本が語ること、語らせること

  • 夕書房
4.06
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本棚登録 : 380
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909179081

作品紹介・あらすじ

本を真ん中にすると、自然と心が開放されていく。
本に助けられてきた司書が語る、本と図書館と人生のはなし

奈良県東吉野村に借りた古民家の自宅を「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」として開いて6年。夫・青木真兵とともに、山村にひっそりたたずむこの図書館を運営してきた司書・青木海青子による、初めてのエッセイ集です。

人と接するのが苦手で、本という「窓」を持つことで心に明かりを灯してきた著者が、自らの本棚を開放することで気づいたのは、「図書館」の本質的な効用でした。
本棚を前に、まるで鎧を脱ぐようにぽつりぽつりと悩みを打ち明け始める人、お互いの新たな面を発見する友人同士、世界とつながる感覚を得る人……。金銭の介在しない「彼岸の図書館」で静かに生まれる知と心の不思議な循環は、読むということ、本がそこにあることの新たな可能性を示唆しています。

エッセイの間には、ルチャ・リブロで日々行われている独自のレファレンスサービスの延長として、身近な人から寄せられた悩みに3冊の本で答えた8つの記録[司書席での対話]を収録。
本好きな人にはもちろん、日々の生活に頑張りすぎている人にもそっと手渡したい、気持ちがほぐれる優しい一冊です。

私はルチャ・リブロを開けることを通じて、「閉じた世界に窓をつくろうとしている」のかもしれません。つくろうとしているのは、自分自身のためだけでなく、みんなで一緒に外を眺められる広くて大きな窓です。(本書より)

感想・レビュー・書評

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  • 5月上旬『本が語ること、語らせること』刊行のご案内 - 夕書房 SEKI SHOBO
    https://www.sekishobo.com/honkata

    ホーム - 人文系私設図書館 Lucha Libro
    https://lucha-libro.net/

    本が語ること、語らせること/青木海青子 | 夕書房 seki shobo
    https://yukatakamatsu001.stores.jp/items/62454198688c4460a67f537d

    • しろくま みかんさん
      ねこさん、私この本や、ルチャリブロさんの取り組みとっても好きなのです~
      ねこさんも、読んでおられるやも?と見てみたらやはり既読でしたか…
      山...
      ねこさん、私この本や、ルチャリブロさんの取り組みとっても好きなのです~
      ねこさんも、読んでおられるやも?と見てみたらやはり既読でしたか…
      山學ノヲトという、日記形式のものも、おもしろかったです。
      東吉野村の図書館もすてきなところでした☺️
      2023/01/26
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      しろくま みかんさん
      > ルチャリブロさんの取り組み
      ちょっと心を立て直せる緩やかな場所「アジール(避難所)」って良いですよね。

      ...
      しろくま みかんさん
      > ルチャリブロさんの取り組み
      ちょっと心を立て直せる緩やかな場所「アジール(避難所)」って良いですよね。

      > 東吉野村の図書館もすてきなところでした☺️
      訪れられたのですね!良いなァ(尊敬の眼差し)
      2023/01/27
    • しろくま みかんさん
      ラジオ配信もしていて、興味深いです。

      近畿在住なので行けるかなと思いまして。しかし遠かった東吉野村…!
      お住まいがどちらか存じ上げませんが...
      ラジオ配信もしていて、興味深いです。

      近畿在住なので行けるかなと思いまして。しかし遠かった東吉野村…!
      お住まいがどちらか存じ上げませんが、いつかぜひぜひ。
      2023/01/27
  • いつかこの私設図書館ルチャ・リブロに行ってみたい。
    付箋の付いた本、いちど読んでみたいです。

    本と暮らし、本について人とコミュニケーションする、本当に素敵で羨ましい環境です。

    相談の答えとして提案する本、読んだことがある本がいくつも出てきて嬉しかったことと、この相談にこうリンクするかぁと感心しきり。

  • 素敵な詩集のような本だった。

    と言っても詩が書かれているわけではない。挿絵や文章の雰囲気。築約70年の平家に開かれたルチャ・リブロという私設図書館。縁側から入り、書架の森を分け入った奥に位置する司書席。それはどっしりした木造りの机で、設計士の祖父がこしらえた古いもの。机越しに向かい合い、お茶を飲みながらの来館者との会話。

    読書を通じて人と人が交感する場。夢中で本を読む閲覧者の誰か。窓から差し込む日の光、本の手触りや紙の匂い。仮想の居場所ではない具体的な装置としてのルチャ・リブロという場所。

    この実感、ぬくもりとして体感できる具体性こそ、デジタルには無いもの。恍惚感に浸る至福の時間ではないだろうか。ルチャ・リブロにはそれがある。世の中には、それに類する場所がある。人間は、自らそれを作り出すことができる。文章や行間から観念をイメージ化する力を身につけた読書家たちでさえ、肌に伝わる空気感は捨てがたい。よくわかる。

  • 人との関わりは煩わしいはずなのに、書物を通して人と繋がりたい、と思ってしまう不思議な力が、本にはあることが丁寧に語られる、私設図書館司書エッセイ。

    お悩み相談で薦める本が興味深かった。「SNSが苦痛」のお悩みに、ルイス・フロイト著「ヨーロッパ文化と日本文化」を出すとは…でも納得。

    読書は孤独な体験なのに、他者を知る一助になったり、自分を他者に語りたくなったりする。それを具現化した著者の私営図書館にアクセスできる人が羨ましい。
    (私の地元は、社会人の読書習慣がほぼ無く、知人に本を貸しても読まれずに返される… 読書してると言う人を見つけても、ビジネス新書や自己啓発本等のアンサー系ばかり。語ろうにも語れないので、ブクログの感想で発散してます)

    ☆追記
    紹介されていた絵本「やっぱりおおかみ」を読んだ。タイムマシンに乗って過去の自分に渡してやりたい本に出会えて感謝!

  • 奈良県の東吉野村というところで私設図書館を開いている著者のエッセイ。図書館を利用する人の悩みに合った本を紹介していたり、図書館というものについての考察があったり、コロナ禍の今こそ、その存在がすばらしい。
    紹介する本に沢山の付箋が付いている写真が、とても良い。

  • 奈良の山村の図書館で司書を務める著者のエッセイ。
    その思索、思いは優しさの中に強さがあって、いつまでもそのメッセージを読んで聞いていたくなる。
    寄せられた悩みに答えながら差し出される本達もどれも興味深い。
    とても良かった。

  • この本の出版社の方がイベントに出展されていて、説明をおうかがいして買いました。私の経験上「問いを立てたがる人は答えを出したがらない傾向にある」というイメージがあったのですが、この本を読んで必ずしもそうではないなと(まぁ当たり前といえば当たり前なのですが)認識できました。

    内容にはとても共感できるところが多く、具体的にいくつか挙げると
    「公をつくる」
    「趣味といわれて」

    は、自分もまったく同じ考えを持ってますし

    「自分の考えを持ちたい」の青木真兵さんの「どんな本を読めばいいかについては、人それぞれと答えざるをえない」は私もきっと同じ答えをしただろうと思いました。

    ここまで本と密接に関わっておられる方を具体的に感じたことはありませんでした、自分もたまに相談に対して本をすすめることはありますが、青木さんご夫妻のレベルには到底およびません。

    星5つはよほどのことがないとつけないのですが、今回は5つつけることにしました、それぐらいよかったです。他の本も読んでみます。

  • 奈良の山奥にあるこの優しい私設図書館に行きたいと思った。
    世の中には知らない本がまだまだ溢れている。そんな時に心に寄り添い、時に客観的な視点から選ばれた本とその理由に心が許されたような感覚になる。
    人の相談でそう思うとなると、自分の相談に答えてもらったらどんなだろうと思う。
    まともなんて放っておいても揺れる。そして人間は簡単に壊れる。
    だから、自分でいられる場所を選んだり、なければ作っていかなければならない。

  • 地に足がついた取り組みと、静かな語り口に惹かれてすぐ読み終わってしまった。彼岸の図書館では毎日何かが生まれてるんだな。もう少し纏まった文章で書かれているのも読んでみたい!

  • ケアを感情論でなく、図書館という仕組みを通じて行いたい、という記述に、深くうなづいてしまった。ほんと、「愛が足りない」とか感情論で片付けるやり方は全然良いとも思わないし、そういう考え方では持続しないだろうと思う。
    また、著者が最初に丁寧に説明していたとおり、悩みに対して解決を提示するわけでは無いところがこの本のミソだ。こそこそ、ネガティブ・ケイパビリティだと感じた。

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著者プロフィール

青木海青子
1985年兵庫県生まれ。七年間、大学図書館司書として勤務後、東吉野へ。現在は私設図書館を営みながら、陶と刺繍で制作を行う。著書に『本が語ること、語らせること』(夕書房)、夫・青木真兵との共著『彼岸の図書館』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(H.A.B)がある。夕書房noteにて「土着への処方箋 ルチャ・リブロの司書席から」が好評連載中。

「2023年 『山學ノオト4(二〇二二)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青木海青子の作品

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