税金は金持ちから取れ

著者 :
  • 金曜日
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906605835

感想・レビュー・書評

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  • 解説が分かりやすく、かつテータの提示も適量。本当の愛国がここにある。

  • バブル崩壊後、戦後最長のいざなみ景気など、好景気があったにもかかわらず、我々庶民の給料は右肩下がりに減少し続けてきている。その一方で金持ちがどんどん増えている。国税庁の源泉徴収申告事項によれば、少なくとも2000年に入ってから億万長者が激増している。金持ちは余裕があり、収入のほとんどを貯蓄や投資に回すだけで消費には使わない。日本は金があるのに、これが国内で回らず消費のパイがどんどん縮んでいるのが実態。金持ちが増えた理由として、1980年から90年にかけて実施された金持ちや大企業に対し大幅な減税がある。経団連や医師会などの圧力団体に屈する形で実施された。結果として最盛期に比べ年20兆円もの税金が減ってしまった。あろうことか、今、この穴埋めとして消費増税が行われようとしている。経済的弱者に追い打ちをかけ、さらに景気を冷やす愚策である。著者は金持ちの資産に対する富裕税を主張する。資産はそもそも収入から支出を差し引いた余剰。毎年1%の徴収ができれば相続税さえ不要と言う。勿論消費増税も不要。日本には個人の金融資産が1400兆円もあり、少なくとも半分は金持ちのもの。このほか大企業の内部留保が300兆円あり、あわせて1000兆円の余剰資金が存在する。非正規雇用や社会保障の問題を解決しなければ日本の破綻は必至であり、金持ちにとっても困ることになるはずである。終章では、巨大利権をもたらし庶民を苦境に追い込む欠陥だらけの消費税の実態が詳らかになっている。物品税から消費税にすり替えられた経緯は特に興味深く読んだ。

  •  以下、本の内容を自分なりの言葉でまとめてみました。
       
     最近、格差社会ということが当たり前のように言われています。
     これほど格差社会がクローズアップされるようになったのは、消費税導入(1989年)以降のこと。
     消費税導入以前、日本は「一億総中流社会」と表現され、今のように格差が問題にならない社会だった。
       
     消費税は「福祉目的のため」という建前で導入された。
     しかし現実は、法人税と所得税減税のために当てられたのである。
     消費税が導入されたのは1989年。
     その直後に法人税と所得税が下げられた。
     消費税が3%から5%に引き上げられたのは1997年。
     その直後に法人税と所得税が下げられた。
       
     消費税を導入している先進諸国は、生活必需品には税率を低くし、贅沢品には税率を高く設定している。
     米とダイヤモンドを同じ税率にしているのは、先進国では日本だけである。
       
     消費税は「人件費が多い企業は損をし、人件費が少ない企業は得をする」システムになっている。
     となると、企業は正社員を雇うより、業務を外注したり、人材派遣会社のスタッフを採用した方が得をする。
     現実に、1989年に消費税が導入されて以来、企業には正社員を減らして派遣スタッフを増やす傾向が顕著になった。
     2011年には、非正規雇用者の割合は、働く人全体の約35%となった。
         
     貧しい人から1万円の税金を取るより、金持ちから1円の税金を取る方が難しい。
     高額所得者や資産家は減税され続け、平均層以下の給与所得者ばかりが増税され続けてきた。
       
     よく考えてみれば、現在日本における一般庶民の窮状は、1989年の消費税導入から始まっているのではないでしょうか。
     気がつけば、消費税が諸悪の根源だったみたいな。
     1989年の消費税導入、1997年の消費税引き上げで社会がどれだけ悪化し、生活が苦しくなったか、どのような変化が起こったか、もう一度思い出す必要があるのではないでしょうか。
     そしてまた8%の引き上げで、どのような変化・悪化が起こるのか、真剣に考える必要があります。
       
     一般庶民も消費税のカラクリについて勉強し、騙されないよう理論武装する必要があるのではないでしょうか。
     その勉強の手始めとして、本書を読まれる方が一人でも多く現れ、目覚めることを希望します。
     本書の最終章 
    第8章 巨大利権をもたらし、庶民を苦境に追い込む、欠陥だらけの消費税
    だけでも読んで下さい。お願いします。
       
     良く考えたら、税金を払う余裕のない貧乏人からちまちまと税金を取り立てるより、税金を払う余裕のあるお金持ちが払ってくれる方が税収もいいし、助け合って応分負担ということですね。
     税金が払えない人の代わりに税金を払う余裕のある人が応分の負担をする。
     これこそ、本当の【絆】ではないでしょうか。
      
    ■[日々の哲学]くまの子ウーフに学ぶ税の応分負担
     これこそ、本当の【絆】「税の応分負担」
      http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120815/p1
    ■[日々の哲学]気がつけば、消費税が諸悪の根源だったみたいな
      消費税導入前後の変化を冷静に検証してみれば
      http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120818/p1

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著者プロフィール

1967年生まれ、福岡県出身。出版社勤務などを経て、フリーライターとなる。歴史の秘密、経済の裏側を主なテーマとして執筆している。主な著書に『ナチスの発明』『戦前の日本』『大日本帝国の真実』『大日本帝国の発明』『福沢諭吉が見た150年前の世界』(ともに彩図社)、『ヒトラーの経済政策』『大日本帝国の経済戦略』(ともに祥伝社)等がある。

「2022年 『吉田松陰に学ぶ最強のリーダーシップ論【超訳】留魂録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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