スタンドアップ 特別版 [DVD]

監督 : ニキ・カーロ 
出演 : シャーリーズ・セロン  フランシス・マクドーマンド  ショーン・ビーン  シシー・スペイセク  ウディ・ハレルソン  ジェレミー・レナー 
  • ワーナー・ホーム・ビデオ
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988135570352

感想・レビュー・書評

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  • 夫の暴力に耐えかね、幼い子供二人を連れて家を出たジョージー(シャーリーズ・セロン)は、生まれ故郷の北ミネソタの町に戻る。
    そこは古くからの鉱山町で、10代でシングルマザーとなって出戻ってきたジョージーに、周囲の視線は冷たい。
    “身持ちの悪い女”というレッテルを貼られ、父親ハンク(リチャード・ジェンキンス)からも信用されず、母のアリス(シシー・スペイセク)が繰り返すのは、夫とやり直すために辛抱しろという言葉ばかり。
    しかしジョージーは自分の力で子供たちを養って生きていこうと決意しており、病気の夫カイル(ショーン・ビーン)に代わり長年鉱山で働いてきた旧友グローリー(フランシス・マクドーマンド)に誘われて鉱山で働こうと決める。
    ベテラン鉱山労働者である父ハンクは猛反対し、父娘の溝はさらに深まったが、グローリーは、ジョージーを励ます。
    しかし仕事はトイレ休憩が制限されるなど思った以上にきつく、ジョージーの元彼氏であるボビー・シャープ(ジェレミー・レナー)など同僚である男たちは、作業場にある簡易トイレに閉じ込めて揺さぶったり室内の女性トイレに嫌がらせの落書きをするなど子供じみた悪戯や卑猥な言葉をジョージーに投げつけてくる。
    中傷の果てに息子までがいじめられ、数少ない同僚の女性たちも状況がさらに悪化することを恐れ、味方になってはくれなかった。
    耐えられなくなったジョージーは、勇気を振り絞りセクシャルハラスメント訴訟を起こす。
    1988年にアメリカで鉱山労働者として働くシングルマザーが、セクハラ集団訴訟を起こして男性社会の中で立ち上がっていく姿を実話に基づいて描いた人間ドラマ。

    フェミニストによる活動で最高裁判所で男女雇用機会均等法による判決が出されたとはいえ、鉱山は男の仕事とされ、鉱山で働きたいと希望する女性を形では受け入れても上司からは嫌味混じりの忠告をされ、男性の同僚からはランチに大人のオモチャを入れられたり胸元のポケットからタバコを取るふりをして胸を触ったり簡易トイレに閉じ込められ揺さぶられ卑猥な野次を飛ばされ、挙げ句の果ては密室で押し倒されるなど、セクハラ攻撃を浴びるジョージーたち女性鉱山労働者の毎日を丁寧に描いていて、セクハラを女性の同僚にしてくる男性は自分たち男性のものと思い込んでいる鉱山など男性の仕事とされてきた分野に進出してきた女性に対する変な縄張り意識や女性を見下す無意識な差別意識からセクハラしていることがわかる子供じみた悪戯や卑猥な言葉から男性が見ていて男性の幼稚性や差別意識に胸糞な気持ちになるリアル感がある。
    ジョージーが、弁護士のビル(ウディ・ハレルソン)とセクハラ被害に遭った女性の同僚に集団訴訟するため、同僚の男性を告発するよう説得するが、仕事を失うことやより酷い被害に遭うことを恐れてなかなか告発出来ないセクハラ訴訟の難しさ。
    被告人側が、原告側の女性のイメージを悪くするために原告側の女性の男性関係など性遍歴をあげつらったりする性暴力の裁判と同じく卑劣な戦略が、まかり通るクソな状況。
    ジョージーが、労働組合の集会に乗り込んで自分が何故セクハラ訴訟を起こすか主張するシーン、クライマックスのジョージーと鉱山会社の裁判では、勇気を持って立ち上がることで状況を動かすことが出来ると思える男女問わず心動かされるヒューマンサスペンス映画。
    「私たちはただ仕事して普通の生活がしたいだけ」

  • 私なんか、と何度も思った。
    お前なんか、と何度も言われた。
    それでも、立ち上がってみようと思った。

  • 世界初のセクシャルハラスメント訴訟の話。
    因みに裁判は1988とのことで、つまりそれ以前までは女性はこういう仕打ちにずっと黙って耐えてきた訳だ…(哀)

    脚本・演出に…なところもあるが、総合的には悪くないと思う。

    具体的には後半部、法廷での紆余曲折(実父の心の変遷、元恋人の葛藤、同僚女性の動揺など…)がもっと細かく描かれれば更に良かったと思う。

  • セクハラ訴訟とは1988年に行われたのが世界初だったそうです。主演はシャーリーズ・セロン。本作の頃が本当に彼女の絶頂期だったように思います。2年前の2003年にモンスターでオスカーを獲得し翌年には「トリコロールに燃えて」でペネロペと美の競演。そして翌年に本作の

    「スタンドアップ」
    https://www.youtube.com/watch?v=jXkVQm0QPyY

    セクハラ訴訟に焦点があるが、心に傷を負った娘が故郷というよりも両親のもとに帰ってくる。夫のDVから逃げてきたものの故郷には誰もが知る忌まわしい過去が…訴訟うんぬんよりも娘が親にと夜気持ち、そして子を大事に思う親の心を描いた作品に思えた。

    それにしても元カレで、セロンにひたすらセクハラをするのがジェレミー・レナーなのには驚きでした。

  • セクハラに関するクラスアクションの実話に基づく映画。

    モデルとなっているのは、エベレス鉱山vsルイス・ジョンソン裁判。
    時代は1989年、大昔の話ではないということに衝撃を受ける。

    二児を抱えるシングルマザーの主人公はDVの夫を残し、田舎に出戻る。
    そこで、彼女は職場に鉱山を選ぶ。

    男女比率30:1の孤独社会、それでも通常の女性の給料の5~6倍。
    二人の子供を養っていかなければならない彼女に選択肢などない。

    男の職場に身を置くことの残酷さ。

    しかし、男性にとっても死活問題であったことは頭の片隅に止めておきたい。

    “職場を女に奪われるかもしれない”という危機感を男たちを露骨な女性への差別やセクハラ行為、
    それでは済まされないレイプまがいの行動に駆り立ててしまうのだ。
    男女差別の問題というよりかは、生活や収入をかけた女性の職場の進出を阻止が本質であった様に感じる。



    この映画の中で起こっていることは作り話ではなくほぼ事実なのだということに胸を痛める。

    男の卑劣な行為も、理由はどうあれ犯罪すれすれ、否、犯罪行為も実在したのだ。
    いつの時代も少数者は多数者に屈して涙を流し、歯を食いしばり、時には味方と思っていた人たちにまで
    なじられながら生きていかなければならないという辛さを見て心苦しくなるシーンが何回もあった。

    その中でも不屈の精神をもって立ち上げり、立ち向かっていくことの難しさを主人公が体当たりで訴えてくる。


    本作を簡単に要約してしまうと、
    いじめられている人が一致団結して悪者と闘い勝利をつかむストーリーで、
    ありきたり・チープな印象を与えるが
    そういうくだらなさ・安っぽさが一切ない映画であった。

    これは主演のシャーリーズ・セロンの力も大きいが、
    何より女性監督ニキ・カーロンの手腕によるところが大きいだろう。

    彼女が語る「女の問題ではなく人間の問題として作った」という言葉が沁みる。

  • 実際にアメリカであったセクハラ集団訴訟を基に作られた作品す。舞台は”アメリカの冷蔵庫”と呼ばれているミネソタ州の片田舎の町にある炭鉱。荒くれ男だらけの職場に数名の女性従業員。男たちの下卑た言動に抵抗せずに生活の為に黙々と働く女たち。。。シャーリーズ・セロンさん演じるジョージ―は2人の子供そして女性の尊厳を守る為に巨大な敵(地域の雇用を創出する企業、保守的な土地に住む地元住民、理不尽な状況に対して声を上げず事を荒立てる同棲に対し批判の声を上げる女性)に立ち向かっていきます。この映画の方がタイトル”スタンドアップ”が意味するものとは。

  • 僕が生まれた1988年、
    政府は女性の雇用を促すが
    世間は女性の進出を良しとしない時代。

    会社側と彼女側。
    裁判所での話から
    一つ一つ回想が進んでく。

    その度に丸裸になっていく
    屈辱の過去。


    それでも
    彼女は立ち上がり続けた。


    フォーカスは当たらないが
    会社側についていた
    女性弁護士の存在が僕は良かったなと思う。

  • 男性社会で生きる事の難しさ・辛さ。
    耐えて・耐えて・耐え忍んで。
    それは生きていく為に仕方がなく。
    全てはお金の為で。

    黙ってさえいれば。
    仕事を与えられ・お金を払ってくれているのに何て事をしてくれたの?と言われている様で。
    同じ様に辛い思いをしている筈の彼女達からも、孤立していき。

    現実に起こった事で。
    人間の持つ・残虐非道・裏切り。
    誰もが当たり前に望む平等が存在せず。
    弁護士にも、正しい事を正しいと正論する事の難しさを知らされ。
    観ていて、やるせなく悔しさいっぱいで。
    目を背けたくなる程で。
    女性=弱い物として見られ・扱われ。
    まるで物の様に。
    でも、それでも同じ女性として絶対に観なくてはならない。という使命感を持つほどで。

    裁判にかかった14年という年月の重み。
    誰にも賛同してもらえず。
    誰にも言えない辛い過去を抱え。
    全ては子供達の為に必死だったのに…。

    こんな形で息子に真実を知られる事になってしまった時、裁判を抜け出して何よりも息子を心配した時の彼女の息子への深い愛。
    ずっと受け入れてくれていないと思っていた父の、娘を思い・守りたいと願う強さに胸が締め付けられました。

    そして、実際にモデルとなった彼女達のインタビューシーンに、彼女達の苦悩と集団控訴に向けた思い。
    戦い抜いた本当の強さ・意味を思い知らされました。

  • アメリカで初めてセクハラの集団訴訟を起こし和解を勝ち取った女性の実話に基づいた映画。
    この女性が闘ってくれていなければ、未だに女性は職場でケツ触られたりしてたんだろうか。

  • アメリカでセクシュアル・ハラスメントの集団訴訟で勝利した実話に基づいた話。
    そこで写メだ、録音だ!とか思いながら怖い思いで見た。差別行動をする側は如何に無邪気に、愉しくするか、を上手に描いていた。
    自分だけでなく女性のためにと立ち上がってくれた主人公が素晴らしかった。
    程度の差はあれ、今も女性の立場は弱い。可視化していきたい。

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