- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784908073182
作品紹介・あらすじ
アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。
感想・レビュー・書評
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ナチスドイツが行った「ホロコースト」とは何だったのか。そこにはどのような背景があったのか。
“アウシュヴィッツという町”はどういう町なのかを知ることができる一冊。
連動企画として「きちんと学ぼう!ユダヤと世界史」が現在もネットチャンネル「チャンネルくらら」で絶賛放送中。
個人的には中学校や高校の教科書の教材として使って欲しい。
政策上の必要性があったこととは言え、外界とのやりとりの証拠としての郵便物がこれほど大量に残されているという事実に、ドイツ人の妙な生真面目さが伺え、“狂気”がむしろ増幅された形で訴えかけてきます。
一方で、アウシュヴィッツでの収容所生活とソ連での拷問双方を経験したポーランドの英雄ヴィトルト・ピレツキが残した言葉「アウシュヴィッツなど子供の遊びだ」が印象的。
ソ連共産主義の“闇”もまた私たちが考える想像を遥かに超えて“暗く、深い”のだと知らされます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アウシュビッツの歴史を郵便から見る。
収容所になる前のアウシュビッツ地方の歴史から、アウシュビッツ以外の収容所(政治的な、民族的な)の歴史的事実も、そこにいた人々と外にいた人々との郵便でのやり取りを通してまとめる。
ちょっと変わった視点からアウシュビッツを考える。 -
アウシュヴィッツがさらに分からなくなってしまった。
アウシュヴィッツーガス室ーホロコーストーナチスーユダヤ人みたいな単語だけで理解した気になってた頃はどんなに楽にだったろうと思う。
なんであれ手紙を出すことができ、手紙や郵便物を受け取ることができる。反面、ガス室にガンガン送る。労働力として利用しようと思ってるのに、ユダヤ人を絶滅させようとし、労働力を減少させる。絶滅収容所なんておどろおどろしい呼ばれ方のわりには、ソ連の拷問に比べれば児戯も同じだと言われたり。
アウシュヴィッツってのはなんて、軽々しく括ることが難しいことだと分かった。
本書とは関係ないが、ちょうど最近ガス室やホロコーストを否定する人々がいることを知った。エキセントリックなナチ狂信者かなと思えば、そうでもなく、存外冷静に真剣に研究しているようであった。その内容は別にしても、そういう考えがあることに驚いたし、軽い拒否感を覚えた。自分はアウシュヴィッツもガス室もホロコーストもろくに知らないのに、である。知らないくせに、それを否定する人間はこんなヤツだろうと決め付けようとした。
事実関係は別として慰安婦問題での韓国人の反応が、ホロコースト否定に対して受けた自分の気持ちと同じだとしたら、これはちょっと解決しようがないなと思った。 -
郵便学というのが面白い。
よく、これだけ貴重な当時のアウシュビッツやら収容所の写真、手紙を集めたものだ。