プルートで朝食を [DVD]

出演 : キリアン・マーフィー  ニール・ジョーダン  リーアム・ニーソン  スティーヴン・レイ  ブレンダン・グリーソン  イアン・ハート  ブライアン・フェリー 
  • ポニーキャニオン
3.72
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013230842

感想・レビュー・書評

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  • LGBT女性のもがきと成長の姿を、1970年代のアイルランドの小さな街とロンドンを舞台に、当時の明るい音楽と、幻想溢れる豊かな映像で、愛情たっぷりに描いた素敵な作品。

    1970年頃のアイルランドの小さな街。
    生まれてすぐ、実の母に教会の前に捨てられただけでなく、身体は男性だけど心は女性のパトリック(女性名:キトゥン)は、小さな街の中では周囲から浮いた存在でした。
    それでも、幼い頃からの三人の親友とともに、明るく笑っていた「彼女」。

    ある日、キトゥンは養子先を飛び出し、やがて、顔も知らない母を探し求めてロンドンへ向かいます。
    折しも、北アイルランド紛争が激化していた時代。
    彼女も、大切な親友たちも、否応無くその波に飲み込まれていきます。
    そんな中で彼女は、とあるきっかけから、幼い頃から追い求めていた母親を見つけることができたのだけど…。

    「多数派」から見たら、何重もの意味で異質なキトゥンは、束の間の出会いと別れを繰り返す中で、不当な差別や危険な目に遭い、街娼にまで堕ちながらも、なんとか生きている存在。

    そんな深刻な筈の状態の中で、苦しみもがきながらも、「真剣」になりすぎず、卑屈にもならず、傷ついても誰かを傷つけるようなこともせず、自分を捨てた両親を憎むようなこともせず、彼女は日々を生きていきます。

    長年憑かれていた想いから、静かに決別を決めた後の、どことなく淋しげでありながらも清々しく見える表情と、成長して今度は困難に直面している親友に明るく寄り添う彼女の姿にはグッときます。
    特に、物語のラスト、回廊を歩くシーンは何だか象徴的で、とてもスカッとした気分になります。

    物語開始当初は、バックに流れる70年代ヒット曲を中心にした華やかな音楽が、明るく振る舞い、明確には形を伴わない彼女の内に秘めた悲しみや苦しみを却って引き立てる役割を果たしています。
    けれど、物語の終盤では、その音楽が、成長した彼女のしなやかさを象徴する役割を担っており、その鮮やかな変化もとても見事です。

    音楽を巧みに使った後味のいい映画を観たいという方や、1970年代の雰囲気を覗いてみたいと思う方にオススメしたい作品ですね。

  • BREAKFAST ON PLUTO
    2005年 イギリス
    監督:ニール・ジョーダン
    出演:キリアン・マーフィー/リーアム・ニーソン/スティーヴン・レイ

    ニール・ジョーダンの映画では、今作はどちらかというと初期の『クライング・ゲーム』に通じる部分があったのではないかと思います。この監督にとっては避けて通ることのできない故国アイルランドの紛争、そして性を超越した女装の男性。

    主人公のキトゥンは、ひらたく言ってしまえばいわゆる女装のオカマ。今風(?)に言えば「性同一性障害」ということになるのでしょうが、そういう言い方って個々の嗜好を正当化するようでいて実際には逆に病気扱いしている側面もある気がして、あまり好きではなかったりするのですけど、シュガーベイビーラブで陽気に幕を開けるこの映画には、そういったことをあえて主張するまでもなく、逆にそういう深刻さを排除した「あたし、オカマなんです!」っていう突き抜けた明るさがあっていっそ清々しかったです。

    テーマとしてはけして目新しいものじゃないのだけど(「ヘドヴィク~」とか「バッドエデュケーション」とか似たようなテーマの話はいくらでもありますし)ただやっぱりこの、底抜けにポジティブな主人公のキャラクターに救われるというか、見終わった後に元気が出る感じはとても好きですね。キリアン・マーフィーは女装が似合っててとても綺麗でしたが、あくまで「女装した綺麗な男」であって、女性と間違えることはないだろとは思いましたけど(苦笑)。

    タイトルにもなっているプルート=冥王星が、今となっては太陽系の惑星リストから外されてしまっていることも、逆に象徴的でした(映画公開当時はまだ太陽系の惑星として教科書に載っていたはず)。

    (2006.10.16)

  • これは案外評価高い作品ですよね~僕もゲイの映画ってどこかしらパターンと言うか攻めどころが決まっていて観ていて飽きが来るんですけどなかなかよかったとおもいます。というかキャストの皆さんがそれぞれに特徴を出していて面白い!

    「プルートで朝食を」

    生まれてすぐ教会に捨てられ、牧師に育てられたパトリシア。物心着いた時から心は女性だった彼は 恋と不幸の物語に溺れながら故郷を出てロンドンへ母親を探しに行く。都市は浅いからゲイとまでは呼べないがシャーリー・マクレーンの「ぼくが天使になった日」を観た時と同じくらいに案外好感も持てた気がします。

    それにしてもリーアム・ニーソンが大真面目で演じる父親と牧師役。これがなんともいえない名演技!やはり重鎮が一人加わるだけで作品がピリッとしますね~

  • この、マージナルな感じ。
    男と女の中間、アイルランドとイングランドの中間、現実と御伽噺の中間。
    プルート(冥王星)っていうところもいいですね。
    惑星と星の中間。

    真剣、って言葉を嫌いながらも彼女の生き方は私から見ればかなり“マジ”で、
    まさにこの映画そのもののように思う。
    お洒落さと可笑しさと皮肉を併せ持ちながらも、アイルランドの影の部分まで描き出す。

    キトゥンがかわいくてかわいくて。
    途中から本気で男とだというのを忘れます。

    想像以上に面白い映画でした。


    ただ、あのマジックミラー越しのシーンはついこの間見た、
    『パリ、テキサス』と酷似していたのがちょっと気になった。

  • B+。
    おもしろかった。
    今まで見たキリアンマーフィーのなかでいちばんしゃべっていた。なんてかわいい!
    キリアンのイメージはダンケルクの兵士みたいだったので。

  • キリアン・マーフィー演じる主人公はトランスジェンダーの男性。生きづらさを抱える彼は、女装して母親探しの旅に出て、さまざまな人と出会う。

    いろいろなエピソードが駆け足で描かれるので、やや消化不良気味にはなりますが、スティーヴン・レイ(「クライング・ゲーム」などで有名なアイルランド人俳優。顔がゲイリー・ムーアに似ているから好き)演じる手品師の助手をするシーンが面白い。

    最後は、彼が親友の黒人女性のシングルマザーと一緒に赤ん坊を育てるシーンで映画は終わります。幸せに形は人それぞれで、色々な形があるということで納得のエンディングでした。

    因みに、本作で私が一番気に入ったところはその後で、エンドロールで流れたドン・パートリッジの「Breakfast on Pluto」がとても素敵な曲でした。

    BS松竹東宝にて。

  • トランス女性の半生を描いた映画。そして人生は続くエンド。

  • どうせ、「マイノリティが周囲の偏見によって辛い目にあっても前向きに生き抜くよ」っていう話でしょ、と期待せずに観始めたけど予想外に面白かった。

    性的マイノリティ、有色人種、ハンディキャップのある男の子、という映画製作者が好んで集めそうな「マイノリティ」の登場人物が揃った時にはわざとらしい多様性への肯定表現かと少し鼻白んだけど、途中からそれもどうでもよくなるくらい主人公がぶっとんでいた。
    何回騙されてもホイホイ男の人についていくし、警察に拷問された後に「留置所から出たくない」って駄々をこねるし、理解を超えた行動の数々に何度も笑ってしまった。
    父と友人の愛を確かめることができた後は、以前よりもっと強く、もっと自分を大切にしてくれそうな人間になったと思う。幸せになってほしい。

  • コメディと思って観ていたら結構重い内容で、やっぱりアイルランドが絡むとこうなっちゃうんですかね。しかし、こんな人生送ってる割りに主人公は案外しなやかに生きのびてるあたり救いがある。

  • ちょっと感情移入が難しくって、世界情勢も知識不足で理解が足りなくて、話がぶつ切りで、いまいちのめりこめなかった。

  • 父親が 神父。
    母親は 幻の女。
    そして、うまれた オトコは 女だった。

    ピュアーな生き方。
    アイルランド人。IRA のテロ行為がある。
    そういうことに 反対する。

    母親を捜すのだが。
    オトコがきれいと言うのは 
    不思議な魅力がある。

  • 1回見ただけでは、この作品の良さは分からないのか。
    私が未熟なのか・・・。
    見た後に除いたレビューの評価の高さにびっくりしました。
    ひたむきな女性(オカマ)の物語。

  • 真剣な世の中で生きるのはイヤ

  • 作品の雰囲気がたまらなく好き。キトゥンが愛しくて、たまらなかった。『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のイギリス版とでも言うんかな、いや違うか。キリアン・マーフィーがね、ほんっと、かわいい。そして美しい。

    ニール・ジョーダンの他の作品も調べてみたら面白そうなので、近々観たい次第です。

  • ひとつひとつの台詞にはっとする。はじめはすごい境遇で楽しいことばかりの人生じゃないから悲しいし泣きたいのにそれでも時には笑顔で時にはふわふわしつつ駆け抜けていく。良い映画だった。あとブロンドになったあたりのキリアンが一番可愛かった。

  • プルートは冥王星、太陽から離れた極寒の星。ある人物が語る「プルートで朝食を」というフレーズ。

    1960年代、北アイルランドに接する南部の街で生まれたパトリック。
    母親に教会の前に置いて行かれた赤ん坊だった。女性の心をもったパトリックの人生を描く。

    イギリスが舞台の映画には、アイルランド紛争が本当によくでてくる。
    時代が紛争とともにあった。そして、この映画も例外ではない。
    ケトゥンと名乗り、イギリスで母を探すパトリックだが。

    差別問題を描くというよりも、ある人の生き方を強く描くために、ゲイという設定を使ったというところなのかな、とおもった。

    明日からがんばろうと思える映画です。

  • だいぶ前に観たのであんまり記憶に残ってないんだけど、観たあと元気になれる映画だってことは覚えてます。
    これから頑張ろう、って気持ちになれます。

    キトゥンが健気で可愛らしかった。
    絶対また観よう。

  • 大好きで大好きで大好きで買ったDVDです。

    傷付いても傷付いても人を愛して、強くてやさしい、こんな人に私もなりたい。

  • ゲイ映画っていつも似たような主人公でうんざり…だったけど、この映画はそんなことがなかった。

    母を捜して彷徨うパトリック。
    どうしても、人生の行き着く先は両親なのかも。

    時代背景がしっかりとしていた。
    それ故の悲しさもあって、やるせない気持ちになった。
    見ごたえあり。
    好きな映画の一つになった。

    (2009,04,18鑑賞)

  • 生まれてすぐ教会に捨てられ 、牧師に育てられたパトリシアo
    物心着いた時から心は女性だった彼は
    恋と不幸の物語に溺れながら
    故郷を出てロンドンへ母親を探しに行く。

    キリアン・マーフィーのゲイムービー。
    LGBT問題の提議よりも、あるひとつの愛の種類として描かれる物語。
    コマドリと一緒に小説風に展開していく画面がとってもキュートです。

    衣装がすごくかわいい。
    【革命】の思想が身近にない国・世代の自分には
    この画面の色彩の強さは受け取りきれないのが残念。

  • 問題児のオカマちゃんが数々の恋を経験しながらも、母親(ファントム・レディ)を探して旅をする。
    もうっ!大好き!!

  • 武器や抵抗に目もくれず、愛するものを愛していく。
    彼女がほんとうにうつくしい。

  • 小さな町の教会の前に捨てられたパトリック(キトゥン)は養子に出されたが、家を飛び出し、恋に破れ、闘争の渦巻くアイルランドから"幻の女"母を捜しにロンドンへ。
    子供の頃から女の子の心を持つ彼は周囲のシリアスな態度におかまいなし、行き当たりばったりな生活をしながらやがて、父(神父)の遅い告白によって、母に会いに行く。
    ポップな中に深い悲しみと暖かい友情が入り混じって、おかしくも切ない。70年代のキッチュなファッションがかわいい。
    主人公が魅力的ですごく愛おしく思える。彼をバカにしない友人達も素敵。

  • 主人公のゲイがもう本当に魅力的で、忘れられない。

  • この映画を観てから、sugar baby loveが切なく聴こえるようになってしまった

  • この人のことを心から愛しいと思う。
    お洒落で可愛くて優しくて、本当に素敵な人だと思う。

  • 好き嫌い激しいとおもう。私は5本の指に入るくらい好き。

  • キリアン・マーフィーが可愛い。
    友達になりたい。

  • 自分が培った価値観に従って生きて行くことが幸せなんだろうなあ。流されない人キトゥン。演出がキュートでした。一回観ただけではこの映画の真価に触れられないと思ったので、あんまり感想は書きません。

  • アイルランドとイギリス、カトリックとプロテスタント。まわりの世界が己のアイデンティティを確立させるためにテロやら信念やらに固執する中で、武器や抵抗に目もくれず、ただ自分が愛するものをひたむきに愛していく。
    テロで友達が殺された時、恋人の武器を湖に放り込みながらプリプリ怒るキトゥンちゃんが可愛くて切なくて、ひたむきだった。

    国のため宗教のため闘う人たちの中で、そういうものを遠ざけるキトゥンちゃんが一番真剣で、曇りのない目をしていたように見えたのは
    心から愛して守らなければならないものをよく知っていたからじゃないかと思います。

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