- Amazon.co.jp ・本 (527ページ)
- / ISBN・EAN: 9784916109767
作品紹介・あらすじ
ロンドンの小劇場グリーン・バードを主宰するセアラ・ダーラムは、マルチニク生まれの美しい女性ジュリー・ヴェロンを主人公にした芝居『ジュリー・ヴェロン』の脚本の仕上げにかかっていた。音楽に、絵画に、文学に類まれな才能を発揮したジュリーの芝居の幕がまもなく上がろうとしている。最初の上演は南仏にある小さな町ベル・リヴィエール。出演する俳優、演出家が続々とベル・リヴィエールに集まって来た。セアラもいつしかこの芝居の醸し出す雰囲気に、その熱にのみ込まれようとしていた…。
感想・レビュー・書評
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65歳の女性セアラの恋愛、仕事、老い。長編。
長かった…ページ数が500というのもそれなりに長いけれども、そうじゃなくて、それ以上読んでるかのように長いなと感じる。
この小説はじっくり読み解く必要がある箇所が多々あるようだ。でも、それをしていてはいつまでも読み終わらない。
それに、まだ私がセアラの年齢にまであと15年もあり、その年齢の恋愛や性というものがありありとセアラの気持ちに同調できるほど想像できないせいもあったと思う。
夫に先立たれたセアラは演劇の脚本を書き、仲間と運営している。もう二度と恋愛しないと思っていたのに芝居『ジュリー・ベロン』の仕事を通して再び恋愛する。
芝居の内容が激情的なジュリーの人生で、この仕事に参加している人は酔っていくという感じか。
セアラはその歳でも十分美しいが、年齢差を考えるとためらいがある。いくら若く見えるとは言えかなりの年齢差で、以前ドリス・レッシングの『グランド・マザーズ』でも似たような年齢差の恋愛短編を読んだけど、やっぱり私には想像がしにくく受け入れにくさや入り込みにくさはあった。
演劇が舞台のせいか、セリフなどはキザったらしい感じもするが、上品でもある。
何人かの仲間と一緒に仕事をしていく楽しさが垣間見れる。終盤の老いへの移行はいずれ私も感じることになるのか。
仲間と素晴らしい仕事をして成し遂げる、そして恋愛。セアラは問題(弟家族、特に三番目の娘ジョイス)に巻き込まれているけど、贅沢な人生歩んだと思う。
誰にも老いはくる。そこで同じような悩みに対峙しなければならない時も出てくるだろう。
私にはまだわからない。セアラと同じぐらいの歳になった頃に読めば、今と違う感想や考えが出てくると思う。
その時までこの本はずっと保存しておきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示