「成長の限界」からカブ・ヒル村へ: ドネラ・H・メドウズと持続可能なコミュニティ
- 生活書院 (2007年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903690087
作品紹介・あらすじ
「成長の限界」ドネラ・H・メドウズが晩年に建設を構想した農村コミュニティ=「カブ・ヒル・コーハウジング」とは何か?崩壊しつつある地球環境を守り、持続可能性をめざす暮らし方を追求する思想・実践を、メドウズのエッセイとともに紹介。
感想・レビュー・書評
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持続可能な生き方を求めるコミュニティーとして生まれたこの村の発案者は、ディナと呼ばれる、あの「成長の限界」の著者である。
理論から実践に発展したこの村の入口には「持続可能性研究所」があり、次世代のリーダー養成をも目指していると言う。
この本はこの村に住む人々のインタビューを含めて、現状と今までの過程を伝えている。
こうした有志による村(コミュニティー)には、およそ6種類の形があるらしい。
1) コーハウジング
すべての居住者が自分の住居と村を所有し、村の事業の計画を立て運営していく。
共通の理念を確かめ合った者達が集まり構想を練って実践していく。
2)住宅向け土地信託によるコミュニティー
NPO法人が取りまとめるケースが多いらしい。
居住費を収入の30%以下に抑える方法として立案され、文化施設・商業地域・公園などを含めて計画するもの。
インドのGramdanと言うシステムにヒントを得て作られたものらしい。
3)エコビレッジ
社会的・経済的・生態学的・に持続可能な村を想定して計画するもの。
精神性も含めて価値観を共有する人達の集まり。
人口を50人から150人を単位として構成される。
ヒューマンスケールで生活のほとんどをまかなえるだけの機能を備える。
村が自然世界の中に統合されていること。
健全な成長を支え未来に持続していくことを目指す。
4)コミューン
イスラエルのキブツに代表される村の形態で、ほとんどの資産を共有する平等主義と言われている。
武者小路実篤の「新しき村」は80年以上の歴史を持つコミューンと言える。
5)アシュラム
元々はインドの高僧が俗界を離れて修行の場としたところ。
今では指導者が率いて信者達が修行しながら暮らす所が多くなっている。
ガンジーがいたアーメダバードのサーバマーティンが有名。
6)コーポラティブハウス
共通の理念を持った者を募り、設計段階から意見を持ち寄って住人の納得の上で建てる集合住宅。
参加者の希望や総意を設計時点から反映することができ、菜園などの共同部分の運営を協力しながら暮らせる。
協同組合を作って不動産を所有し、住人は家賃を払って借りる借家人であり大家でもあると言う二重の権利と義務を持つこともある。
コーハウジングに位置する、カブ・ヒル村には、指針・内部規則・一般規則と協定というものが文書化されているらしい。
http://www.sustain-abilityinstitute.org/cobbhill/index.html
その一部を紹介すると、物質的に十分足りて、社会的に又生態学的に責任を負い、精神的にも満たされた暮らしを実現しようと挑戦する人々の集いである。
持続可能な土地の運用をするために、有機農業・生態学に基づいた林業の実行。
技術責任等の共有・相互理解・意見の組み立て・追突の解消・多様性の尊重・そして愛に満ちあふれた状況を醸成させ実行し分かち合う。
物事は多数決でなく、構成員の意見の一致によって決定される。
個々の総和よりもすぐれた全体を創造できたとき、コミュニティーは立ち上がる。
自我を越えて精神的成長を目指すことを個々に求める。
協力と適切な生計の術を学習して実践して行くには、小規模であることを必要とする。
持続可能性につながる一本道などないことを認め、謙虚にこの冒険に乗り出す。
自らの能力の頂点を追及し、他を非難することなく、進んで実験を行う。
事実を語り失敗から学習する。
誰にも強要はできない。それは私達が到着した場所でなく、私達が向かいたいと思っている方向に過ぎないからだ。・・・詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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