- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784906605446
感想・レビュー・書評
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タイトルや某クイズ系Youtuberのおかげで
「おい、地獄さ行ぐんだで!」
という書き出しだけは知っていましたが実際に読むのは初めてでした。
「蟹工船」自体は日露戦争前後、資本主義が進む中での共産主義、労働者の権利などがテーマになっており、こういう時代があったのか、当時こういう考えもあるのかと非常にこの時代についてさらに知りたくなる一冊でした。
(ちょうど映画館でオッペンハイマーを見ており、赤狩り関連の話題もあったので、こういうことかと納得しました)
一方で、はるか昔のことのように感じましたがその後の雨宮処凛さんの解説などを読むと、平成の時代、なんなら、令和の今ですら労働者の権利は危ういと感じられました。
小林多喜二をきっかけに、この時代についてもっと知ってみたいと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
土、ああ野麦峠と並ぶ「三大明治鬼畜労働」の一角(自分調べ)。やっぱ明治プロレタリアート文学は最高だ。生きてるって感じがする。
最も有名なプロレタリアート作品と思うが、地獄度は他の二つに比べ意外と低い。
オホーツク海に浮かぶ地獄の蟹工船の中で、特権階級へとぶつける思いがムクムク育っていく過程が面白い。 -
あまりにも有名な作品だが、今まで読んだことがなかった。
資本主義の下、過酷な労働を強いられている人々。
名のある者が主人公ではなく、集団を題材に描かれたこの作品は、息の詰まるほど劣悪な労働環境であったことを知らしめている。
対立的に描かれる浅川もまた、歯車の一部であったに過ぎないことが最後に描かれ、どの時代も労働者階級の構図は変わらないと感じさせられる。 -
プロレタリア派の文学者であるだけに、興味を持ちにくかったが、彼の作品を読んでみると人間の生々しさが感じられ、リアルな背景を想像しやすくさせてくれる書き方がすごいと思った。
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教科書では名前とともに非常に有名な作家だが、実際には、恥ずかしながら初めて読む。
以前 National Geographic で蟹取漁(船)のドキュメンタリーを見たことがあり、その荒波下での漁の苛酷さを知っていたためか、非常に頭の中で映像化し易い文章であった。
浅川の残虐さ、非人道的扱いについて憤慨するも、それ以上に、船夫にしろ、漁夫にしろ、弾圧を受けているものが何故抵抗しないのだろうか?多勢に無勢は皆も分かっているのだから、それを武器に戦わないのだろうか?と思ってしまう。
不慣れなスト・交渉のため、幹部が連れて行かれてしまったが、その後再度のストは成功。虎の威を借りていた狐は、資本家から解雇という説明文で終わる。落ち着くところに落ち着いたので、何となく安心はするが、作品としては、その後どうなったかについては読者の想像にまかせておいても良かったようにも思う。 -
こんなに有名な(?)、重要な本を今まできちんと読んでなかつたことに気づいた。
言葉の使ひ方に特徴があり、始めのページを開いた時に一瞬、舊字体・舊仮名かと錯覚した。
これからまた何度となく読み返すことになるだらう。 -
『蟹工船』1929
雨宮処凛氏の解説、野崎六助氏の解題付きの金曜日版。
プロレタリア文学といわれる小林多喜二の代表作。蟹工船での凄まじい現状、資本主義の残酷さを肌で感じることのできたような気がした。 -
青空文庫