為替占領 もうひとつの8.15 変動相場制に仕掛らけれたシステム

著者 :
  • ヒカルランド
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905027348

感想・レビュー・書評

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  • 視野広く、見識深い岩本沙弓氏の世界経済論だが、為替に偏っている。「最後のバブル」の方が良くまとまっている。
    ただし幾つか貴重な収穫有り。
    1.日本国のB/S 日銀資金循環表より
      資産5,545兆円 負債5,284 対外純資産261兆円
      これは明解 トレンドが知りたい
      $国債=資産を持つためには負債=資金調達が必要
    2.基軸通貨国の特権 為替リスクなく、借金踏み倒し
     ドル高ドル高 目一杯引っ張って一気にドル切り下げ
     原油高・インフレ ドルの減価 →2022年も似てきた
    3.円高=悪は為にする論
      $投資を勧めるため
      日本国債の暴落はあり得ない
      日本は変動相場制により借金棒引きを強いられる
    4.中国元がキープレイヤーに登場
      米国の貿易赤字対策 元高を誘導 '80日本と同じ
      中国の黒字で米国債を購入 ファイナンス
    5.

  • <本の紹介>
    3.11後に、なぜ円高にふれたのか?誰もが、日本売りで円安になると思ったのに、急激な円高!その後の協調介入はなぜあれほど素早く行われたのか!?全ての疑問がこの本を読むと解明されます。為替を通してみると世界の動きと、日本の位置がはっきりと分かってきます。1971年8.15のニクソン・ショックから始まった苦難の円高、借金棒引きシステムを余す所なく暴きます。なぜ、為替介入が行われ、その米ドルは換金できないのか?しかも、ディーリングで見ていると、必ず先行してプライスアクションが起こるというリアル。全ての経済予測はこの本を抜きにしては語れなくなる。為替は実はゼロ・サムゲームなのです。

  • 証券会社に勤務してる人なら
    「あ、それは勉強会で聞いた」て内容が6割くらい。

    全然金融とか解らない、マスコミの報道だけで独学してるような若者は読んだら良いんじゃないでしょうか。

    岩本さんの相場観とか、論理がどうこうより
    「若者が頑張らないといかん!」と思った。
    これからの日本を支えて行くのは、我々若者なんだなと。
    「選挙行かねーぜ」
    「引きこもって働かねーぜ」
    「いつまでも親に寄生するぜ」
    とかやってる場合では無いな、と考えさせられた。

  • 日本って本当にお人よしなくにだと感じる
    しかし、日本側に振れたら強いと思いたい

  • 私が子供の頃に現在の変動相場制になったと記憶していますが、以前は1ドル=360円だったのですね。その頃の記憶はありませんが、最初にアメリカに旅行した時の為替レート(250円)はよく覚えています。その時と比較すると、現在の円は3倍以上強くなっていますね。

    この本では、為替変動制はアメリカの借金棒引きシステムであるとか、日本国債は暴落できない(p164)、さらに円高が進む(p50)等の興味ある内容を解説しています。

    この本を離れれば、国債バブルは崩壊する、いずれ円安になりハイパーインフレになる等、多くの経済予測がありますが、それらを総合して今後の日本や世界経済がどうなるのか考えてみたいと思いました。

    特に、日本のバランスシート(合計:5284兆円、p169)の内訳は興味深かったです。政府純負債は572兆円で、全国の4分の1を占める国有地はカウント外というのも初めて認識しました。

    以下は気になったポイントです。

    ・復興日本にとって本当に恐ろしいのは円高ではなく、急激な円安による輸入物価の高騰(p5)

    ・日本国政府が為替市場でドル買い・円売り介入をすると、政府短期証券という負債と、米国債という資産を持つことになる(p7)

    ・終戦直後から1970年代に入るまでは輸出よりも、はるかに多い資源等の輸入を360円という円安レートで取引していた、日本企業の自助努力により輸出で収益を上げてきたのが実態(p19)

    ・ドルを減価するために、金とのリンクを外した上に、10%の輸入課徴金を発表した(p23)

    ・2011年1月現在で日本国が保有する外貨は、1.0929億ドル、94.6%が外国債券、1.3%が定期預金、3%がゴールドに投資(p33)

    ・現在でも円の価値は、貿易国通貨全体で考えれば同じ、まだまだ円安水準であるので、ドル安政策を続けたり、中国が元の切り上げに動くならば、円高への余地は十分になる(p50)

    ・1995年でも製造業全体の約5割が海外現地生産をしている(p59)

    ・直接的な円高による業績の圧迫と、デリバティブ取引の損失によって起きた倒産は分けて考えるべき(p62)

    ・為替の水準は、結局のところ、金利差に等しいレートに落ち着く、金利差が5%離れていれば1年で円高は5%進む(p87)

    ・日本の輸出製品をドルで売るメリットは、明治時代等に外貨が不足していた時にさかのぼる、現在の日本の輸出比率は11%@2009で、国別ランキングは96位である(p103)

    ・日本が財政破たんすることはあり得ない、日本がするまえに世界中の国が破たんする(p150)

    ・対外純資産は266兆円で世界最高(対外資産:554)、2位は中国の167兆円、アメリカは314兆円のマイナスだが、対外資産そのものは1804兆円ある(p154)

    ・G20サミットで各国が財政目標として2013年を目途に赤字半減する案を出した際に、日本だけ例外とされたのは、国内から借入を調達できるために例外とされたから(p156)

    ・IMFは国際機関なので、口をはさめるのは、韓国・ロシア・ギリシアのように対外債務についてデフォルトに陥るときのみ、日本は対象外(p160)

    ・戦時国債は日本国が破たんして紙屑になったわけではない、ハイパーインフレが結果として国債価値を下げたために引き起こされたもの(p162)

    ・リーマン危機後に米系証券会社の収益がプラスになったのは、2010年から会計制度の変更に伴い、国債の時価評価が免除となったから、日本国債の最大の投資家である銀行が時価会計免除の恩恵を受けている限り、暴落は起きようがない(p164)

    ・政府の借金は確かに1000兆円を超えているが、資産は468兆円(金融資産のみ)、日本国土の4分の1を占める国有地は含まれていない(p169)

    ・家計資産は1990-2009年の19年間で、1000兆円から1400兆円に増えた、負債は400兆円で変化していない(p170)

    ・日本国債がなぜ売られなかったかは、増えていく預貯金のペースにあわせて発行していたから(p172)

    ・財務省は国内には借金総額を取り上げているが、海外には純債務で説明している(p191)

    ・日本の出生率は、2005年の1.26を境に現在は微増が続いて、ここ数年は1.37で推移している(p197)

    2012年1月29日作成

  • 為替における、国家間の政策や、円高についての解説など、でかい規模のお金についていろいろ解説されている本。

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/3978196.html

  • 外国為替なるものは、アメリカの借金棒引きシステムだそうだ。その棒引きシステムも限界が近づきつつあり、中国のバブル崩壊とともに、新たなルールが作られる可能性があるとか・・・

  • 第五章以外は読んだ。

  • ディーラーだった岩本沙弓さんの本は
    私が読んだ前二作「新マネー敗戦」
    「マネーで見抜く国際情勢」
    もそうだが非常に示唆に富む。

    筆者は過去の歴史、長期トレンドから
    現在のドル基軸の通貨制度が
    米国への円還流システムだと喝破する。

    なぜ復興債の法案を通すのにあれほど時間が
    かかる一方で、単独介入をする事は
    すんなり決まるのか、
    両者とも我々の公的資金のハズだが…

    その他
    なぜ、この期にドル安になるのか、
    円高は本当に悪なのか、
    積み重なった外貨準備は
    どうなるのか、
    など非常に面白く読める。

    本書を読んで感じたのは
    現在の安全保障には通貨
    の概念が大事である事だ。

  • 『新・マネー敗戦』(文春新書)の著者の最新作。米国債の格下げ問題が取りざたされている、この今を見計らったかのような絶妙のタイミングでの出版。大国の為替戦略の裏のホンネを読まなければ世界経済は読めない。わが国の財産が外国人に奪われないように、一人ひとりが日本の本当の実力を知り、賢明に行動しなければいけない。

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著者プロフィール

大阪経済大学経営学部客員教授。91年より外資金融機関にて外国為替を中心にトレーディング業務に従事。金融専門誌『ユーロマネー』誌で為替予想部門の優秀ディーラーに選出。為替のプロとして、いま大注目の経済評論家。『新・マネー敗戦』『世界のお金は日本を目指す』など著書多数。

「2013年 『経済は「お金の流れ」でよくわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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