- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909532435
作品紹介・あらすじ
一枚の写真に導かれたアラスカとの出会いから急逝まで24年、
極北の自然に魅せられた写真家の旅を一冊に。
代表作と寄稿文3編を加え、装いを新たに生まれ変わる決定版!!
大切なことは、出発することだった。―星野道夫
少年のころから北の自然に憧れ、極北の大地アラスカに生きた星野道夫。取材中に事故で亡くなり、20年以上を経た現在においても、心打つ大自然や動物の写真と美しい文章で、多くのファンを魅了しています。
北極圏の大自然、そこに息づく野生動物や人々、そして語り継がれた神話……。星野は多くの「出会い」を通じて思索を深め、写真家として成長していきました。
本書では、20歳のときに初めて足を踏み入れたアラスカの村の記録から、亡くなる直前まで撮影していたロシアのカムチャツカ半島での写真までを一望します。みずからのアラスカでの体験をもとに自然と人の関わりや生命の意味を問い続けたエッセイ32編をあわせて収載し、「写文集」の形に編集しています。
「人間が足を踏みいれたことがないと畏敬の念をもって見おろしていた原野は、じつはたくさんの人々が通り過ぎ、さまざまな物語に満ちていた」
「自然と人の関わり」を追い続けた星野の旅に思いを馳せていただければ幸いです。
本書は2012年に刊行の同名写真集から8年の歳月を経て、あらたに代表作と寄稿文3編を加え、装いを新たに新版として刊行するものです。
感想・レビュー・書評
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星野さんの生きた証とも言える写真集
一番読みたかった本がやっと手に入った
何冊か星野道夫さんの軌跡を辿るエッセイを読んできたが、やはりこの写真集は圧巻だ
言葉が出ない
星野さんがアラスカを目指すきっかけとなったシシュマレフの酋長に宛てた手紙と
半年後に酋長から届いたその返事も原文のまま収められていた
広大な雪原の中、ピッタリかたまって眠るホッキョクグマの親子
泡の檻の中に閉じ込めたいニシンの群れを下からひと呑みするザトウクジラ
そして、星野さんのライフワークとも言うべき何万頭ものカリブーの大移動
北極圏を目指し1000キロもの旅をするカリブーを星野さんのカメラはしっかりと捉えている
この瞬間を収めるためにどれだけのキャンプをされたことだろう
そして私が何よりも心を打たれたのは、現地エスキモーの家族や子供たちの澄んだ目とクリンギットインディアンの酋長と言われた長老の静かで穏やかな目だ
「どんな民族であれ、どれだけ異なる環境で暮らそうと、人間はある共通する一点で何も変わらない。それは誰もがたった一度のかけがえのない一生を生きるということだ。世界はそのような無数の点で成り立っている」
星野さんが30年前に追いかけたアラスカの地、現在はどう変わったのだろうと気になった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今開かれている写真展と同じタイトルの写真文集。東京都写真美術館での写真展は当然ながら写真中心の展示だが、この本は写真付の文章で構成されている。美術館では先入観なしに写真作品を鑑賞し、その後にこの本で星野さんの思いがこもった文章を読みながら再度写真を鑑賞でき、とても良かった。もちろんこの写真文集だけでも十分に楽しめる本になっているが。それにしても、星野さんの写真も文章もいつまでたっても飽きることがない。
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彼の動物写真には生命の躍動がある。
だが、ボクは彼の撮った森の写真により強く惹かれる。
朽ちた大木が苔に覆われゆく死と再生の静謐な美に満ちた森の写真から受けた衝撃は鮮烈な記憶となり、いまだ色褪せない。
10年過ぎても20年経ってもボクの魂を震わせている。
すぐれた写真には人を動かす名状しがたい力があるとボクは信じてる。
動画全盛の今であっても、ボクの信仰は揺るがない。 -
星野道夫さんの人柄、考え方が伝わってくる写真と文章で、生涯を辿ることができる素晴らしい本だった。
2023年6月17日に購入して、毎日少しづつ愛おしむように読み進め8月4日に読み終えてしまった。題名の通り「悠久の時を旅する」本だった。
星野さんを知って40年。授業で生徒に教え感想し、一人で静かに読んで感銘を受けて来た。星野さんの魅力は年をおうごとに深まって来る。
心の奥の奥まで感動が染みわたって来る本だった。
近いうちに本八幡の啓明舎に行こうと思う。 -
ぶわーっと絵が、ことばが、愛が、溢れて、すごい。
静かだけど強い熱情。恐れと渇望、自然に寄り添う謙虚さ。ひたむきで、切実に焦がれる姿が、もう、なんかもう、すごい。 -
私は星野さんを見た事もなければ去年の10月まで恥ずかしながら知りもしなかった。
星野さんとの出会いは私の感性を変え、人生の価値観を覆してくれました。
美しいばかりの写真ではなく、ありのままの自然を全て写しているところから、星野さんの自然への向き合い方を言葉にしなくとも伝えてくれる。 -
先日、地球交響曲第3番の映画を見て、こちらの本を
借りました(買ってません、笑)
文字が小さいですね
写真集的な扱いなのでしょうか
なぜだかアラスカの市長にあてた直筆の手紙を
みたら涙があふれて止まらなくなりました。
その後も涙を溢れさせたまま読んでいたので、
次の日の顔はヤバヤバでした(笑)
根付く
ということを考えさせられた一冊です。 -
星野道夫の美しい写真たち。
巻末に奥様の文も載る。 -
星野道夫さんの本を何冊か読んでいて、ちゃんとした写真を見ながらだと感じることがまた変わってくるだろうなと思い、買った。
中に書かれているエッセイは割と読んだことのあるものが多かったけれど、写真と一緒に読むことで、より星野道夫さんの旅・生活に思いを馳せながら読むことができた。綺麗な景色と、なんだか暖かさを感じる写真。触れられてよかったと思う。 -
星野さんの文章しか読んでこなくて、その文章を心地いいと感じている人はもれなく全員、これじゃなくてもいいからぜひ一度写真集(のようなもの)を手に取ってみるべき。
わたしは今まで星野さんの著書は何冊か読んだけど、写真をちゃんと見たことがなくて、この本を見てとにかく感動した。
写真に入り切らないほどの無数のカリブー、雪に覆われたどこまでも続く果てしない大地…
ああ、これが本当の自然なんだなあと。
植物や動物が醸す、何か脅威まで感じるような圧倒的な力を感じた。
人間も昔は世界中どこでも、この流れの一部だったんだなと改めて実感させてくれるような。
こうやって世界を知れるのは経済あってこその最大のメリットなんだけど、もうこれ以上の発展はいらないから、どうか今自然界にいる動物や植物がそのままの姿で生き続けられる世の中であってほしい。
南で人間が行った愚行が北の果ての動物たちにも影響を及ぼしてしまう…
地球って繋がっているんだなと、当たり前のことを考えた。
そして動物たちよ、本当にごめんなさい。
生態系に影響を及ぼす行為はもうやめようよ。