魔術師ガザージ氏の庭で (1981年)

  • ほるぷ出版
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  • すべて現実だと説明できるのに、非現実のようなお話。
    白黒で描かれた精巧な絵なのだが、バランスが妙に変なので、
    現実感非現実感のどちらも感じさせる。

    ブルテリア犬のフリッツの面倒を頼まれた少年アラン。
    フリッツは人を噛んだり、
    アランの帽子を取っていたずらしたりする行儀の悪い犬。

    散歩中。フリッツは首輪を切って逃走!
    「ぜったいにどんなわけがあってもこの先に犬をいれてはいけない!
    ー引退した魔術師アブドゥル・ガザージ」と、
    立て看板がされている庭に入ってしまう。
    つかまえてとごらんと逃げるフリッツをアランは見失う。
    「ああ、きっとガザージ氏に捕まったに違いない」
    おそるおそるフリッツをかえしてもらいに行く。

    ガザージ氏は、犬が大嫌いだから、あひるに変えてしまうのだと話し、
    「これがきみのフリッツだよ」と、不気味にあひるを見せる。

    あひるは本当にフリッツなのか。

    ガザージ氏の言葉を信じて心配して涙ぐむアランを
    「フリッツなら大丈夫。あひるとして生きていける」と慰めたくなった。
    (フリッツと思われるあひるは)ほら、楽しそう。

    フリッツは魔術をかけられても反省しない犬だろう。
    あひるになってもアランをからかって遊ぶだろう。

    「なんてわるいいぬなの、おまえは!」

    犬好きに薦めたい絵本。

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