに、週に2〜3回スタッフが付き添って、やり方を教えたり、アドバイスしたり、いろいろお喋りをした
       脳トレそのものより、若い人と交流することによって、認知症が改善した可能性がある
       ※実験の観察行為が、実験結果に影響を及ぼすことがある →注意

    【第3章 有害食品、買ってはいけない】
    ・中国からの輸入食料品は危険か?
     (2006年のデータ)
      中国  アメリカ  
      96,264  18,172  …食料輸入件数
       530   239  …食品衛生法の基準値の違反件数
       0.58%   1.32%  …違反比率
      →中国は違反件数は多いが、違反比率はアメリカより少ない
      →中国食品の安全性を問題視するニュースが多かった →記録より、記憶?(可用性バイアス)

    ・農作物から残留農薬が検出される割合
      国内品 0.02%
      輸入品 0.03%
      →その差はたった0.01%

    ・ベストセラー「買ってはいけない」の問題点
      →食品に含まれる添加物を過度に危険視して、「保存料や着色料にはこんな害がある」というデータを上げて、読者を怖がらせる。
       しかし、食品の中にどれくらいの量の添加物が使われているかについては、はっきり言わない
       実際は、食品メーカは基準値を守って添加物を使っている為、安全。(例えば、害が出る量の10万分の1しか使っていないなど)

    ・格言
      全ての物質は毒であり、毒でないものはない。毒かそうでないかの違いは、量の違いだけだ。(16世紀のスイスの医師パラケルスス)

    【第4章 血液型で性格がわかる】
    ・バーナム効果 …誰にでも当てはまる曖昧なことを言われると、自分の事を正確に言い当てられたように錯覚してしまう事象
      →例)血液型による性格判断、占い

    ・統計学の世界では、偶然にかたよりが起きる確立を計算する方法がある=カイ自乗検定。普通、カイ自乗検定で偶然に起きる確率が5%以下なら有意とみなされる。
     →ただし、危険率5%ということは、20回に1回ぐらいは無意味な偶然で起きることもあるわけで、たくさんの集団を調べれば、「危険率5%以下で有意」という例はいっぱい見つかる

    【第6章 2012年、地球は滅亡する】
    ・マグニチュード7以上の大地震は世界で年平均18回も起きている(USGSアメリカ地質調査所)
      ただし、ほとんどの地震は人口の少ない場所で起きている為、被害も少なくニュースになり難い

    ・動物の異常行動で、地震の予知ができるか?
      →たまたま、動物の異常行動のすぐ後に地震が起きると「あれは自身の前兆だった」と思って記憶に残る
       その背後には、忘れ去られた異常行動(=地震が起きなかった)がいっぱいある
      →想起し易さ(可用性)ヒューリスティクス

    ・証明するには?
      →「異常行動の直後に地震が起きた」という以外のデータも必要
         A:ペットが異常行動を起こし、直後に地震が起きた
         B:ペットが異常行動を起こし、直後に地震が起きなかった
         C:ペットが異常行動を起こさず、直後に地震が起きた
         D:ペットが異常行動を起こさず、直後に地震が起きなかった
         ※調査前に基準を決める。「直後とは何時間以内か」「どのくらいの大きさの地震を含めるのか」など
         ※また、地震が起きた後、異常行動を思い出して記録するのはNG。あくまで、異常行動と地震は別個に記録する
         →科学って面倒くさい。(地味な観測が大事)
         
      →次の数値を求めて、比較する
         E = A / (A + C)  …地震が起きた時に、ペットが異常行動を起こした割合
         F = B / (B + D)  …地震が起きなかった時に、ペットが異常行動を起こした割合
      →比較結果
         E = Fの場合、地震が起きても起きなくても、異常行動を起こす率は変わらない →動物が地震を予知するという説は否定される
         E > Fの場合、動物が地震を予知するという説の証明になる

    ・予知が当たった例だけ取り上げても意味がない。その何十倍、何百倍ものハズレを無視している。



    【第7章 アポロは月へ行っていない?】
    ・アポロ陰謀論FAQ - ASIOS - http://www.asios.org/apollo.html

    ・地球の空が青いのは、空気があるから。空気の分子は、太陽の光の中の青い成分を散乱させる。
     月には空気がないから、光が散乱しなくて、空も暗い。

    ・月面の昼間は100度以上の高温になる。でも、気温が100度になる訳ではない。月には空気がないから、気温というものはない。
     月の表面の砂の温度が100度以上になる。砂が熱くなるのは、月の日差しが強いからではない(太陽からの距離は地球と一緒)。むしろ昼間が長い為。月の昼は15日も続く。


    【第8章 こんなにあるぞ、ニセ科学】
    ・目に盲点がある訳
      視神経は網膜の表面に繋がっていて、網膜に開いた穴を通って脳に繋がっている。その穴の部分は光を感じられないので「盲点」と呼ばれる
      穴の部分の映像は脳が補正(穴を意識することはないが、穴の部分に映るはずだった映像は見えない)。つまり、目というのは欠陥のあるカメラで、脳というコンピュータがその画像をCG修正している
      目に盲点があるのは脊椎動物だけ。タコやイカの目は網膜の後ろに視神経が繋がっているから盲点はない。
     →進化には、予め決まった目的はない。行き当たりばったりで、その場しのぎの積み重ね。
      最初から目を創る目的があった訳ではなく、原始的な器官が何億年も掛けてねその場しのぎで少しずつ進化していった結果、現在の構造になった

    ・反回神経。脳と声帯を繋ぐ神経で、左反回神経と右反回神経とがある。このうち左反回神経は、声帯から心臓の近くまで下っていって、喉に戻ってくるという意味のない遠回りをしている。
     人間の場合は10cmぐらいの遠回りだけど、キリンの場合4.5mも遠回りしている
     →先祖が魚だった頃は、心臓の近くを通る道が最短距離だった。でも、何億年もの間に体の形が変わり、首が伸びてきたのに、反回神経は今でも同じ道を通っている。それで遠回りになっている

    ・まだあるニセ科学
      イオンデトックス(足湯デトックス) …塩水を入れた容器に足をつけて、電気を流すと足から毒素が抜けて、水が茶色く汚れる
       →実は足を入れなくても、電気を流すだけで水は汚れる
       →水に含まれる鉄分や電極から溶けだした鉄のせいで水が汚れる。塩水に電気を通すと、水中の鉄が化学反応を起こして、水酸化鉄になる。これが赤茶色や緑色をしている。
      
      与那国島海底遺跡 …沖縄の与那国島の海に沈んでいる大きな岩が、古代の遺跡だという説。
       →実際は自然にできた地形
       直線的な道路や階段などが見出されたために遺跡として取り上げられたが、実際には節理という現象による自然地形。
      
      電磁波遮断シール
      バイオリズム
      月の魔力
      手かざし療法
      セルライト

    【エピローグ 疑う心を大切に】
    ・「有名な人が信じているから」「みんなが信じているから」という理由で信じるのは間違い ←同調バイアス
    ・闇雲に全て疑う必要はないが、すごくうまい話や、すごく怖い話、耳慣れない話、常識が引っ繰り返るような途方もない話に出会ったときは、まず本当か確かめる。
      →投資と一緒


    【参考資料】
      藤田一郎 「脳ブームの迷信」
      小島正美 「誤解だらけの「危ない話」」
      市民のための環境学ガイド http://www.yasuienv.net/
      幻影随想 http://blackshadow.seesaa.net/
      ASIOS - 超常現象の懐疑的調査のための会 - http://www.asios.org/index.html

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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