喫茶店で松本隆さんから聞いたこと

著者 :
  • 夏葉社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904816370

感想・レビュー・書評

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  • さらさら読めた。こころのなかにしまっておきたいような感じがした

  • インタビューを文章化しているからか、力が入りすぎていない、気軽に話しかけられているかのようなことばでした。とても読みやすかったです。
    音楽には疎くて、「松本隆」の名を拝見しても、ピンときませんでした。「はっぴいえんど」の文字を見て、「あれ、どこかで聞いたことがあるかも……」と感じた程度です。曲を思い出すことすらできません……。

    なので、事前知識がない状態で、まっさらな気持ちで、彼のことばを受け取りました。
    松本さんが何年かけてこれらの思考にたどり着いたのかわからないですけれど、自分が数十年かけてたどり着いた考えもあり、親近感を抱く部分がありました。それは、人間の本質的なところなのかもしれないですね。


    (以下、読みながら綴った感想)


    2022/12/14 p.2

    p.2
    “自分で選んだつもりでも選ばされてるかもしれない。本当は二つある選択肢が一個にしか見えないこともある。”
    大学生の頃の自分がまさに、この状況でした。

    無能な自分は、ほかに居場所がないのだから……。正社員にならなければ、家族も世間も認めてくれないのだから……。だから此処で、どんなにつらくても、耐えなければならない。
    そう思い込んでいました。けれどそんなことは、なかったです。別の道を選んでも良かったのです。

    それを、教えてもらって、良かったです。


    2022/12/17 p.2-116

    p.13
    “美味しいものがあったら、写真を撮りたいっていうのは本能だし、その写真をみんなに見せたいっていうのも本能。”
    へえ。“本能”だと捉えたことはありませんでした。
    本能ならば、当たり前のことですね。

    p.13
    “歳とるとさ、昨日食べたものって忘れるの。ほんとうに。だから、いちいち撮っておいたほうがいいのね。”
    (中略)
    “すぐに記録できるというのはものすごく豊かなことだと思うよ。”
    本当に、そうです。あらゆることを忘れてしまうから、記録しておきたいのです。だからわたしは、記録魔になりました。
    けれど、最近は、忘れてしまうことも、受け入れるようになりました。すべては消えゆくものですから……。

    p.16
    “天才って空気感染するといいなって思った。”
    その発想が天才ですよ。なるほど……。

    p.19

    (前略)ついてるかついてないかはどうにもなんないよね。そこは神様の領域。
     でもね、最近思うんだけど、ただの偶然って意外とないんじゃないかって。それは何かで用意された必然じゃないかって思う。

    凄い……。びっくりしてしまいました。
    というのも、先日友人が、キリスト教では「神様が備えて下さった」と考える、と教えてくれました。その人に必要なもののご縁を、神様が結んでくださる……みたいなお話だったはずです。
    まさしく……。

    p.35
    “この人たちは偶然生きてるだけなんだって思った。”
    誰もがそうです。たまたま、生きているだけ……。いつしぬかなんて、わからないです。

    p.63〜

    (前略)美味しい成分っていうのは、思いが入ってるんだと思う。
    (中略)
    ただ、それだと続かないから、そのために知識とかテクニックが必要になってくるわけ。
    (中略)
     思いだけじゃだめ。その人だけが「これは美味しい」って言っても、人は納得しない。

    才能で「食べている」人のことばだなぁと感じます。
    仕事にするのなら、残念ながら、ひとりよがりではダメなのでしょう。他人に、世の中に、認めてもらわなければ……。

    p.84
    “負のエネルギーがあるとしたら、それはマイナスだから、プラスでは絶対プラスに置き換えられない。”
    (中略)
    “だから、マイナスにはマイナスをかける。”
    マイナス思考で脳内が埋め尽くされている時、プラス思考のことばが嫌いでした。「何でしにたいって言うの?」「生きて」……それらは押しつけのように感じました。生きたくない時に、そんなことばは響きません。
    むしろ、しにたくてたまらない人、苦しみに耐えている人のことばが響きました。共感すると、気持ちが落ち着きました。
    「そう考えてもいい」そのことばだけで、良かったのです。本当は。

    奥付
    あ、著者の山下賢二さんって、ガケ書房の方でしたか。『ガケ書房の頃』を読んだことがあります。

  • 淡々としているのにすごく刺激的。

    物語についてのお話が個人的にハッとさせられた。

    私は昔から物語がすごく好きなのだが、その中に自分の生きる意味を探しているのかもしれない。

    見失ってるなと思った時に読み返したい本。

    装丁がとても好き。

  • 喫茶店でふと隣の席から聞こえてきた何気ない会話。
    それが妙に耳に心に残る。
    そんな本。
    大事にし続けたい言葉がいくつも。

  •  実に、夏葉社らしい一冊。
     そうとは知らずに、書店で手に取って、パラリと見て、「あ、いい本だ」と買った、自分の感性をまずは褒めておこう(笑)

     2012年から関西(神戸)に移住した松本隆。元ガケ書房の山下賢二相手に、京都の喫茶店で語らっているという、気楽な雰囲気で、本音ともいえる松本隆の哲学が、33のテーマで、さりげなく語られている。
     珠玉の金言集と言っていい。

     「イノダコーヒー本店旧館にて」の章(あまりこの章立ては意味ないのだが)、”非難について”の一節は、今の世の中、心強く生きる手立てが、小気味よく語られていて、心地良い。

     夏葉社、いい仕事してます。

  • 松本さんが語ったことがそれぞれごく短く綴られている。これがシンプルながらもぐさっとくる。「人と人は有機的」とか「才能は神様から借りているもの」とか。ぼそぼそっと喫茶店で話してくれるこの感じがたまらない。そしておもしろい。

    • スツールで読む本さん
      これは、ぜひ、読みたい!松本隆さんのファンでもあるので、言葉選びが楽しみです。
      注文してみます。ありがとうございます♪
      これは、ぜひ、読みたい!松本隆さんのファンでもあるので、言葉選びが楽しみです。
      注文してみます。ありがとうございます♪
      2022/05/12
  • 面白かった。
    京都の喫茶店で古希を越えたおじさんと息子くらいのアラフィフのおじさんが話をしてる。
    聞くとはなしに古希のおじさんの話を聴いてしまった。
    そんな感じかな。

    テレビ番組で京都の鴨川での映像が出てたけど、
    本書をきっかけに今は神戸に住んでいるって知った。

    松本隆が直接エッセイとして、林真理子の様に起承転結を考えて、何かに掲載してメジャーな出版社から出せば、
    かなりの数が売れるのではないか!?

    そう思ったのだが、
    エピソードの上面なら知っているのだが、
    妹のこと、太田裕美を採用した理由、細野さんと柳田ヒロの関係とか。
    知らなかったよ。
    というのがいっぱいあった。

    柳田ヒロは、最初、ツノダ☆ヒロと勘違いしてた。

    山下賢二という人をフィルター、あるいはバッファーとすることで、本書が実現したのならそれもありだろう。

    本書を読みながら、ストリーミングではないけど、
    手持ちのCDをキオクシアのメディアとHEOSのアプリとで
    iPhoneで選曲して、
    風をあつめて、
    ガラスの林檎、
    SWEET MEMORIES.
    等などを即聞いた。
    これも、treeか。

    TREEINGなり。

  • 季節が大事、5W1Hはいつも考えている、「あなた」「僕」などの人称代名詞は無駄だからつかわない、否定形の表現は避ける、知識が重要、とか。筒美京平先生は弟がアメリカにいてヒットチャートのレコードを大量に送ってきていた。まあ松本先生いい人だね。

  • 2023/12/15購入
    2023/12/27読了

  • OPACへのリンク:https://op.lib.kobe-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2002330960【推薦コメント:松本隆先生が時間や人生について教えてくれます。】

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著者プロフィール

山下賢二(やました・けんじ)
1972年京都市生まれ。21歳のころ、三島宏之と写真雑誌「ハイキーン」を創刊。その後、出版社の雑誌部、印刷工、古書店、新刊書店勤務などを経て、2004年にガケ書房をオープン。目立つ外観と独特の品揃え、店内音楽ライブなどで全国のファンに愛された。2015年4月1日、ガケ書房を移転・改名し、ホホホ座をオープン。著書に『やましたくんはしゃべらない』(岩崎書店)、『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』(夏葉社)、共著に『ホホホ座の反省文』(ミシマ社)、編著に『わたしがカフェをはじめた日。』(小学館)がある。

「2021年 『ガケ書房の頃 完全版 そしてホホホ座へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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