- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784938661823
作品紹介・あらすじ
絵画、音楽、映画、読書、住居、インテリア、料理、服装、スポーツ等の趣味から、しぐさ・立ち居振る舞い、言葉づかい等の日常のなにげない行ないまで、名著を解読。趣味と階級はいかに結びつくか。
感想・レビュー・書評
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P・ブルデューの社会学の概念を丁寧に解説してくれる書。アナール学派でいうと『マルク・ブロックを読む』みたいな本。
デュルケームやウェーバー、その他多くの社会学の伝統を受け継ぎながら、方法論的個人主義でもなく方法論的集団主義でもなく、構造化され構造化する主体としての個人を見据えるブルデュー社会学の視点の在処を解説してくれる。
人間社会を生きるわたしたちは種々の“構造”から完全に自由でもないけれど、完全に縛られているのでもない。したがい、したがわせ、したがわせる構造を壊しつつ、造り直す。
そうした人間の営為を分析することで、自分たちの社会についての反省的な知を獲得し、主体的なコミットメントを実現しようというブルデューの企図(わたしの浅はかな理解によるところの・・・)を、本書を通じて理解できると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宮島喬先生の授業がきっかけで興味を持ったこの分野。探ってみるとかなり面白い。
「ディスタンクシオン」の解説版のような本であったけれどすごく読みやすくなおかつ面白い。「資本」の概念の説明から始まり、あらゆるものが正当性獲得を賭金(アンジュ)として闘争する社会空間とライフスタイル、ハビトゥス、差別化のメカニズム、日本社会という流れで書かれてた。どの章もすばらしいのだが、2・3・4章が特にこの分野の核心をついていて読みながらも興奮を誘われた。自分の生き方や趣味なんかは、一見すると主体的に決定されているように見えるんだけれど実はそうではなく、ブルデュー曰く、これらの性向は社会的位置→階級的ハビトゥス→個人的ハビトゥス→慣習行動(プラティック)→ライフスタイルの流れで決定されているらしい。ということはつまり僕らは操り人形のように背後から操られていると考えて間違いないみたいだね。僕らが他人と比較し自己を卓越化したり、あるいは嫉妬から同一化しようとする企てなどもろもろの根源は自己の意志にあるんではなくて、その意志を間接的に操作している構造化された社会という<場>にあるんだろう。
「ディスタンクシオン(自己卓越化)」とは、社会に生命を与える最も根源的な集合的欲望に他ならない。
この本こそは自費で買います。それだけの価値がある。 -
「ディスタンクシオンとは結局のところ、社会に生命を与える最も根源的な集合的欲望の別名にほかならない。」
面白い。非常に。
ただ、経済資本の弱い学生には高いっす!買ってよかったけども!! -
いわゆる高尚な文化は客観的正当性が全くない恣意的なものということですが、美的性向については著者が「必然」と主張しているように、人間の脳から見た科学的な美というものが確かにあるのではと思わずにはいられない内容でした。
いや科学的な美というものも長い恣意的な歴史に晒されたことによる思い込みから来る反応なのかも…
マーケティングでの消費者のセクター分けが大事な理由がよくわかる本です。 -
名著
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15/04/24、ブックオフで購入
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ブルデューを読んだことはないが、非常に明快かつ面白い内容であった。
そのままの解説ではなく、著者自身が述べているように日本の現状に即した解説が時折加えてあることにより、より理解しやすく親身に受け取ることができた。
難点は、本家の文体が難しいと至る所に書いてあるため食指がなかなか伸びにくくなってしまうこと。 -
ブルデュー『ディスタンクシオン』の解説書。ブルデューが何言うてるかわからんので読みました。おかげでよくわかりました。そういう本です。
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烏兎の庭 第四部 書評 1.28.12
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/diary/d1201.html#0128