俳句がよくわかる文法講座: 詠む・読むためのヒント

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909658791

作品紹介・あらすじ

最少の言葉で詩を追求する俳句。様式から美を生み出す俳句。
そこには文語というヒミツがある。
『風と共に去りぬ』が『風と共に去った』では間が抜けたようになるのはなぜなのか。
本書は、いまなお文語を使い続け、俳句を詠む/読むために文語文法が必要とされている理由をくわしく説明し、詩の言葉、文語のヒミツをマスターする、とっておきの文法講座、全14章。
読むうちに文法への心構えと注意点が身に付きます。
単に公式を当てはめるだけではない、文法理解のために、必携の一冊!

【俳句はルールによって、多くの作者や読者を呼び込み、日本語の長い伝統を踏まえ生かしていく詩ですから、古語の知識やルールをある程度わきまえておく必要があります。特に古典文法は、現代語に引きずられて捉えられがちなので、我知らず文法の間違った俳句を詠んで、様にならないことがあります。本書では、必要な古語や文法の知識に絞って、それがなぜ問題になるのか、その背景を解きほぐしながら、読むうちに文法への心構えと注意点が身に付くように編集しました。】……はじめにより

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    【書誌情報】
    『俳句がよくわかる文法講座 詠む・読むためのヒント』
    著者:井上泰至(いのうえ・やすし)(1961-) 担当章:はじめに、1〜3章、コラム「書道・崩し字と俳句文法」、あとがき 
    著者:堀切克洋(ほりきり・かつひろ)(1983-) ●担当章:4〜14章、コラム「句会をやってみよう」 
    出版社:文学通信
    ISBN:978-4-909658-79-1
    C 0092
    A5判・並製・320頁
    定価:本体1,900円(税別)

     最少の言葉で詩を追求する俳句。様式から美を生み出す俳句。そこには文語というヒミツがある。『風と共に去りぬ』が『風と共に去った』では間が抜けたようになるのはなぜなのか。
     本書は、いまなお文語を使い続け、俳句を詠む/読むために文語文法が必要とされている理由をくわしく説明し、詩の言葉、文語のヒミツをマスターする、とっておきの文法講座、全14章。
     読むうちに文法への心構えと注意点が身に付きます。単に公式を当てはめるだけではない、文法理解のために、必携の一冊!
    [https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-79-1.html]


    【目次】
    目次 [002-006]

    はじめに●なぜ俳句と文法なのか? 007
    文語の豊かさ
    文語は詩の言葉
    本書の構成とねらい
    名句に例外あり


    第1部 基礎編 文語文法が必要とされている理由を学ぶ

    第1章●俳句は文法の、文法は俳句の教材 019
    「体言止め」と「連体止め」
    「名詞」の文学の伝統
    ラストシーンが作品全体を印象付ける
    「連体中止」「連体仮止め」「連体省略」
    俳句は文法で輝き、文法は俳句で深くなる
    自動詞・他動詞
    てにをは--日本語の醍醐味

    第2章●俳句で古典文法――自己点検してみる 033
    基礎編----切れ字の接続
    中級編----過去をあらわす言葉の使い分け
    上級編----決め手は省略

    第3章●文体を意識する――「たり」「なり」「をり」「あり」 047
    「たり」か「なり」か
    「あり」「をり」と否定表現
    〈ありにけり〉の発見
    「ふるまい」のリズム
    虚子の道のり
    古典の枠----近代日本画との通底
    時の移ろい----品格の意匠


    第2部 実践編 俳句文法のポイントをマスターする

    第4章●俳句の四つの構造と文体――文語か口語か 063
    どうして俳句に「文語」が必要なの?
    古典文法と文語文法
    文語文法はレトリック
    ①名詞連続体
    ②文語体
    俳句は主題と述語でできている
    ③文章体
    ④口語体

    第5章●文法と詩のあやしい関係――「正しさ」はどこにあるのか 083
    文法的「正しさ」を求めて
    「正しさ」とは何か
    未来としての俳句
    俳句における「回想」
    文語文法は「時間の旅」の入口
    口語文法も進化する
    文法なき文法?

    第6章●かな・漢字・アルファベット――俳句の表記〈1〉 097
    椎名林檎はなぜ「旧かな」を使うのか
    かなづかいの「揺れ」
    「かぶき」としての旧かな
    変体がな=くずし字の世界
    万葉がなというあそび
    漢字・ひらがなの特性
    カタカナばかりの俳句
    俳句とアルファベット
    字音ふたたび......
    送りかなの原則

    第7章●句読点・記号・改行――俳句の表記〈2〉 117
    俳句に句点は不要か?
    さまざまな読点
    空白、中黒、カギカッコ、山カッコ
    踊り字
    改行
    その他の記号

    第8章●旧字・新字・ルビ――俳句の表記〈3〉 129
    旧字体と新字体
    「灯」か「燈」か?
    「常用漢字表」の改定
    表外字と表外音訓
    「印刷標準字体」の制定
    漢字は表意=憑依する
    さらに複雑なのは「人名」
    「桜」か「櫻」か、「蛍」か「螢」か
    俳句における「慣用読み」
    外来語と当て字
    外来語をルビで処理する
    三文字で俳句ができる?

    【コラム】書道・崩し字と俳句文法 150

    第9章●アスペクトを使いこなそう――俳句の時間表現〈1〉 155
    時を豊かにするアスペクト
    いたる、ている、てある(進行のアスペクト)
    つつ、続く、おり(継続のアスペクト)
    ところ、かける、そうな・ような(直前のアスペクト)
    はじめる・初める、ゆく・くる、(開始のアスペクト)
    である、でありにけり/がある、がありにけり
    果つ、終う、止む...(終了・完了のアスペクト)

    第10章●過去と完了は何が違うのか――俳句の時間表現〈2〉 175
    時の助動詞①----「つ」「ぬ」グループ
    時の助動詞②----「り」「たり」グループ
    過去と完了は本当に違うのか?
    時の助動詞③----「き」「けり」グループ
    「けり」は本当に〈詠嘆〉か?
    「文章体」には時があるか?

    第11章●文語体の今昔〈1〉――古代から中世まで 193
    文語と口語は明治時代に生まれた!
    「文語」の歴史的変遷
    《奈良上代時代の文法・語法》
      ①ク語法・ラク語法
      ②ミ語法
      ③助詞「ゆ」
      ④助動詞「ふ」
      ⑤助詞「はも」
    《鎌倉時代の文法・語法》
      ①連体形の終止形化
      ②係り結びの変容
      ③二段活用の一段化
      ④カリ終止
      ⑤「たし」の一般化
      ⑥「ぬ」の終止形化
      ⑦主格・接続助詞の「が」
      ⑧つつ→ながら、ばかり→ほど
      ⑨濁点の許容
    《室町戦国時代の文法・語法》
      ①ている、てある、ておく
      ②てやる、てくれる、てもらう
      ③「そうな」の普及
      ④「まじ」から「まい」へ
      ⑤「さえ」「くらい」の普及
    どうして「俳諧」が理解できるのか

    第12章●文語体の今昔〈2〉――近世から現代まで 221
    《江戸時代の文法・語法》
      ①上五末の「や」
      ②〈完了の継続〉の「てある」
      ③四段化の進行(=〈-uru〉の衰退)
      ④仮定条件の「已然形+ば」
      ⑤押字・留字
    《明治・大正・昭和前期の文法・語法》
      ①切字「けり」の増加
      ②名詞の動詞化
      ③切字の後退
      ④助詞「は」の台頭
      ⑤助詞「の」の万能化
      ⑥配合の「かな」
    《一九四五年以降の文法・語法》
      ①現代口語(話し言葉)の採用
      ②文語=活用語の誤用
      ③名詞・体言以外に接続する「かな」

    第13章●歴史的かなづかいのヒミツ〈1〉――母音・濁音 249
    間違えやすい「歴史的かなづかい」①----母音編
    「歴史的かなづかい」におけるワ行
    「歴史的かなづかい」におけるハ行
    「歴史的かなづかい」におけるヤ行
    間違えやすい「歴史的かなづかい」②----濁音編

    第14章●歴史的かなづかいのヒミツ〈2〉――長音・拗音 277
    間違えやすい「歴史的かなづかい」③----長音編
    「母音」単独の表記が変わるケース
    複数の母音をもって長音をあらわすケース
    間違えやすい「歴史的かなづかい」④----拗音編
    「くわ」「ぐわ」(合拗音)

    【コラム】句会をやってみよう 298
      ○対面句会
      1 俳句をつくる(作句)
      2 短冊に句を書く(出句)
      3 句を清書する(清記)
      4 句を選ぶ・読み上げる(選句・披講)
      5 意見を言い合う(講評)
      ○オンライン句会の現在
      ○吟行
      6 講評と文法


    あとがき(二〇二二年三月 井上泰至) [306-308]
    付録●動詞・助動詞活用表 [309-313]
    付録●新字体・康熙字典体対応表 [314]
    俳人・歌人名索引 [315-319]

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著者プロフィール

1961年生まれ。防衛大学校教授。著書に、『サムライの書斎 江戸武家文人列伝』(ぺりかん社、2007年)、『江戸の発禁本』(角川選書、2013年)、『近世刊行軍書論 教訓・娯楽・考証』(笠間書院、2014年)、 共編著に、『秀吉の対外戦争 変容する語りとイメージ 前近代日朝の言説空間』(共著、笠間書院、2011年)、『秀吉の虚像と実像』(共編、笠間書院、2016年)、『関ヶ原はいかに語られたか』(編著、勉誠出版、2017年)、『関ヶ原合戦を読む 慶長軍記翻刻・解説』(共編、勉誠出版、2019年)、『信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿』(共編、文学通信、2020年)など。

「2023年 『家康徹底解読 ここまでわかった本当の姿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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