句動詞の底力―「空間発想」でわかる広がる英語の世界 (「底力」シリーズ5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903738321

感想・レビュー・書評

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  •  動詞+前置詞や副詞の2語や3語のかたまりの、前置詞や副詞を「パーティクル」と称し、動詞や「パーティクル」の意味を解説しながら、具体的にどんな「句動詞」が出来るか列挙したもの。
     何というか、普通こういう英語本って前置詞とか動詞の「コア」的な意味を解説して、それがこんなにもあんなにも応用されます、だからコアの意味を1つイメージしましょう、みたいな話になるのが定番な気がするが、この本はそういう流れと逆を行く、珍しい本。
     著者はとにかく分類するのが大好きらしい。カテゴリー、サブカテゴリ―、パターン、レベル、グループ、タイプ、とあらゆる分類をしまくる。「句動詞を5つの大きなカテゴリーと33のサブカテゴリーに分類してみましたが」「このように分類していくと、句動詞はひとつひとつ覚えるよりも、どんな『グループ』に属しているかを調べたほうがよいことに気づくでしょう。グループに分類しながら学習することが結局はもっとも効率的なのです。」(p.174)って、なんておめでたい人なんだろうか。そのカテゴリーの名前も「生産と注意」で1つのカテゴリー、「外見と特質」でまた別のカテゴリー、のように、ものすごい頑張らないと理解しがたい分類になっている。その後、「この本で唯一の『練習問題』」(p.176)と称して、25の文に現れる「句動詞」を分類する練習をさせられるが、別に分類することが目的なのではなく、この文の意味が分かるようになることが目的なのに、と思ってしまう。さらに、いくつかの分類の解答について、なんでそう分類されるのか、長々と解説が続き、結局パッとは分からない分類を一生懸命考えてやらないといけない。さらにawayには5つのカテゴリーと、8つのサブカテゴリーと、15の意味があることが示され、カテゴリーに分類していくと「意味の地図」を作ることになって、楽しいし、頭に定着しますね、みたいなことが書いてある。みなさんもカテゴリーに分けてみましょうね、と続くが、一体この人はこんなに分けて何がやりたいのか、本当に考えてしまう。変に分けるとかせずに、いっそのこと安藤貞夫の『英語の前置詞』みたいに、とにかく列挙しまくって、帰納的に、直感的に、こんな意味、とやる方が、害もないし勉強になって良いと思う。
     上で述べているのは割と中盤戦の話だが、文法的な構造の分類、というのが割と最初の方に出てきて、●■□みたいな記号をクチャクチャ並べて7種類の分類をしている。もうこれで英語が嫌いになる。「ふつう代名詞は最後に来ないけど、最後に来るパターンが2つあって、あとは代名詞は間に挟む」と説明すればそれでいいのではないだろうか。それ以上詳しい振る舞いは、知ったとしても個々に覚えられる訳ではない時点で、あまり意味をなさない。しかもそれだけ頑張っても「91%」(p.76)しかカバーしていないというので、絶望する。ただ残りはitやoneselfが含まれるものらしいが、これも「itやoneselfや分かりきった目的語が、多くの場合に省略されるけど、残っているものもある」と説明するのが、わりとよくある説明だと思う。「視覚的なアプローチであるシンボルの活用はきわめて有効です。学習者は新しい句動詞に出会ったとき、辞書で用法を調べると同時にシンボルを記しておくことにより実用的な形で覚えることができます。」(p.63)って、●■と■●と□●と、って並べても、こういうのを視覚的に分かりやすいとは言わないと思う。もはや視覚化したのかどうかすらよく分からなくなる。あとsee something special in a young manのsee in(p.89)ってこれは「句動詞」として処理されるものなのか、とか、あとはおれの不勉強なのかもしれないけど、There is a draught. Please pull the window to.(p.173)なんて言うのか、とかちょっとずつ疑問に思うところもあった。
     これだけ悪いことを書いてしまったけど、ただおれは毎回知らない英語の表現を見つけるのが楽しいので、勉強にはなる。put on extra trains「臨時列車を出す」(p.87)とか、知らなかった。The doctor put the patient on the medicine.(p.169)は、うっかりするとput the medicine on the patientと言ってしまいそうだなと思った。他にも色々あったので、エクセルにまとめることにする。あと言われて気付いたのは、「呼び出す」call out、「探し出す」search out、「生き抜く」live through(p.152)のように、日本語の動詞も2つ組み合わせて使うのが英語の動詞句にするのと似ているというのは分かるが、「記入する」fill inのように「音読み動詞」(p.150)のように漢語にもそういう2つの語がある、というのは確かに、と思った。そして、動詞の意味よりも「パーティクル」の意味の方が強く出やすい(p.195)(もちろんその逆もある)というのは、確かにそういう考え方は面白いと思った。分類しようとは思わないけど。
     ということで、何となく良さげだな、とか「底力」シリーズはいくつか読んだことがあって(微妙なものもあったけど)、とりあえず読んでおこうという感じで買ったが、この本は本当にハズレだった。著者は母語が英語だから、日本人がどんな気持ちで英語を勉強するのか分からない人なのか。しかもおれが使っていた『ライトハウス英和辞典』とかの著者の1人だったということもショックだ。辞書をやる人だから、こんなにも分類するのが大好きなのか。そしてこの本の続編もすでに買ってしまっている。ということで、申し訳ないけどあんまりおすすめできない本で、残念。(20/04/01)

  • 『英語は空間が大好きな言語』という視点から、日本語と英語の発想法の違いを説明しているので、すごく分かりやすいです。
    今まで何の疑問も持たずに一語の動詞を使っていましたが、句動詞の表現の豊かさを知りました。

  • 句動詞を覚えようと思っている人にまじですごく良い本。背景や考え方がメチャメチャ丁寧に書かれている。

    ジョンが家にいる

    を、日本語だと「いる」という動詞に重きを置いて「に」になるが、
    英語だと「家にいる」という出来事を空間でとらえて、inになる。(onとかatではない)(なので、「John is in the house」になる)
    という1章の説明が、初めて触れた考え方だったし、すごく印象的だった。

    何度も読んで定着させたい。

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