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- / ISBN・EAN: 4988135562418
感想・レビュー・書評
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どこまでもアメリカ的な作品でありました。
まず、ストーリィの単純さ。基本はエイズに侵された二人のゲイとその周辺の人々の絡み合いであり、そして片方は奈落へ落ち、もう片方は生への希望を獲得する。鮮やかにプラスとマイナスを描き分けてあるわけです。その単純さを補うために様々な夢想世界がちりばめられるのだけれど、そこがまたアメリカ的に写実に忠実なのですね。天使との交合なんて中世のヨーロッパ絵画では聖女の法悦の表情だけ、で十分エロティックに描写されているけれど、この映画では「モロ」でございます。おまけにアメリカ版で見てしまいましたのでさらに無修正というインパクトつき。おやおや…
そして徹底的にpolitical。一般人が、これほどにも政治的事象に対しオノレの態度と立場を明らかにしなければならない風土というものの「面白さ」と「コワさ」がとても良く描かれているのです。日本という国の愚なるところはインテリすらpoliticalではない、ってことだと思うけど、転じてそれはアメリカでは愚人にもpoliticsを語らせる、ってことでは、と思ってしまう。
で、さらにトドメは力強く、前向きであること。ナニゴトもovercomeできる、というのはアメリカ映画の重要な基本理念であると思うけど、この映画でもやはり”the world is spinning forward.”と終るのでありました。
こう書いてみるととても「ベタ」な映画に見えてくるのですが、さにあらず、それじゃあ6時間も持ちません。クシュナーのデリケートな話術に始まり、そこかしこに見られる装置の面白さ、そしてやっぱりメリル・ストリープやジェフリー・ライトのひとり二役(以上)の怪演ぶり、これはやっぱりハンパではないし、アル・パチーノの重た~~~い芝居もお好きな方にはたまらないでしょう。6時間を損した気にさせない作品でございます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
真正面から愛と性、生と死を描いた問題作。
アル・パチーノ 好きなんです。