のらくろ上等兵 (1969年)

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  • 去る12月12日は、田河水泡が亡くなつて20年目の命日でした。ここで代表作「のらくろ」の登場であります。
    のらくろは昭和戦前に少年誌にて連載が始まるや、爆発的人気を博したさうです。当初は短期連載の予定が、想定外の人気のため長期連載となり、シリーズはその後いろいろと広がりを見せました。

    『のらくろ上等兵』は、その最初の一冊。復刻版といふことで、函入の立派な装丁です。巻末の奥付(昭和7年!)や書籍案内までそのまま掲載されてをります。「のらくろのレコード」聞きたいなあ。
    捨て犬なのか、生まれつきのみなしごであるのらくろ(「野良犬黒吉」を略したもの)は、将来大物になる事を目指して猛犬聯隊に入隊します。「のらくろ二等兵」としてスタアトいたします。

    当初は頓珍漢なことばかりやつて、ブル聯隊長やモール中隊長を困らせます。ある日、猛浪無敵之助と名乗る乱暴者の狼が、ブル聯隊長に勝負を挑みます。聯隊長は狼の卑怯な戦法の前に屈してしまひます。そこで我らがのらくろが、めくら滅法のまぐれ当たりで狼をやつつけて、聯隊長の仇を討つとともに、聯隊の名誉も回復させたのです。
    たぶんその功績で、のらくろは一等兵に進級しました。
    さらに山猿聯隊との戦ひに於いて、功績大を認められて上等兵となります。出世が早い。

    基本的にギャグ色が強く、後年の戦時色が漂ふ作風と比して、安心して読める内容となつてゐます。例外的に、先ほど触れた山猿との戦闘で、決死隊の四匹が犠牲になりました。のらくろ号泣。
    最後のエピソードで、猛犬聯隊に忍び込んだ二頭の豚が、軍旗を盗み出します。犬がいつも豚を喰ふので、仕返しに来たらしい。のらくろは一度は豚に捕へられますが、隙をみて豚どもをやつつけ、見事軍旗を取り返すのでした。その功が認められ、遂に伍長に昇進。そこで本巻は幕を閉ぢるのです。

    のらくろは、何度か再ブウムを重ねて参りましたが、最近は鳴りを顰めてゐる感じですかな。忘れ去られるのは残念なキャラクタアと存じますので、一丁ここで登場させた次第であります。
    次作は『のらくろ伍長』。巻末の宣伝文が愉快。「全國の少年少女間に沸き返るやうな人氣!」「家中揃つて朗かに樂しめる」「何が面白いといつてこんなに面白い本はない(←意味不明)」「トテモ滑稽、痛快むるゐ」「こんなに面白い漫畫は世界にも珍しい」......いやあ、読みたくなりますね。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-817.html

  • 戦前から大人気!!
    面白さは時代を超える。

  • 『のらくろ上等兵』から『のらくろ探検隊』まで全10巻。
    のらくろが与えた影響を推し量ろうとすると、とてつもない大きさの風呂敷を用意しなければなりません。日支戦争を挟み、太平洋戦争が始まるその時まで連載されていました。内容は天皇崇拝の軍国主義的思想です。しかしのらくろや仲間たちの姿はほほえましいのです。

    カラー文庫なら比較的安価で簡単に手に入るはずです。本編の美しい色合いや装丁は愛らしく、素敵なもの。
    ネットオークションを覗いてみてください。

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