さよなら、俺たち

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  • スタンド・ブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909048080

作品紹介・あらすじ

1200人を超える女性の恋愛相談に耳を傾けた結果、見えてきたのは男たちの幼稚で狡猾な姿だった。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表として恋愛と性差の問題を発信してきた著者による、初の本格的ジェンダー・エッセイ集。失恋、家事、性風俗、マンスプレイニングからコロナ離婚まで、様々なテーマに根づく男性問題を掘り下げていく。男たちは今のままでいいのか。これからの時代私たちに必要なことは、甘えや油断、無知や加害者性など、自分の見たくない部分と向き合いながら、「俺たち」にさよならすることだ。

感想・レビュー・書評

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  • 恋バナ収集ユニットの桃山商事を主催する
    著者の清田隆之さん
    この秋から「やさしさはつくれる?」という
    ワークショップを主催されていて
    それに参加している

    私は何を求めてこのワークショップに参加したのか。
    清田さんはどうして「やさしさはつくれる?」って
    思ったのか。それを知りたくて。

    男子校ですくすくと育った清田さんは、
    自分の感覚とは少し違う
    「男らしさ」を競うために
    くだらない「俺が、俺が」合戦に
    参戦していたという。
    男子ってバカよねーと言われがちなあの感じ。

    そこで、恋バナを女子からたくさん聞くにつれて
    男のダメさをたくさん突きつけられる。
    自分のことかも?と思うような
    男の愚行の数々。
    同じ人なんじゃないか?と思うような
    似たようなエピソード。

    「自慢話でも武勇伝でもない
    「一般男性」の話から見えた生きづらさと
    男らしさのこと」
    を読んだ時も
    男らしさというものにこだわっている男性が
    多いものの、いったい何を
    男らしさというのか、まるでわからなかった。
    そして、男性自身もわかってないんだろうし
    それを振りかざすことに
    嫌悪感を持っている男性もいるんだ、
    と思った。

    ”男性”であることで、
    下駄を履かされてたり
    メジャーだったり
    特権を持っているということに無自覚である

    それで、いいのか?俺たちは

    清田さんは何度も自分に問いかける
    よくわかんないけど、イキってた若いころを
    しっかり思い出して、振り返り
    あのころの俺たちにさよならしたいと

    私は女性として、この日本の社会で生きてきて
    ああ、めんどくせーなーって
    思うことはたくさんあった
    今や、おばさんになり、図々しさと経験で
    いろんなことを乗り切れるようになった

    ここにきて、女性が声を上げ始めている
    女性は「もっと優遇してくれ!」って言ってるんじゃない
    男性と同等にしてくれと言ってるんだ
    同等になってようやく
    お互いの違いを認め合い
    補い合えるんじゃないか
    と、思いました。
    また、フェミニズムによって引き起る、
    男性の罪悪感というのもあることを知れた

    過剰なフェミニズムでもホモソーシャルでもない
    フラットな考え方を持ちたいし
    これからの時代なら持てるんじゃないかな、と
    思わせてくれる
    とてもいい本でした。

  • 素晴らしい。

    わたしたちが長年感じていた不満を理解しようとしてくれているし、実際してくれているし

    ものすごく頭にくるエピソードもあるけど、それを認めた上で、なぜそういう考えを持ってたかとか、どうして改めなければいけないか、具体的にどう変わるべきか、

    そういうことを考えて(くれて)いる。

    そっか、だから"男の人"って、そういう行動をとってしまっているんだ、って納得できたこともたくさんあった。

    自分のことを"男性"だと思っている人に、繰り返し読んでほしい。

    コミカルだけど、

    日常のジェンダーに関する、バイブル本になるくらい、深い本だと思う。

  • いろんなテキストの集合体で一冊が構成されているのでこれというカタルシスはないのだがそれだけ話し合うべきトピックスは多いのだといえる。性別問わず、依存先を分散させ自尊感情(being)を自給自足してきたいと思う



    p.139
    冒頭で「私たちはもしかしたらすれ違ってすらいないのかもしれない」と書いたのは、こういった考えによるものだ。ローコンテクストなコミュニケーションとはエンプティを言葉で埋めていく作業であり、言動の意図や責任の所在が明らかになるため、ギスギスしてしまう危険性も孕んでいる。しかし、ばらばらな個人がばらばらなまま存在できる多様な社会を作っていくためにも、私たちは摩擦や野暮さに耐えながらローコンテクスロなコミュニケーションにシフトしていくべきだと私は考えている。その社会ではおそらく、すれ違いは不幸なものではなくなっているはずなのだ。

  • 女ながら。自分の中の男性性がチクチクと刺される良いエッセイだと思う。

  • 清田さんの2冊め、とても力のこもった体当たり的な内容なんだけど、不思議と残らない。どうしてかな?3冊目読んでかんがえようっと。

  • 「“受験型モデル”の呪縛」という章がある。
    著者が早稲田の入試に特化して勉強した1年間で、「外から与えられた課題を頑張って打ち返していくこと」が努力や勉強なのだという感覚が根付いてしまったこと、その後、受験が終わって無事に大学生になってから、やりたいことややるべきことを自分で見つけなくてはいけない状態に戸惑ったこと、大学の講義に全く興味が持てず、語学の授業も難しすぎて全然ついていけなかったこと。
    「外から与えられた課題を頑張って打ち返していくこと」が、女性が男性にイラッとすることにもつながるんだろう。
    「自分の時間と体力=すべて自分のことに使うもの」とか「「考えなくて済む」という男性特権」とか、あーそうそう、って感じ。

    でも自分も別ジャンルでそういうところがある。子どもがいないことや今のところ親の介護がないことや正規職員であることといった面で。
    ジェンダー面で比べると、男性の方が女性よりもそういう傾向が強くて対立しがちだけど、他の面で比べるともっといろんな対立軸がある気がした。

  • 声を出して笑ってしまう部分がいくつもあった。筆致も読みやすい。男性全員に読んでもらってどんな感想が出るかを聞きたい。

  • いろいろな人の話を聞くこと、そして当事者研究的に自分をさらけ出すことで、この著者は、人を傷つけない自分を見つけ出し、自己肯定しているのではという印象でした。

  • 読む前と後では景色が変わった。気がする。
    若いときに読んでおきたかった。

  • human doingからhuman beingへということがこの本のテーマにあるけれど、男性だけでなく、human doingとして生きている人(特にhuman doingとして強い立場にある人)に通じる本かなと思う。
    この中で紹介されていた本やドラマ、演劇などにも触れてみたい。

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著者プロフィール

清田隆之(きよた・たかゆき)
1980年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。恋愛とジェンダーの問題を中心に執筆活動を展開。桃山商事としての著作に『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』(文庫ぎんが堂)、共著に『大学1年生の歩き方――先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(左右社)、単著に『よかれと思ってやったのに――男たちの「失敗学」入門』(晶文社)、『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)、『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』(扶桑社)などがある。

「2022年 『どうして男はそうなんだろうか会議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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