マルサの女 [DVD]

監督 : 伊丹十三 
出演 : 宮本信子  山崎努  津川雅彦  大地康雄 
  • ジェネオン エンタテインメント
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102033439

感想・レビュー・書評

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  • 伊丹十三の映画は、映画好きな人が撮った映画だよね。
    本人もそう話してたのをラジオで聞いたことがある。
    寺山修司の映画から、とか、フランス映画から、とか、いろんな映画から、いろんな場面を引用しまくってる、って。

    変わったデザインの服を着て、哲学者のように語る人だった。

    彼の死は、本当に痛ましい。

    大島渚や、他の友人たちが証言してる通り、彼は殺されたのだ。

    誰が伊丹十三を殺したのか?

    彼のような勇気のある芸術家を殺すなんて、絶対に許されることではない。

    オレは絶対に許さない。

  • 伊丹映画の決定版。
    たぶん邦画の中では一番見返した映画だと思います。
    マルサという査察官を示す言葉を世に広めた
    バブル期を代表する名作。

    全てのシーンに伊丹監督の指紋がついているほど
    入念な計算とこだわりの詰まったフィルム。
    文句のない面白さ。

    個人的なオールタイムベストにも入れると思います。

    かの周防監督が担当した「マルサの女をマルサする」
    というこれまたメイキングの金字塔的名作も必見。

  • 金のためなら、ここまでするかね?!
    人間の浅ましさ飽くなき欲求を描きます。
    山崎努のびっこを引く演技が見応えあります。

    あの手この手で脱税する経営者達。
    地を這いつくばり泥水啜りながら調査する査察官達
    手練れ達の決めセリフがカッコ良い。

    なぁにが税務署だい。来るなら来てみやがれ。

    だってそうじゃないか!
    我々貧乏人の僅かな稼ぎを、
    重箱の隅ほじくるような真似してさ!
    チキショー!
    他にいくらでも悪いことやってる奴いるんだろ?
    なんでそっちから取らないんだよ!
    もちろん取りますよっ!
    その悪いことしてるって奴の
    住所氏名教えてくださいっ!
    それを調べんのがあんたらの仕事だろっ!

    社長。本当のこと言うなら今だよ。
    このままだと大変なことになりますよ。
    1日35万除外してたとして
    月約1000万、一年で1億2000万。
    これに重加算税と本税が約56%、
    それに地方税が65%ということは...
    7000と800万ですか。
    これが5年だと4億近い金額になりますよ。
    それに30%の罰金がつくと1億2000万で
    5億2000万。
    5億!5億ってなんだよ!それ!
    無茶苦茶だよアンタ!
    そんな金どこにあるんだよ!
    この店手放さなきゃなんなくなるだろ!
    あんた!うちを潰す気か!
    潰したら税金なんか取れなくなっちまうんだぞ!
    それでも潰すのか?
    どいつもこいつも俺のこと虚仮にしやがって!
    俺の、粒々辛苦の、この血と汗の結晶のこの店を
    チキショー!なんの恨みがあるんだ!
    俺がどんな悪いことしたってんだ!
    どんな悪いことしたって...うぅっ...
    あっはぁ...あ、あぁあぁっ...
    今日はこれ以上は無理ね...
    じゃああとは先生にお任せして、
    今日は引き上げるかな。
    ...何だぁ芝居ですか?呆れたなぁ。
    芝居じゃない。本当に泣いたんだ。
    ひと泣きで100万でも200万でも助かるんだったら
    いくらでも泣いてやる。

    港町税務署の板倉と申します。
    やぁいらっしゃい。どうぞ、どうぞ。
    (ビシッ)(身分証を奪おうとする権藤)
    初めてこの紐が役に立ったわ。
    あんた見掛けに依らずプロだな...
    好きだよ、そういうの。

    だからこの、光子ってのは内縁だな。
    でまぁもう少し情が移ってきたら結婚して...
    それでね、板倉さん。
    本当に情がわいて、財産分けてやりたくなったら
    どうすると思う?
    さぁ...
    離婚するんだよ、離婚。
    離婚して慰謝料ガバッと払う。
    慰謝料税金掛からないから。ね?
    そうやって財産彼女に移しといて、
    また彼女と結婚する。
    俺、女を愛したら、そこまでやる男だよ。
    財産移した途端に
    彼女が逃げちゃう可能性もありますね?

    やさしい子ねぇ、太郎ちゃんて。
    人はいいんだけどねぇ
    夢みたいなことばっかり考えて。
    どうして俺みたいのから
    ああいう子供が出来たのかねぇ。
    それはね、
    権藤さんの中にそういう部分があるからよ。
    えぇ?まさかぁ。
    ホテル見て思ったの。
    この人は夢を売る人だなぁって。
    俺、あいつに財産そっくり残せたら、
    今ここで死んでもいいと思うよ。
    ちょっと頼みがあるんだ。
    今から俺が財産の残し方言うからさ、
    その方法でいいかどうか判定してくれないか。
    いや、首縦に振るか横に振るかだけで...
    そんなことできません!
    まぁまぁま、聞いてくれ。
    まず、俺の信用で息子に銀行から金を借りてくる
    その金で子供に赤字会社を買わせる。
    赤字の会社を合併する。
    その際、子供の方に合併比率を多くするんだ。
    合併会社を倍額増資し、銀行から金を借りて
    新社屋建設の予定地を購入する。
    次に...(耐えきれず席を立ち去る板倉)
    待ってくれ!

    なぁるほど...
    いっぱいなって溢れて、垂れてくるやつか...

    支店長!このメモは何だ!
    ちゃんと架空名義の定期で
    作ってあるじゃないか!
    も、申し、申し訳ございません。
    いくらあるんだ!
    はい!
    いくらなんだ!
    一億!8000万です。

    課長は?
    電話中だ。どっかから圧力かかってるらしいよ。
    はい、はい。ですから漆原先生、
    私どもお立場は重々判るんでございますがねぇ。
    これちょっと悪質でございまして、
    関係なさってお怪我でもございますと
    これ漆原先生、
    私ども申し訳ないことになりますので...
    へぁ...折角のお電話ですがこれだけはちょっと。
    それにでございますな先生、
    マスコミの方も一部嗅ぎ付けて、
    動き出しておるやに聞いておりますので...
    下手に工作なさいますと却ってお名前にぃ...
    はい、はい。
    ご理解を賜りましてありがとうございます。
    はい、私もこのお電話失念させて戴きますので...
    はい、はい、ごめんくださいませ。
    ガチャン
    ふぁっ!

    太郎のことでね...
    一度あなたにお礼を言いたかった。
    少しお痩せになった?
    うーん、
    毎日のように呼び出されちゃ調べられてるから。
    随分頑張ってらっしゃるのね。
    6ヶ月頑張ったけど、流石に疲れた。
    6ヶ月...まだ頑張るんですか?
    権藤さん、もうそろそろ終わりにしましょう。
    査察が入って潰れた会社はないって言うし。
    それにね、太郎くんのためにも
    充分頑張られたんだから。
    それは、太郎くんにも充分伝わってるんだから。
    ね?
    太郎くんお父さんの事心配してるようでしたわ...
    お父さん苦しいときだってのが判るらしいのね。
    力になりたいのよ。
    ご心配なさってる程彼は子供じゃありませんよ。
    そうかね...そうだといいんだが。
    そうですよ。太郎くんのことを考えるんなら、
    財産残すより、権藤さんの逞しさそのものを
    残すことを考えた方がいいわ。
    心が安らかなのが一番いいなぁ。
    あそこの芝生で子供が遊んでるだろう?
    ああいうの眺めてると、
    俺は心をかきむしられるような気がする。
    幸せが手からすり抜けていくような気がするんだ
    あんた、今の仕事辞めて私んとこ、来ないか?
    (ゆっくりと、しっかり首を横に振る亮子)
    (かつて亮子が忘れていったハンカチに、
    指の血で数字を書いて渡す権藤)
    丸の内のスキラバンクに三億ある。
    貸金庫の暗証番号だ。

    脱税者が誰よりも怖れる、凄い奴等がいる。
    国税局査察部、人呼んで彼等をマルサと言う。

    脱税摘発の超プロフェッショナル
    日本のタックス・ポリス
    国税局査察部ーー人呼んで彼らをマルサという

  • 税務所の調査官、板倉亮子(宮本信子)は、小柄で顔がソバカスだらけの不美人だが、脱税を徹底的に調べるやり手だった。
    ある日、彼女は一軒のラブホテルに目をつけ、そこのオーナー権藤英樹(山崎努)が売り上げ金をごまかしているのではないかと調査を始める。権藤には息子の太郎と内縁の妻、杉野光子がいた。権藤は一筋縄ではいかない相手で、なかなか証拠も掴めない。そんな時、亮子は国税局査察部に抜擢された。彼らはマルサと呼ばれる摘発のプロである。
    マルサとしての調査経験を積んでいった亮子は、上司の花村(津川雅彦)と組んで権藤を調べることになった。
    ある時、権藤の元愛人、剣持和江から彼の今の愛人、鳥飼久美子が毎朝捨てるゴミの袋を調べろとタレコミの電話が入った。
    亮子らは清掃車を追いかけ、やっとのことで証拠の書類を見つけた。権藤邸をガサ入れする日が決まった。当日の朝、出かけた光子を亮子は尾行。権藤邸に花村たちが入った途端、他の何人かが権藤の取り引き先の銀行、久美子のマンションをガサ入れする。
    光子の見張りを交代して権藤邸に向かった亮子は、権藤と喧嘩し、大金を持って飛びだした太郎を追いかけ慰めた。亮子が邸に戻ると、調査はほぼ完了で証拠は何も出て来なかった。花村は権藤に質問し、亮子に眼の動きを追えと命令する。そして、本棚を推定、本の中をしらみつぶしに探すが徒労に終わる。疲れた亮子が立ちあがって、体を伸ばし本棚にぶつかった途端、壁が動き奥の隠し部屋が現われ大金が見つかった。
    その頃、久美子の部屋では口紅に隠された多くの印鑑が発見された。また、銀行でも架空の名義が確認された。権藤から貸し金庫の鍵は光子が持っていると聞かされた花村は、光子のいる美容室に出かけ鍵を受け取る。
    半年後、亮子のまえに太郎のことで御礼が言いたかったと権藤が現われた。彼はまだ全部に口を割らず頑張っていた。自分のもとで働かないかと言う権藤に亮子は首を横に振る。突然、亮子が以前忘れたハンカチを出した権藤は、ナイフで指を傷つけ、血でハンカチに残りの貸し金庫の暗号を記して渡した。
    伊丹十三が、国税局査察部と脱税の容疑者の戦いを描くサスペンス映画。
    「レシートのナンバーを使い分けることで片方のナンバーの売り上げを除外する」「相手から借金したことにして所得をごまかす」「品物の原価を高く見せて経費をごまかす」「表と裏の帳簿を使い分ける」「相手の融資を焦げつかせたと見せかけて所得をごまかす」「売り上げの記載をした通帳を愛人に預ける」「はんこを口紅などに、隠し金を隠し部屋などに隠す」などの脱税のテクニックを、板倉亮子たち国税局査察部と権藤の駆け引き捜査を通じて、伊丹十三監督が国税局査察部などに取材したリアリティーを盛り込んで描いているので、国税局査察部と権藤の駆け引きの「フレンチコネクション」張りの緻密なサスペンスが、楽しめる。
    脱税の容疑者である権藤も単なる金の亡者ではなく、遺産を息子に残したいがために脱税に手を染めてしまったり、板倉亮子の有能さに惚れ込んだり、単なる悪党ではない人間味が、ユニークな悪党の魅力がある。
    津川雅彦演じる軽妙洒脱で有能な花村、小林桂樹演じる腹芸が得意な国税局査察部の係長、鋭い観察力と捜査力を持つ有能な査察官だが温かい人間味を持つ板倉亮子を演じる宮本信子が、印象的。

  • 偉大なる娯楽作!
    乳をしゃぶる老人、中年女性のヌード、またにティッシュ、、、このリアリティ。
    善悪二元論ではなく、そもそもマルサ自体を正義には思えない見せ方。山崎努と津川雅彦の演技力、宮本信子の笑顔。
    すべてがノンストレス。

  • 制作年:1987年
    監 督:伊丹十三
    主 演:宮本信子、山崎努、津川雅彦、大地康男、伊東四朗
    時 間:127分
    音 声:日:ドルビーステレオ


    税務所の調査官、板倉亮子は、小柄で顔がソバカスだらけの不美人だが、脱税を徹底的に調べるやり手だった。
    ある日、彼女は一軒のラブホテルに目をつけ、そこのオーナー権藤英樹が売り上げ金をごまかしているのではないかと調査を始める。
    権藤には息子の太郎と内縁の妻、杉野光子がいた。
    権藤は一筋縄ではいかない相手で、なかなか証拠も掴めない。
    そんな時、亮子は国税局査察部に抜擢された。
    彼らはマルサと呼ばれる摘発のプロである。
    マルサとしての調査経験を積んでいった亮子は、上司の花村と組んで権藤を調べることになった。
    ある時、権藤の元愛人、剣持和江から彼の今の愛人、鳥飼久美子が毎朝捨てるゴミの袋を調べろとタレコミの電話が入った。
    亮子たらは清掃車を追いかけ、やっとのことで証拠の書類を見つけた。
    権藤邸をガサ入れする日が決まった。
    当日の朝、出かけた光子を亮子は尾行。
    権藤邸に花村たちが入った途端、他の何人かが権藤の取り引き先の銀行、久美子のマンションをガサ入れする。
    光子の見張りを交代して権藤邸に向かった亮子は、権藤と喧嘩し、大金を持って飛びだした太郎を追いかけ慰めた。
    亮子が邸に戻ると、調査はほぼ完了で証拠は何も出て来なかった。
    花村は権藤に質問し、亮子に眼の動きを追えと命令する。
    そして、本棚を推定、本の中をしらみつぶしに探すが徒労に終わる。
    疲れた亮子が立ちあがって、体を伸ばし本棚にぶつかった途端、壁が動き奥の隠し部屋が現われ大金が見つかった。
    その頃、久美子の部屋では口紅に隠された多くの印鑑が発見された。
    また、銀行でも架空の名義が確認された。
    権藤から貸し金庫の鍵は光子が持っていると聞かされた花村は、光子のいる美容室に出かけ鍵を受け取る。
    半年後、亮子のまえに太郎のことで御礼が言いたかったと権藤が現われた。
    彼はまだ全部に口を割らず頑張っていた。
    自分のもとで働かないかと言う権藤に亮子は首を横に振る。
    突然、亮子が以前忘れたハンカチを出した権藤は、ナイフで指を傷つけ、血でハンカチに残りの貸し金庫の暗号を記して渡した。

  • 宮本信子のマルサの女。
    そばかすだらけで、おかっぱアタマ。
    勘のよさで、脱税を見抜く。
    ラブホテルって、領収書がいらないから、
    脱税しやすいのだね。
    そのラブホテルの脱税の手口をあばいていく。
    山崎努が、若く、笑顔もいいねぇ。
    脱税の手口が、古典的なんだ。

    脱税って、誰も傷つけない行為なんだけどね。
    日本の税金が 厳しすぎるというのが、
    あまり、浮き出ていないなぁ。
    税金は 国民の義務と言う大義がある。
    脱税するもの それが 悪役 という物語。
    それが、山崎努が、ニンゲンらしいところがある
    ので、いいのだ。
    絵のアングルがいい。

  • 子どもの頃以来に観たが、
    いやぁ、面白いなー。

    カット割りも格好いいし、
    何しろストーリー展開がテンポよく、
    ワクワクさえする。
    そして何より、テーマ曲!

    伊丹十三、改めてすごい。

  • 半沢直樹、金融庁検査を思い出しました。
    知っている俳優さんたちの若かりし頃が新鮮でした。

  • 権藤の雰囲気が凄い。
    最後、権藤が無邪気な子供なんかを見ていると、胸が引きちぎれそうな気持ちになる、と言った内容を吐露し、そこからの血染めの貸金庫暗証番号、良かったです。

    税務署員レベルでこんなに厳しく見るんかなあ。

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著者プロフィール

1933年生まれ。映画監督、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家、商業デザイナーなど、興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮。翻訳も多数手がけた。1997年没。

「2020年 『ちょこっと、つまみ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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