屠殺屋入門 (1979年)

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  • 多方面でその才能を見せ付けたボリス・ヴィアン。数は少ないながら、戯曲作品も充実してゐることを証明する一作と申せませう。
    ヴィアンの名声はほとんどが死後のものであります。それを裏付けるやうに、生前に実際に上演が実現したのは、本作『屠殺屋入門』のみであります。
    しかも、執筆後四年も経つてやうやく実現した上演だつたと言ひます。その内容に恐れをなした関係者がイヤがつたのでせうか。

    内容はとにかく馬鹿馬鹿しい。筋らしい筋も特に有りません。強ひていへば、屠殺屋の親父が自分の娘に婚礼させるために奔走する、といふところですが、それもどうでもいい感じです。
    登場人物は夥しい数にのぼりますが、いづれも自分勝手に喋るだけで、収拾がつかない。
    これほどの人物が登場しながら、物語はちつとも進まないといふところに面白さがあります。
    戦争といふ愚かでくだらないものを笑ひとばす意図をくみ取る人もゐますが、あまり寓意を求めない方が粋といふものでせう。

    ところで奢灞都館から出てゐる本作は、すでに絶版みたいです。早川書房の全集にも未収録。
    入手は可能とは思ひますが、ネットでは結構な高値ですね。読みたい人は、我が家の苦心文庫で閲覧可能です...

    http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11391317284.html

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著者プロフィール

生田耕作…1924–1994。京都生まれ。京都大学文学部仏文科卒。仏文学者。著書に『黒い文学館』『ダンディズム』(中公文庫)、訳書にバタイユ『眼球譚』(河出文庫)、セリーヌ『夜の果てへの旅』(中公文庫)など多数。

「2022年 『世界の果てまで連れてって!…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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