伊丹十三DVDコレクション スーパーの女

監督 : 伊丹十三 
出演 : 宮本信子  津川雅彦  松本明子  三宅裕司 
  • ジェネオン エンタテインメント
3.77
  • (36)
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感想 : 51
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  • / ISBN・EAN: 4988102034030

感想・レビュー・書評

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  • 1996年公開。


    いやぁ〜久々に観たけど
    何度観ても面白い
    文句ナシの傑作。


    食品スーパーの裏側を描きながら、
    食肉偽装やリパック、表示改ざんなど
    ここ最近紙面を賑わせていた現実の事件を
    この当時すでに予期していたかのようなストーリーは
    伊丹監督の先見の明を感じます。
    (撮影は実際の店舗を買い発注を毎日して、毎回新鮮なものを並べていたというから驚きです)


    そして宮本信子が
    オバサンを演じても
    なぜか可愛く魅力的に見えるから不思議だし(笑)。


    津川雅彦扮する五郎が経営する
    潰れかけのスーパーマーケット「正直屋」を
    宮本信子扮する花子が
    主婦の知恵で立て直していく
    胸のすくストーリーだけど、
    (津川さんと宮本さんの絶妙な絡みに
    終始ニヤケっぱなし笑)


    店対店、主婦対スーパー側の
    駆け引きや対立プラス、
    スーパー側の職人の
    ゆずれないこだわりを絡めた脚本が上手い!
    (バックヤードが覗ける映像はマニアにはたまらんでしょう笑)


    50%OFFでも
    元の値段を高くして
    そこから半額にしてるだけだったり、

    電灯の色を赤くして
    新鮮な肉に見えるようごまかしてたりの
    「安売りのからくり」や、

    昨日の売れ残りフライを二度揚げして
    またリパックして売り場に出そうとしたり、

    コレ初めて観た当時は
    いろんな意味で
    衝撃的でした(汗)(^_^;)



    ライバル店「安売り大魔王」の伊東四朗がまた
    悪い顔が似合うこと(笑)

    そしてよくもまぁ
    これだけ集めたと感心する
    六平直政、高橋長英、三宅裕司、小堺一機、柳沢慎吾、伊集院光など
    スーパーの店員にしか見えない役者たちや(笑)

    あき竹城、松本明子、原日出子などの
    パート顔の女優(笑)、

    柴田理恵、野際陽子などのオバタリアンな客など
    適材適所なキャスティングにも拍手を贈りたいですね。



    映画的な面白さを狙った後半のカーチェイスは
    むしろなくて良かった気がするけど(笑)、

    伊丹作品の中では一番クセがないし
    気軽に笑えて
    スカッとする作品なので、
    食べることが好きなら
    自信持ってオススメします。


    鑑賞後は必ず
    スーパー巡りしたくなりますよ(笑)
    (産地表示や肉チェックとかね笑)

  • 何度見ても圧倒的に面白い。

    舞台はどこにでもある普通のスーパー・マーケット。
    そこにある「あるある」や「裏事情」
    現場の職人との確執、生鮮・お惣菜の裏側、安売りとは
    業者との癒着、ライバル店・・・

    伊丹十三の手にかかると「ただのスーパー」が
    こんなスペクタクルあふれる活劇になる・・・。

    「お葬式」がデビュー作というところからも伺えるが
    面白がるポイントがユニークな監督。
    お葬式、税務査察官、ラーメン、暴力団担当警察官・・・
    どれも当時伊丹映画以外ではおよそ主軸におかれることのない
    テーマばかり。

    言わずもがな、この映画も完全かつ、大いなるフィクション。
    ただその丁寧にしかけられた「嘘」の根底に
    しっかりとあるノンフィクションの裏打ちがあるから
    伊丹映画には説得力と信用を感じます。

    今回もまたお勧めです。

  • スーパー“正直屋”の専務・小林五郎(津川雅彦)は、ライバルの“安売り大魔王”が価格破壊の激安キャンペーンを開始したと知って早速調査に出向いたが、そこで偶然、幼なじみの井上花子(宮本信子)と再会する。
    五郎は、スーパーの内情にやたらと詳しい花子が次々に安売り大魔王の激安トリックを見破ったことから、正直屋を立て直すために彼女にレジ主任として働いてもらうことにした。
    「いいスーパーには主婦を興奮させるドラマがある」と、花子は正直屋の改善に乗り出したが、現実は厳しかった。
    問題は次から次へと持ち上がり、特に花子を悩ませたのは、精肉部・鮮魚部・青果部の職人たちとの意思の疎通がはかれないことだった。
    職人というプライドから彼らはなかなか花子に心を開いてくれない。
    やがて副店長に抜擢された花子は、正直屋を「日本一お客様の立場に立ったスーパー」にするために、客の意見を直接聞くキャンペーンを実施する。
    その結果、食品の新鮮さを何より重視すべきだと考えた花子は、惣菜にも新鮮な素材を使用することと、肉や魚のリパックをやめることを提案する。
    パートの主婦たちの支持も得て花子の提案は五郎にも承諾されたが、職人たちは面白くなかった。そんな折、正直屋を買収しようと動いていた安売り大魔王の社長は、店長をはじめ職人たちをゴッソリ引き抜こうと画策する。
    しかし、花子の懸命の説得にスーパーの働き手としての自覚、誇りに目覚めた従業員たちは前にも増して結束を固め、結局、正直屋を離れたのは店長と精肉部のチーフのほか数名だけであった。以前から出入りの屑肉業者と結託して上等の肉を盗み出し、私腹を肥やしていた精肉部のチーフは、店長とともに安売り大魔王への手土産として正直屋の冷蔵庫から肉を盗み出していた。知らせを受けて現場へ駆けつけた花子は、手違いから冷凍車の荷台に閉じ込められてしまう。五郎はデコトラの運転手の協力を得て、とある漁港で花子を救出した。ここで偶然知り合った漁師の好意で、1月1日の初荷を全部仕入れる契約を結んだ花子たちは、お正月商戦においても、閑古鳥の鳴く安売り大魔王に見事勝利を納めた。
    伊丹十三監督が、主婦目線から「理想のスーパー」とはを問いかけるノウハウとお仕事映画。
    「新鮮な食品を店頭に出すために売れ残りの包み変えを止める」「食品の下ごしらえを流れ作業にして新鮮な食品を絶えず店頭に出す」「売れる商品を店頭に出すために職人が推す高い商品を出さない」など、主婦目線で大胆な策を出して巻き返していく展開は、痛快。だが全体的にドタバタ喜劇のような大げさな描き方になっているのが惜しい。
    利益を上げるために、肉を混ぜてごまかしたりする悪いテクニックも紹介しているのが役立つお仕事ノウハウ映画。

  • 最近、伊丹十三作品を改めてじっくり鑑賞して、
    その新しさに驚いている。
    子どもの頃には、わからなかったな。

    カメラワーク、色合い、構図、
    物語性に、役者陣の個性。
    とんでもなく映画的でありながら、
    絵画鑑賞をしているような感覚に陥る。
    そして同時に、
    笑って楽しい娯楽なのだ。

    風合いや一瞬の角度に、
    北野武が作品でオマージュしているのだろうと思う構図が、
    いくつもあった。

    スーパーの再建、ただそれだけの物語であるのに。

  • 痛快なサクセスストーリー。特に意外性はないんだけどなぜこんなに面白いのか。
    宮本信子さんは「お葬式」と「たんぽぽ」のいい女イメージが強かったので最初観たときわからなかった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「なぜこんなに面白いのか。」
      エッセイも映画も極上のエンターテイメント。
      人を楽しませるのが、とっても好きだったのでしょうね。それだけじゃな...
      「なぜこんなに面白いのか。」
      エッセイも映画も極上のエンターテイメント。
      人を楽しませるのが、とっても好きだったのでしょうね。それだけじゃなく知的好奇心も満足させなきゃ済まない感じがあって素晴しかった!
      2013/03/28
    • 美希さん
      >nyancomaruさん☆

      これでもかというぐらい目新しく重い題材をぶち込んでもつまんない映画もあれば、こういう特に目新しいものがなくて...
      >nyancomaruさん☆

      これでもかというぐらい目新しく重い題材をぶち込んでもつまんない映画もあれば、こういう特に目新しいものがなくても夢中になって観れちゃうものもあり(小説もそうですが)、表現の世界は奥深いな、なんて思いました。
      伊丹さん翻訳の「パパユーアクレイジー」面白いですよー。
      2013/03/29
  • 制作年:1996年
    監 督:伊丹十三
    主 演:宮本信子、津川雅彦、松本明子、高橋長英、三宅裕司
    時 間:127分
    音 声:日:ドルビーステレオ


    スーパー“正直屋”の専務・小林五郎は、ライバルの“安売り大魔王”が価格破壊の激安キャンペーンを開始したと知って早速調査に出向いたが、そこで偶然、幼なじみの井上花子と再会する。
    五郎は、スーパーの内情にやたらと詳しい花子が次々に安売り大魔王の激安トリックを見破ったことから、正直屋を立て直すために彼女にレジ主任として働いてもらうことにした。
    「いいスーパーには主婦を興奮させるドラマがある」と、花子は正直屋の改善に乗り出したが、現実は厳しかった。
    問題は次から次へと持ち上がり、特に花子を悩ませたのは、精肉部・鮮魚部・青果部の職人たちとの意思の疎通がはかれないことだった。
    職人というプライドから彼らはなかなか花子に心を開いてくれない。
    やがて副店長に抜擢された花子は、正直屋を「日本一お客様の立場に立ったスーパー」にするために、客の意見を直接聞くキャンペーンを実施する。
    その結果、食品の新鮮さを何より重視すべきだと考えた花子は、惣菜にも新鮮な素材を使用することと、肉や魚のリパックをやめることを提案する。
    パートの主婦たちの支持も得て花子の提案は五郎にも承諾されたが、職人たちは面白くなかった。
    そんな折、正直屋を買収しようと動いていた安売り大魔王の社長は、店長をはじめ職人たちをゴッソリ引き抜こうと画策する。
    しかし、花子の懸命の説得にスーパーの働き手としての自覚、誇りに目覚めた従業員たちは前にも増して結束を固め、結局、正直屋を離れたのは店長と精肉部のチーフのほか数名だけであった。
    以前から出入りの屑肉業者と結託して上等の肉を盗み出し、私腹を肥やしていた精肉部のチーフは、店長とともに安売り大魔王への手土産として正直屋の冷蔵庫から肉を盗み出していた。
    知らせを受けて現場へ駆けつけた花子は、手違いから冷凍車の荷台に閉じ込められてしまう。
    五郎はデコトラの運転手の協力を得て、とある漁港で花子を救出した。
    ここで偶然知り合った漁師の好意で、1月1日の初荷を全部仕入れる契約を結んだ花子たちは、お正月商戦においても、閑古鳥の鳴く安売り大魔王に見事勝利を納めた。

  • サミット社長(当時)原作の小説を原作に、
    1996年当時の食品スーパーの実態が描かれます。

    リパック、食肉偽装、不当表示をスキャンダラスに暴く一方、品質の良さで正直に商売する主人公達の奮闘努力と成功をコミカルに描きます。

    描かれる食品スーパーの職人上がりの店員は、今じゃもういないんじゃないでしょうか。
    同世代の食品スーパーの知り合いによると、鮮魚部でチーフから怒られると、当時は本当に包丁が飛んで来たそうです。
    一方、精肉トレーやパック機械、冷蔵什器にバックヤードレイアウトなどハード面は四半世紀経った今も変わっていません。
    進歩がないと見るか、既に完成形だったとみるか。

    徹底的な取材を元に、業界の裏側を一切の忖度なく描ききることにこだわり、かつ業界で生きる者達の夢や理想、ロマンを伝える伊丹十三監督作品だけに、当時を知る業界関係者が見ても、あるあるネタ満載で面白く、かつカタルシスを得られるエンターテイメント作品です。


    大体この辺まで。
    店の周り半径1km位がうちのお客さんなんだ。
    あの工場とうとう閉鎖になったなぁ。
    寮のお客さんが減ってしまう...

    スーパーって、結局お客様ね...
    見てごらんよ。
    この町の中に何万人もの人が生活している。
    みんな稼ぎは決まっている。
    その稼ぎの中で、少しでもいい暮らしをしようとしてる。
    だからお客様真剣よ。
    スーパーへ来て、少しでもいいものを、少しでも安く買おうとする。
    その期待に応えられるスーパーは生き残る。
    応えられないスーパーは...滅びていくのよ。
    正直屋を日本一にするって言ったわね?
    何の日本一なの?規模?儲け?
    とことん、お客様の立場に立ってみてはどうかしら?
    日本一お客様の立場に立つ店。
    そういう日本一になればいいんじゃないの。
    まずお客様の声聞こう!

    「こんなこと どこでもやってるよぉ...。」
    鶴亀さん!
    うちはね、お客様を騙さないで商売したいの。
    こういう風に考えてはくれませんか。
    うちの店を鶴亀食品の売場だと思ってください。
    おにぎり、うちのために作ると思わず、
    お客様のために作ると思ってください。
    社長、混ぜ物なしのタラコのおにぎり、作ってください。お願いします。
    値段は任せます。
    でもお客様の為に出来るだけ安くしてあげてね。
    うちも一生懸命売らせてもらいますから。ウフフ。
    「でも、売れなかったら...」
    社長。商売は競争よ。
    「じゃあ、売れなかったら他の業者に...」
    頑張りましょ!

    美味しいって!良かったじゃない、社長!
    泣かない、泣かない。
    「私、初めてお客さんの姿 直に見たもんですから。感激です。ありがとうございます。ありがとうございます。」

    私はリパックやりたくないです。
    子供に聞かれたら説明できんですもん。

    やるだけのことやろう。お店よ。
    最後は正直屋のお葬式になるかも知れないけど
    やるだけのことやれば、
    お葬式になっても晴れやかな顔してられるよ。

    そうだな!じゃ倒れるとこまで、行ってみるか!

    ハッキリ言うよ、しんちゃん。
    スーパーにはね、職人はいらないの。
    スーパーに必要なのはね、職人じゃなくて技術者なのよ。
    私はね、しんちゃんに先生になってもらって、
    パートのおばさんたちみんなが魚を作れるようにしたいのよ。
    バックヤードの仕事を完全な流れ作業にして...
    「冗談じゃねぇ!俺は職人だ。」
    誤解しないでね!しんちゃん。
    私は職人が悪いって言ってるんじゃないのよ。
    ただスーパーと職人が合わないって言ってんの。
    「あぁそうかよ!じゃ辞めてやるよ!
    んだよ!たかがスーパーの魚屋じゃねえか!」
    違う!あんたはその たかがスーパーの魚屋にすらなれてないわ!
    河岸でおだてられて高い魚買わされて親方気取っているだけじゃないの!

    ウフフフフ!
    パートのおばさん達がうちで買い物してたのよ!
    ウフフ ククク
    パートのおばさん達はスーパーの広告塔よ!
    お客様の代表なのよ!
    そのパートの人達がうちの店を認めてくれたのよ。ウフ!
    もう ひと頑張りよ!
    もうすぐお客様は戻って来てくれるわ。
    大丈夫!鮮度にこだわるあんたの方針は間違ってない!
    数字は必ず伸びるわ!それ信じて 頑張ろう!

    やだよぉ。専務の女が店にいられるか?
    冗談じゃないよ。専務の女がでかい面してみろ。
    みんなに総スカン喰うぞ!
    私はそんなことでこの仕事辞めたくないからね。

    では。お客様の幸せと、正直屋の繁栄を願って、
    三本締めを行います!
    ヨォォッ!
    シャシャシャン、シャシャシャン、
    シャシャシャンシャン!ハッ!

  • 文句なく面白い
    身近な題材を縦横無尽に料理して、最後はアクションまで取り入れる
    社会悪の暴露でありながらエンターテイメントとして徹底することで、逆に時代を超えて鑑賞できる作品になっていると思う

  • 今から20年前の作品とは思えなかった。主役のお二方はもちろん、脇役の柳沢慎吾ちゃんや伊集院光さんが今より若い(当たり前だけど)という点はあるけど。
    まず、舞台となるスーパー。激化する競争や値段と品質の問題、食品偽装の問題、さらには再就職が難しい時代背景など、現在とほとんど変わらない。
    そして、そんな状況の中、何を大切に商売をしていくか。
    つまるところ、どんな優秀な仕組みや利益を生み出す環境があったとしても、「仕事の先にあるもの」への意識の有無が、仕事の在り方を形づくっていくのだと思う。
    そして、その思いがお題目にならず、普段の行動に直結していかなければ従業員のモチベーションもあがっていかない。当然サービスも低下していく。

    いい循環を作るか、悪い循環に陥るか。

    小売業に携わる方は必見。それ以外の方でも、普段の仕事の先にあるものを再確認したくなったらおすすめです。

  • スーパーの業務改善について、面白、可笑しく描いた作品。

    面白かった。

    リパックなんかは、今では誇張のようにも見えるけど、最近でもたまーに話題に上り驚きを覚えるので、昔はかなりの場所で行われていたのだろう。

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著者プロフィール

1933年生まれ。映画監督、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家、商業デザイナーなど、興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮。翻訳も多数手がけた。1997年没。

「2020年 『ちょこっと、つまみ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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