- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903500713
感想・レビュー・書評
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少し前に読んだ「牛を屠る」「主夫になろうよ」がおもしろく、著者の経歴に興味が湧いて、北大恵迪尞時代を書いた短篇二篇が収録されている本書を手に取った。
「二月」「八月」と題されたその短篇は、予想していたのよりずっと重く、苦しい内容だった。「北の大地で繰り広げられるバンカラな青春群像」的なものかと思っていたが、まったく違っていた。学生自治寮として名高い恵迪寮が新寮へ移行する混乱のなか、委員長を引き受けた主人公の友人が自死する。この悲痛な出来事が、二篇のトーンを決定づけている。
主人公が著者自身であることは明白で、おそらく書かれていることは基本的に事実に近いのだろう。やり場のない思いや、閉塞感がひたひたと胸に迫ってくる。そうだ、若いときというのは、バカな明るさと同時に、「死」さえすぐ身近にあるような黒々としたものを抱えているものだ。そういう心持ちを久しぶりに思い出した。
ほかの二篇も重苦しさという点では負けていない。特に「静かな夜」のヒロインの運命は過酷だ。うう、こういうのは苦手なのだ、ツライ…と思いながら、それでもひきこまれて読んでしまった。あまりにも陳腐な言い方しか出てこないのが情けないが、これもやはり絶望と再生の物語と言える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「静かな夜」の二人は、相身互いなのかなー
母子家庭ということは確かに共通点ではあるけれど。
主人公の、プライドの高さとやってあげてるのに感が気になる。
彼女と同じような経験をしていないわたしには、共感できないということなのかな。
「二月」「九月」は飛ばし読み。
これもまた、わたしは男性でもなくこの時代の大学生でもないから、共感できないということなのかな。
おもしろいんだけれど、読後感というか終わりがあまり好みではないかも。 -
面白いです。
悲しくもなりますが…