パンデミック 世界をゆるがした新型コロナウイルス (ele-king books)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909483584

作品紹介・あらすじ

世界はどうなってしまうのか――トイレットペーパーがダイヤモンドほどの価値をもち、愛する人と距離を置くことが最大の愛情表現となる時代
いかにこの未曾有の危機を乗り越えるのか、「最も危険な思想家」からの緊急提言!

感想・レビュー・書評

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  • ポストコロナ時代に必要なものは、新しい「共産主義」である、と筆者は主張する。少なくとも従来の資本主義と市場原理では立ち行かないのは明白である。

  • コロナに対抗するには、ワクチンより、人間の行動様式を変容させる哲学が有効ではないかと感じる。そして、実体のない、数値に踊らされる資本主義ではなく、実体の見える経済への移行が、コロナ後の世界には必要だ。目先の便利は、みんなを不幸にする。

  • ヘーゲルは「歴史から我々は何も学ばない」と言った。だから、コロナ禍で我々が賢くなることはないだろう。もう平常への復帰はない。あるのは古い生活の廃墟の上に新しい平常を構築すること。または、新しい野蛮状態の中かも知れない。その兆候はすでに見えている。我々の制度の何が間違っていたのか。著者はコロナ禍の結果、一種の共産主義のようなものが到来すると示唆している。

  • たった二年前の本なのに、はるか昔の話をしているように感じる。ロシアによるウクライナ侵攻がいつ収まるかもわからない今の世界を思うと特に。

    コロナ禍を機に世界が変わるはずと、誰もがどこかで期待していたと思う。
    でも実際に起きた変化は、ミャンマーでの軍事政権の復権や、ロシアによるウクライナの軍事侵攻という形で現れてしまったのかとショックを受けている。こんな変化はみじめすぎる。

    この本でジジェクが繰り返し主張している、共産主義的な変化についてだけど、共産主義というのは、重要な理論だけど現実の世界にあてはめるとろくなことにならないので……これまでに地球上に出現した共産主義国は、例外なく最悪な独裁強権国家となってこの世の地獄を作り上げてきた。
    この先、共産主義を基盤においた社会がまたどこかでできたとしても、同じような地獄を作るだけなんじゃないかという不信感はどうしてもつきまとう。

    まあ、こういう考えを持つ人も世の中に必要だと思う。すごく教養のある人だよね。私もこんな教養がほしい。

  • コロナ下の資本主義対共産主義の考えをよく表している。ただし日本のことは全く触れていないので、オリンピックは無視されて考えているようである。

  • 難解な文章で知られたジジェクのコロナ渦における論評集。相互の関連は微妙だけど、比較的短い文章が多く読みやすい。コロナ渦の先に新しいコミュニズムが現実味を持って予感できるか・・・ コロナ渦を生き延びるだけで大変ですが、その先に惨事便乗型新自由主義が待ち構えていたのでは、それこそ大惨事です。チャンスか、破滅か・・今が大きな分かれ目なのかもしれません。

  •  新型コロナウイルスを「深い意味」を持つものと見なす物語に抗い、他者を思いやるために他者と距離を取り、束の間に顕在化した「戦時共産主義」的な契機を見逃すことなく、積極的に国家権力の尻を叩き、声を挙げて「政治」に参加せよ、ということ。アガンベンが指摘するようなパンデミック対応におる「例外状態の日常化」という批判は過剰反応であって、国家のオーダーに従いつつ、パニックに陥っている国家権力の姿を横目で見やりながら、人間が環境にとっての「ウイルス」だった過去を見つめ直し、新しい「平常」の姿に対応した新しい人間のありようを落ち着いて思考せよ、ということ。
     いかにも彼の著作らしく、古今東西の思想家による小気味よい警句が散りばめられているが、主張自体は穏健で着実に見える(そして、この議論は自分の肌感覚にも合っているように感じる)。
     このパンデミックに対する明確な解決=特効薬はないし、だからといって、これが「世界の終わり」「新たな野蛮の始まり」とイコールでもない。何か特別に新しいことが必要だ、というわけではない。降って湧いたような「時間」と「距離」を善用し、「理性の公的な使用」のチャンスとできるかどうかが問題なのだ。

  • うーん、分からん。

  • 20/06/25。

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著者プロフィール

1949年、スロヴァニア生まれ。
リュブリアナ大学社会学研究所上級研究員、ロンドン大学バークベック校国際ディレクター。
ラカン派マルクス主義者として現代政治、哲学、精神分析、文化批評など多彩な活動をつづける。
翻訳された著書に、『終焉の時代を生きる』(国文社)、『ポストモダンの共産主義』(ちくま新書)、
『パララックス・ヴュー』(作品社)、『大義を忘れるな』『暴力』(ともに青土社)、
『ロベスピエール/毛沢東』(河出文庫)など多数。

「2013年 『2011 危うく夢見た一年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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