贅沢な骨 [DVD]

監督 : 行定勲 
出演 : 麻生久美子  つぐみ  永瀬正敏 
  • ケイエスエス
3.42
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感想 : 82
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  • / ISBN・EAN: 4988707543074

感想・レビュー・書評

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  • 2001年公開。

    一般的な評価は賛否あるけど、
    日活ロマンポルノチックなけだるさと、
    こだわりが見える映像美と、

    全編に流れるフェティシズム、
    切なく胸を締め付ける
    息苦しいまでの
    濃密な空気感がツボで、

    個人的には
    かなり好きな作品です。


    一人の男が現れたことにより
    変わっていく女二人の関係が
    エロティックに
    スタイリッシュに描かれています。


    罪悪感やストレスから
    喉に違和感を感じ、
    金魚みたいに
    口をパクパクやってる
    麻生久美子の
    エロいことエロいこと(笑)


    不感症だから
    体売っても平気だと
    サキコを養い、

    自分から新谷へ仕掛けておきながら
    サキコへの嫉妬に苦しみ、

    サキコを傷つけてしまう度に
    呼吸ができなくなっていくミヤコが
    愚かでいて
    なんとも切ない。


    そしてなんと言ってもこの作品に関しては
    サキコを演じた
    つぐみに尽きます!

    園子温監督の傑作
    「紀子の食卓」でも思ったけど、
    全く違う役に生まれ変わる
    「なりきり力」と、
    主演を喰ってしまう存在感は
    ほんとスゴい。



    ジューサーの中の3匹の金魚は
    表向きはオシャレだけど、

    スイッチひとつで刃が回転し
    粉々になってしまう、
    まさに登場人物3人の
    危うい関係を表していて、
    緊張感を煽る演出にも
    一役買っていたように思います。



    人はいつか死ぬ。

    別れは突然にやってくる。

    だから大事な言葉は声に出して
    伝え続けなきゃ、

    大切な者の言葉を聞き逃さないよう
    耳を傾ける努力をしなきゃ。

    永遠に続くものなんて
    何ひとつないんやから。



    人混みの中、
    新谷さんが幻聴に呼ばれて
    手を上げるラスト間際のシーンは
    名シーンですね。

    手を挙げる仕草だけで
    一瞬にして人を引きつけられるのは
    永瀬正敏だからこそだと思う。



    観る者に答えをゆだねた作りなので、
    鑑賞後は
    誰もが「なぜの嵐」に襲われます。


    唐突に終わるラストシーン。

    答えは風の中だけど、
    サキコはすべてを理解したように
    自分には見えました。


    麻生さんとつぐみのエロティックな魅力満載の

    弱い人間のためにある映画であり、

    居場所のない人たちのために
    寄り添う作品です。


    意外と中毒性ありますよ☆

  • 2001年 日本 107分
    監督:行定勲
    出演:麻生久美子/つぐみ/永瀬正敏

    一緒に暮らしているミヤコ(麻生久美子)とサキコ(つぐみ)、不感症のミヤコはホテトル嬢をして引っ込み思案なサキコを養っている。ある日ミヤコは客として出会った新谷(永瀬正敏)とのセックスで初めて感じる。以来、客としてではなく新谷を求めるようになるミヤコ。しかし彼女はその関係にサキコをも巻き込もうとし…。

    20年前の行定監督の初期作品。今や原作もの映画化御用達監督になっちゃったけど、この頃は原作なしのオリジナルだったんだよなあ。当時ビデオかテレビかで一度見ていてとても好きだったので、懐かしくなり久々に観賞。

    サキコが飼い始める三匹の金魚、金魚鉢がないのでミキサーに入れられた金魚がとても象徴的で良い。フライヤーもこの金魚で可愛くて捨てられずまだ持ってる。ミキサーに入ってる金魚は可愛いんだけど、もしこのスイッチを押したら…というゾッとするような想像、そのギリギリのスリルが、綱渡りのような三人の関係性を象徴している。

    サキコは実の父親と後妻(渡辺真起子)に「汚い」と言われて育ち、女性的な服装を嫌う。自分もバイトをしようかという彼女に、ミヤコは働かなくてもいいと言う。サキコがニートというよりは、ミヤコのほうが彼女を閉じ込めていたい印象で、そこも金魚と重なる。一方で奔放なミヤコはひらひらと彼女自身もやはり華やかな金魚のよう。

    二人の間に挟まってる新谷、永瀬正敏なのでこれがもうただただカッコイイ。最初は客なのだけど、たぶん彼自身も何か孤独な過去があるようで(サキコが聞いてたバンドのボーカルは彼だったのだろうか)自身のことは語らないが、サキコも彼には打ち解ける。弁当屋で待ち合わせて「新谷さん」と呼ばれると手をあげて返事するところがとても可愛く、これが伏線になって終盤雑踏で彼が手を上げるシーンが泣けた。

    三人はつかの間幸せな時間を過ごすが、やがてミヤコはなぜか新谷にサキコを抱かせようとし、新谷はサキコとも関係を持つ。ミヤコとサキコは気まずくなるが、二人とも帰る場所は一緒に暮らしている部屋しかない。ネタバレでオチを言ってしまうと、ミヤコが本当に好きだったのはサキコで、サキコもまた…。新谷は潔く去ってゆく。

    タイトルは、序盤のエピソード。客に奢ってもらった鰻の骨がずっと喉につかえているというミヤコに、サキコは「それは贅沢な悩みかもね」と言う。医者(光石研)は、何も刺さっていないというが、ミヤコは度々過呼吸のような症状を起こし、ことあるごとに金魚のように口をぱくぱくさせて呼吸する。

    最終的にミヤコは亡くなる。死因はわからないけど、最後の場面からすると、電車おたくの常連客(田中哲司)に殺されたのだろうか。焼き場で、骨を拾っていたサキコは、ミヤコの喉の骨をみつける。

    若い頃に見たときほどの感銘はうけなかったけど、不思議な透明感があってゆらゆらしていて、やはり好きな映画でした。音楽担当してるのが朝本浩文だから、たぶん劇中のクラブ等で流れていた曲はUAだったと思うけど、見終ったあとなぜか脳内で流れていたのはボニーピンクの「金魚」という曲でした。

  • 贅沢な骨=うなぎの骨が喉に刺さったと訴える、ホテトル嬢のミヤコと、彼女の同居人で無職でジャージ姿のサキコと、二人の間に入ってきた元バンドマンと思しき新谷さんの三人が織りなす刹那的な日常が描かれる。買春するミヤコが初めてオーガスムに達した相手が、新谷だったことから、ミヤコは新谷に惹かれていくかのような描写がちらつくものの、実は、「ミヤコはサキコを思いながらセックスをすることでオーガスムに達していた」のである。もちろん、新谷との相性は抜群によかったのだろう。ミヤコはいつだってサキコを思っていたのだから。とはいえ、逆に肉体的な相性のいい新谷を利用することで、サキコとセックスしている、そして、感じているつもりに、なっていたという顛末なのである。だから、ミヤコが新谷を求めるのは、サキコとセックスしている気持ちを味わいたかったからからなのである。ミヤコが、新谷とサキコが仲良くしているシーンで、よくいらつている描写がなされていたが、それは、サキコが新谷と仲良くしていることへの「嫉妬」なのであった。早い話が、新谷は、ミヤコにとっては、性玩具みたいな感じだったのだろう。とはいえ、それだけでは言い切れない何かが二人の間にあったのは間違いなく、だから、ミヤコは新谷との別れで泣くし、新谷はミヤコの死を感じて街中で手を挙げて叫ぶのである。


    終局は、ミヤコの死、である。新谷と別れ、二人は旅行に行くことを計画するが、恐らく、仕事の途中でミヤコは死ぬ。喉に骨が刺さっているのではなくて、咽頭がんだったのだろう。相当痛かったはずなのだけれど、それを我慢していたのだろうか?たぶん、途中からは自分でもわかっていたはずなのだが、わかっていて諦めてしまっていたのだろう。それでも、最後まで仕事に行くところがミヤコらしいと言えばらしいのか。ちなみに、サキコ(=つぐみ)の胸のハリみたいなのがなんかすごかった。ミヤコはすごい退廃的に描かれていたが、死に顔はすごく肌がきれいで、なんというか、ギャップがすごかった、というのと、あと、新谷(=永瀬正敏)の唄もなんかよかったね。


    「愚かさを恨むよりも、欲望のほうが先を行くの。あなたを独占したい思いが強いから。服にしみた雨の模様があなたの横顔にさえ見える。どこで時間を潰そう?」

    ちなみに、金魚を三匹ミキサーで買うのだけれど、あれを、かきまぜちゃうシーンが想像していたとはいえ、すさまじかったね。一応、妄想の中でという設定だったけれどあれを撮影するためには……」

  • 元々こういうものはあまり見ないけど他人から勧められたから見て、正直微妙。
    新谷さんがアンドゥトロワと呟いてた時に遠くて踊ってた少女の映像は、合成であってほしかった。実際に同じ空間で踊ってると想像すると可笑しい。
    そしてまさかの百合展開、でもそれなら納得できる部分も多少あったかもしれない。
    「私は汚い」「人間はみんな汚いんだよ!」とかもベタだなあと思った。
    別れは切ないけれど、「ハンバーグ弁当美味しかったよ!」のセリフも吹いた。
    ラストはなんだか納得いかない。
    監督の偏見が混ざっているのではないかと思った。
    自分なりに解釈すれば、骨なんて刺さっていないのに、どうしても引っかかる=何故だか言えない、本当の事が言えない、幸せはいつも一瞬、気付いた時には遅かったとかそういうこと…?

  • ふつう
    もう一度見たい

  • 君だけに拾って欲しい。
    二回目が面白い。

  • 永瀬はやっぱりカッコイイ。インテリアがおシャレ。
    それだけかな。

  • 何度か観たい作品。
    暗いけど嫌じゃない
    何が云いたいんだろ?とか、
    これはこんな韻を踏んでる...
    とか色んなことを考えられる。
    行定勲の世界かな。

  • ウォンカーウァイの影響を感じる、
    スタイリッシュな映像。

    役者陣も良い。
    男女の3角関係、デリヘル嬢の主人公のストーリー。

    ここまで条件が揃っても、
    何でつまんないんだろう?

    全体的にクサ過ぎ?

  • 夢見る男の人が描いた少女漫画のような脚本。。。
    とにかく台詞がクサイ。
    クサくなければもうちょっと良かっただろうに。

    基本はヤリまくっているだけなので...
    共感も何も無い。

    永瀬の役の設定がブレてるからつまらないのかな。
    で、麻生久美子の顔があんまりかわいくない残念さ。

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著者プロフィール

1968年熊本県熊本市生まれ。映画監督。演出家。2000年『ひまわり』で第5回釜山国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。『GO』で第25回日本アカデミー賞作品賞・最優秀監督賞を始め数々の映画賞を総なめにし脚光を浴びる。04年『世界の中心で、愛をさけぶ』が観客動員数620万人を記録。10年『パレード』は第60回ベルリン国際映画祭パノラマ部門国際批評家連盟賞を受賞。16年には『ブエノスアイレス午前零時』『タンゴ・冬の終わり』の演出において第18回千田是也賞を受賞。

「2017年 『きょうも映画作りはつづく 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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