スキーの科学 (1973年) (中公新書)

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感想・レビュー・書評

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  • オフシーズンにじっくり読んでおくべき、技術理解の入門。

    大学の「スノースポーツ」の参考書として購入。名の通り、スキーに関する全般を広く科学的に解説する。基本的な事項は網羅されている。
    各種文献から引用されたグラフや物性値一覧が豊富で興味深い。メダリスト猪谷千春が参加した実験も紹介されており、滑走中の姿勢図が掲載されている。著者は物理学者でありまたスキーヤーでもあり、理屈だけでなくスキーの感覚的な部分も正しく書かれていて信頼できる。
    初めての人にもわかるようにと、力学の基礎が説明されているが…これが初学者にはわかりにくい。高校レベルの物理と数学を勉強した人には復習としてわかりやすいのだろうが、腐心がうかがえる割には残念である。また1970年代に発行ということもあり、スキー板が現在の物とは異なり古臭さが否めないが、議論そのものは通用するものである。
    一般的な新書と同じく価格は手頃で薄めだが、内容はボリューム充分。うまく噛み砕いてあるが、本来は中々難しい内容ばかり。以前にレビューした「理科系の作文技術」の著者でもあり文章は読みやすい。帯には“ユニークな”との宣伝文句があるがそうではなく、全くの正統派である。

    スキーは様々な工学の複合問題であることが認識できる。運動学、潤滑工学、流体工学、材料力学、地盤工学、熱力学…工学システム学類(環境開発工学主専攻)のカリキュラム範囲ともよく合う。特に「機器運動学」の参考書として有用である。

    目次
    1.私のスキーことはじめ
    2.<感じ>と<事実>
    3.雪は生きている
    4.はきものとしてのスキー
    5.スキーはなぜすべる
    6.スキーの滑走性を支配するもの
    7.直滑降の速さ
    8.前傾
    9.ターンの力学
    10.スキー滑降はコントロールのスポーツ

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