「美妙な死体」の物語 (1981年) (妖精文庫〈28〉)

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  • 時間の進行と惑星の運行から外れた言葉。血と乳で描かれた精妙な幾何学模様。殻の外の余白を孕んだ卵。
    卵の表面は均一的に見えるが、どろりとした流体である内部は分化に向かう未決定の力に溢れている。神秘的な変成が行われる錬金炉は巨大な卵型の鋳型であり、混沌の秩序で制御された世界である。そこから生まれるのもまた卵。
    ナイフの刃みたいな三日月が空に亀裂を入れて卵殻を破壊したとしても、その先にあるのは空白の壁。未知の半身を探し彷徨する者たちは永遠に孵ることのない雛なのかもしれない。「私は誰?」という問いすら無意味なのだから。

    『うぶな娘』、『白兎』がお気に入り。

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