岩魚幻談

著者 :
  • 朔風社
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本棚登録 : 18
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915511073

感想・レビュー・書評

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  • おお、なんびとも、釣れなかった時には波平さんやマスオさんのように魚を買って帰るしかないのでしょうか!

    釣りなんて、ただボーっとして糸を垂れて待っているだけの、暇人の時間潰しだなどと、もし思っている方がおられるとしたら、とんでもない、それは誤解・偏見・変態扱いに過ぎます。

    確かに実際やったことのない人には、あんな一見無駄に見える、気の遠くなるような待機の時間を、よく過ごせるものだわ暢気な父さん、と思うのは当然のことかもしれません。

    私は、自分の強い意志でもって釣りが好きです、とはとうてい言えないくらい、誰かに連れて行ってもらったり、何年かに一度という感じで釣りでも行こうかという調子のなさけない意志薄弱の釣り人ですが、そして、数えてみると今までたった20数回しか経験がありませんが、それでも釣りの時の、異空間にワープした感じとか時間が止まってしまっているというか、悠久としたゆったり流れる時の感覚の醍醐味を十二分に体験したという手応えは感じたことがあります。

    でもこのままでは中途半端で、おそらく一生かけても本物の釣り人の領域には到達できそうになく、ですからもっと究極の釣りの境地というものを知りたいなら、本書のような釣り名人の、顔に水しぶきのはねるような臨場感のあるドキュメントを読むしかありません。

    幽谷での岩魚を追う姿を読んで思い浮かべるだけで、たまらなくムズムズして来て、明日にでも出掛けたくなるのは藪蛇ですが無理もないまっとうな欲望ではあります。

  • 釣りに出掛けられない時に、読むようにしている本。古き良き頃の日本の渓流釣りのことがわかります。

著者プロフィール

1938年新潟県生まれ。慶應大学文学部卒業後、文藝春秋に入社。「文學界」編集長、同社取締役を経て、東海大学教授、京都造形芸術大学教授を歴任。『須賀敦子を読む』で読売文学賞を受賞。著書、編著多数。

「2019年 『大岡昇平の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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