チベットの七年―ダライ・ラマの宮廷に仕えて (1981年)

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感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    ブラピ主演の映画を観て以来ずっと興味のあった原作だが、映画にあったヒューマン要素は薄く、冒険譚、異国描写が濃い著作でした。
    ヒマラヤを目指していたら第一次世界大戦のあおりを受けインドでイギリスに抑留されるも何度も脱獄して、どうしても行きたかったチベットにつき、それからチベットの風習、習俗、宗教観を受け入れるというサバイバル感。その器の深さ。若さ。読んでいて、こんなに古い文献なのにドキドキわくわくさせられます。愉快なことや、チベット人の純良さがたくさん書いてあるのですが、行間に漂う死臭がたまらない。良いことも悪いこともぼけっとしてたら読み飛ばしてしまうくらいさらりと書かれています。硬質な、この時代の情緒のないドキュメンタリー文て堪らないです。これでいて友情なりが控えめな方の文献だというのだからすごい。翻訳者様に感謝。
    もっとたくさん、情緒面での描写を期待したが、それがないことが、この著書を良書としていると思いました。世界的に読まれる強さというか、面白さがありました。訳者さんは贔屓の引き倒し、とおっしゃってましたが、その何がいけないんだ? と思うくらいの良書。宗教が科学を凌駕している世界の、時の流れ方のゆるやかさは、現代に生きる私たちとて大変羨ましく感じます。
    とにもかくにも、面白かった。読んで損のない一冊。

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著者プロフィール

1912年オーストリア生まれ。登山家、探検家。1938年に登攀が絶望視されていたアイガー北壁の初登攀に成功し、アルプス登山史上に不朽の名を刻むなど、世界各地の秘境探検の基礎を築いた。

「2022年 『石器時代への旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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