- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784925220224
感想・レビュー・書評
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高原英理とは違い平易な文章で書かれた入門書。ゴシックを「文化的死体縫合」と喩えるならば、この本は「書物的縫合」によって書かれた本。故に、寺山修司の短歌についての記載部分は「反寺山」的評伝をそのまま鵜呑みにして記載したものだ。筆者の三島由紀夫解釈が興味深かった。が、澁澤は全く違う事を書いている(種村季弘も)。『風流夢譚』事件は知らなかったのでこれから調べよう。
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文化的死体縫合…!
本書はゴスカルチャーの謎を継ぎ合わせてゆこうとする試みの書であり、いわゆる英国ゴシック小説に関する解説書ではありません。フランクに、そして時には大胆で飛躍的な論理で、日本ゴシックカルチャーに舞い降りた永遠の謎、「ゴシックロリータ」とは何なのか、一応その結論が出ています(6章)。本書を読んで、「好きなものが繋がっていく…!」となるか「こんなんこじつけでしょ」となるかは読者の世界に委ねられていますが、2022年に本書を読んだ私の場合は、多少時代のバイアスを感じながら(オタクのとことか)、基本的には変わらない「死想の血統」を感じました。ますます拡大と深淵を極めていく昨今のネット社会に照らし合わせれば、本書で言うところの「文化的死体縫合」(←気に入った)もまた跳梁していると言っていいでしょう。もちろんゴシックな精神も、です。
ゴシック・ロリータ……それはカルチャーの地下水脈を伝い続けてきた澱のようなもの。散っていった死想の血統の偶然であり宿命的な逢着点。そのツギハギのカルチャーと精神は、切ない叫び声でありながら、しかし「社会の善」にメスを入れる…。
わたしもまた、崇高でグロテスクなこの精神世界に迷い込んだアリスだと、そう思ってみてもいいでしょうか? -
人形、サドヒズム・マゾヒズム、寺山修司や少女椿、グロテスクなど、ゴシックロリータが好む物を通じてゴシックロリータを述べようとしている。ファッションに関して取り上げたというよりも、ゴシックロリータ群の嗜好・指向などについてを主な題材とし、ゴシックロリータバイブルよりも夜想に近い。
いずれの章に関しても著者の入れ込み具合が目を引くが、とりわけ寺山修司、少女椿に関しての記述が濃いように感じた。 -
ゴスロリの本と言うより、ゴス文化がゴスロリ文化に帰結する歴史的経緯の研究評論と言った感じなので、ゴスロリファッションの歴史を知りたい人には、肩透かしを食らう内容ですが、ゴス文化と言うかサブカルチャー好きな人には面白く読めると思います。球体関節人形や寺山修司や丸尾末広等々、確かに、好き、です。多少引用されているのは、90年代のメタモルフォーゼのセーラー服、ゴスロリブランドとしてのモワティエ、ロリータの源流? 的なピンクハウスでしたが、アリスアウアアとかも老舗なのに~、と思ったりしたので、本当に純粋なゴスロリファッション論って、当時の専門誌を綿密にまとめあげないと難しいんでしょうかねぇ。それこそ、野ばらさんの小説の中にいっぱい含まれていますが。あと、一人称が「俺」と言う語り方に、ちょっと違和感感じながら読みました。書き手の自我と言うか個性が強く出過ぎていて、正に著者の語りを聞かされているようで、90年代と言うかゼロ年代初頭のライターのキャラ売り的なものは好き嫌い分かれるだろうなぁ、と思います。
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題名のセンスに惹かれて買った。
中身は、うーん…まぁ別に無くても差しさわりはないかも…、という感じ。
でもゴシックロリータというものについて、他者の見解を聞いてみたい方にはお勧め。
ただ私は、各個人が築いてゆく世界だと思っているからこーゆーテキスト的なものに違和感がある。
思ったことは、この内容についていけるゴスロリ嬢が居るかどうか。
今の子達にはいないんじゃないかなー。ゴスロリを見守ってきた世代はともかく。 -
現代のゴスロリ文化のルーツを探る書。
丸尾末広や寺山修司にスポットがあたっている。その他ゴシック建築、文学、アート、ドールなど。あくまで著者の考えるルーツである。〜学ではなく〜論といったところ。